エラッタ(英:errata)とは、erratumの複数形で、「誤り」「誤字」「誤植」を意味する単語である。
また、転じて以下の様にも用いられる。
- 文章の誤りを正すために別途作られた「正誤表」のこと。
かつては書籍に紙が挟まれていた時代もあったが、インターネットが発達した現在では、コスト削減も兼ねてHP上に掲載されていたりする。
- マイクロプロセッサに存在する構造上の欠陥。ソフトウェアでいうところのバグ
に相当する。
エラッタのある機器は本来の仕様と異なる動作を引き起こすため、エラッタはチップの設計を見直す時などに修正されている。
- トレーディングカードゲームにおける「パワーレベルエラッタ」のこと。
本記事では3.について説明する。
パワーレベルエラッタとは
既に発売されているカードのテキストを変更することで、能力の変更・ゲームバランスの修正・ルール上の矛盾や不都合を修正することを指す。そのため上方修正/下方修正両方において用いられる。
なお、テキストが変更される前と後のカードが混在する場合には、当然ながら修正後のテキストに則って処理される。作品によっては「テキスト修正前のカードはオフィシャル大会では使えない」という場合もあるので要確認。
例1:『遊戯王OCG』の「クリッター」
一番最初に登場した時のテキストはこちら。
「自身の戦闘能力はたいしたことがないが、特殊能力でモンスターのサーチができる」カードである。
このテキストではどこからでも墓地に送りさえすればサーチ能力を発動できるため、あるデッキに利用されて大暴れした。
そこでパワーレベルエラッタがかかり、能力が下方修正された。その際のテキストがこちら。
このカードがフィールド上から墓地に送られた時、
自分のデッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を選択し、
お互いに確認して手札に加える。その後デッキをシャッフルする。
これにより「1回フィールドに出さなければサーチ能力を発動できない」とされた。
しかしそれでもなお強すぎたため、禁止と制限復帰(デッキに1枚だけならOK)を繰り返していた。
現在では再度パワーレベルエラッタによる下方修正がかかり、使用制限が解除されている。
現行のテキストがこちら。
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードがフィールドから墓地に送られた場合に発動する。
デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を手札に加える。
このターン、自分はこの効果で手札に加えたカード及びその同名カードの発動ができない。
「同名カードによるサーチ能力が使えるのは1ターンに1回だけ」「これでサーチしたカードが使えるのは次のターンから」というさらなる制限が加わった。
例2.『Lycee』の「奇跡」
パワーレベルエラッタにおいて今でも語り草となっている伝説のカード。
一番最初のテキストでは以下の効果だった。
自分のゴミ箱のカード全てを持ち主のデッキの一番下に置く。
デッキをシャッフルする。
このターン終了時、自分はゲームに敗北する。
Lyceeでは「プレイヤーのライフ≒デッキの残り枚数」なので、簡単に言えば
「墓地のカードを全てデッキに戻してシャッフル&ライフ全回復、ただしこのターンで勝てなければ強制敗北」といった効果である。
本来ならば「土壇場での大逆転」を演出するために作られたのであろうが、同一ターン内の使用回数制限が無かったことがケチの始まり。実際には「何度でも奇跡を起こして相手をワンキルする」用途で用いられて大暴れ。その結果下記のパワーレベルエラッタを受けてしまったのだが…。
わずか数文字消すだけで「使った者に勝利を約束するカード」から一転、「使った瞬間に敗北が確定するカード」になってしまった。
「奇跡は起きないから奇跡」とはよく言ったもんである。
関連項目
- トレーディングカードゲーム
- TRPG
- ビーフアップ(上方修正) / ナーフ(下方修正)
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