エルキュール・ポアロ(Hercule Poirot)とは、アガサ・クリスティの推理小説に登場する架空の私立探偵である。
ポワロと表記する向きもある。
概要
シャーロック・ホームズと並び、世界的に有名な名探偵。長編33、短編54、戯曲1がアガサ・クリスティによって書かれ、同作者のミス・マープルと並んで広く知られている。
初登場は1920年に発表された『スタイルズ荘の怪事件』。代表作は『アクロイド殺し』『オリエント急行の殺人』『ABC殺人事件』など。
たびたび映像化されており、中でも知名度が高いのは1989年から2013年にかけてイギリスで製作・放送されたテレビシリーズ「名探偵ポワロ」だろう。ポアロ役を務めたのはデヴィッド・スーシェで、彼をして最高のポアロと評する声は多い。
相棒・ヘイスティングズの他にも秘書のミス・レモン、スコットランドヤードのジャップ警部をレギュラーとする事でドラマ独自の人間模様を加え、ユーモラスで微笑ましい描写は好評を博した。日本語吹替は熊倉一雄が担当、氏の独特な声と相まって印象が強い。
直近では2017年、ケネス・ブラナーが『オリエント急行の殺人』を題材とした映画『オリエント急行殺人事件』でポアロを演じた。他、ピーター・ユスティノフ、アルバート・フィニーらが映画でポアロを演じている。
人物
ベルギー人。ベルギー南部出身。名前の「エルキュール」はギリシャ神話の英雄・ヘラクレスのフランス語読みであり、ヘラクレスの12の功績になぞらえた短編集『ヘラクレスの冒険』がある。
家族については彼自身の口から語られるのみで、真実であるかは不明。『ビッグ4』では双子の兄弟・アシルがおり、自分よりも頭が良いと語っていた。作中でアシルが登場する機会があったが、実はポアロの変装で、結局実在しない事になっている。ちなみに「アシル」はヘラクレスと並び知られるギリシャ神話の英雄・アキレウスのフランス語読み。
母国では警察官を経て署長にまで出世した後に引退。第一次世界大戦によってイギリスに亡命し、スタイルズ荘近くのリーストウェイズ・コテージで暮らしていた。ここで旧友のアーサー・ヘイスティングズ大尉と再会し、スタイルズ荘で起きた殺人事件を解決。以後ヘイスティングズとルームシェアし、探偵として多くの難事件を解決した。
名前とは裏腹に、身長163cmの小男。つるりとした卵型の頭、ぴんと跳ね上がった大きな口髭、見るものを引き付ける緑色の目が特徴。性格はかなりの自信家で、彼の代名詞である「灰色の脳細胞」をフルに活用できると自負している。気障で細やかな性分で、整理整頓がなっていないと我慢が出来ない。
フランス語訛りの英語を使い、合間にフランス語を混ぜた話し方で、時に英国人を油断させて事件に関わる情報を引き出すこともしばしば。反面フランス人と誤解されると露骨に気分を害し、すぐにベルギー人であると訂正を入れる。
推理方法
容疑者との会話や尋問内容などから情報を引き出して状況と照らし合わせ、心理分析によって謎を解き明かしていくスタイル。
物的証拠については、地面に這いつくばってあれこれ探すやり方を好まない。とはいえ物的証拠を軽んじている訳ではなく、心理分析と合わせて推理を行う。
全ての謎を解明した後に容疑者を一室に集めて説明、真犯人を指し示す。このスタイルは後に多くの推理小説において踏襲される「お約束」の一つとなった。
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