エミール・デュルケーム(1858~1917)とは、マックス・ヴェーバー、ゲオルク・ジンメルと並ぶ現代社会学の創設者である。
概要
ロレーヌ地方のエピナルでユダヤ系フランス人の家に生まれた。代々ラビの家系であるがデュルケーム自身は世俗的な生活を送り、パリの高等師範学校で学んだあとリセで哲学の教授をつとめ、ボルドー大学に赴任した。1902年からソルボンヌ大学で教育科学講座に転じ、以後教育に関する著作が多くなる。第一次世界大戦の影響で静養することとなり、そのまま亡くなった。
簡単にいえば社会学主義を提唱し、個人と社会の関係について新たな考え方を提起しようとしたものである。
デュルケームが生きたのは産業社会であり、社会内部の相互作用の密度が増大するにつれて、分業もまた増大し、個人が社会に属する環節社会の機械的連帯から、個人が個性化し互いに異なる機能を果たし相互に依存する有機的連帯へと移行していく、というのが望ましい社会の在り方であると主張したのである。
またデュルケームは社会的事実、つまり集合意識の存在を基本的考え方におき、集合意識が個人の意識に内在しつつ、しかもなお外在的であるとしたのだ。彼の主張する社会的事実はまだあいまいな存在であり、パーソンズらのシステム概念の導入によってようやく説明できるようになった。さらにその主張は新しく、まだ当時の人々にたやすく理解できたとは言えない。しかしこのような限界はありつつも、個人と社会のシステムの分離をデュルケームは唱えたのである。こうして社会学は実証的に研究することができる、独自の対象を持つ独立した経験科学として出発したのである。
デュルケームのもう一つ大事な概念がアノミーである。アノミーとは社会による欲望の無機性上体を意味し、産業化によって宗教・政治・同業組合といった伝統的な権威が崩壊し、欲望はコントロールされることなくアノミーが常態化する、そんな時代をデュルケームは生きていた。そうして自殺の中でアノミー的自殺が増加することになった、というのが彼の『自殺論』なのだ。
これらのデュルケームの思想は様々な形で変容を遂げながら現代の社会学にも残っているのである。
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