エルサゲート(elsagate)とは、YouTubeにおいて子供向け動画を装った不適切な表現を含む動画、またはそのような動画が投稿される問題を指して言う言葉である。
概要
動画共有サイト最大手であるYouTubeは現在、小学生やそれに満たない幼児層までに利用者層が広がっている。実際youtube公式は子供向けの動画のみをフィルタリングして表示する「YouTube Kids」というアプリを配信しており、投稿者側にも幼児層に馴染みの深いキャラクターの人形やおもちゃを用いた動画を投稿する者も数多くいる。
エルサゲートとは、そういった子供向け動画に見せかけておいて実際には
実際に子供が見るのに適さない・見た子供がショックを受けるような内容を含む動画を指す。動画は主に実写もしくはCGアニメーション、まれにクレイアニメなどの手法が用いられることもある。
元々問題となった海外では『アナと雪の女王』のエルサ(「エルサゲート」という呼び名は彼女が由来)などがこういった動画の題材にされていたが、近年では日本人向けのエルサゲートも増加しており、アンパンマンなどの作品が使用されているようだ。
これらの作品を使用する事や、動画の説明文に「教育」などといった単語を挟むことによって、YouTube Kidsのフィルタリングをすり抜けて子供が視聴してしまう事が問題となっている。こういった動画が量産される意図については諸説あるものの、子供は無意識に関連動画へのジャンプを繰り返しやすいため、再生数(≒広告収入)を稼ぎやすいから…とされる事が多い。
変遷
子供向け動画を装ったナンセンスな動画が再生数を稼いでしまう問題は2016年頃からすでに一部で認知されていたが、2017年に入るとredditなどでこの問題について議論する草の根グループが現れる。この時「エルサゲート」という呼び名が生まれたのは、当初は問題の動画から児童の洗脳や人身売買などに関わるメッセージを「解読」するという、「ピザゲート」にあやかった陰謀論的な性向が強い活動であったことが背景にある。(参考記事
)
その後徐々に海外の各種メディアが大きく取り上げるようになり、YouTubeに広告を掲載している一部企業は広告を取り下げる事態にまで発展した。YouTube運営はこれを受け年齢制限のポリシーを大幅に見直し、フィルタリングの強化や該当チャンネルの凍結に乗り出しているが、根絶には至っていない。
2018~2019年には日本のマスメディアもこの問題を取り上げるようになり、国内での知名度が増すこととなったが、報道では2010年代以前に作られたニコニコ動画やFlashなどのコンテンツを取り上げるなど、本来の問題と乖離した内容も混ざっていた。その結果、国内のYouTuberがすでにアップロードしていた動画(騒動の少し前に話題になっていた「ゴルドスマッシュ姉貴」など)のみならず、テレビで放送されている普通の教育番組等に至るまで「エルサゲートかどうか」という議論が、本記事の掲示板も含めて一時期活発になっていた。しかしその定義や線引きは人によってだいぶ異なっている様で、結果的に現在国内において「エルサゲート」は主観的かつ非常に曖昧な概念として使われるようになり、ニコニコにおけるタグ付けも子供向けかどうか以前に「それっぽい」動画に対するものが大半である。
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世界的に見ても、2020年代に入ると「Elsagate」という言葉そのものは風化した感がある(参考:Googleトレンド
)が、児童に人気なコンテンツに便乗した動画の粗製乱造が行われている状況は変わっていない、どころか悪化すらしている。例として、2020~21年に宇宙人狼ゲーム「Among Us」が大流行した際には同作のキャラが登場する低品質な動画が量産され「Elsagateの次はSusgateだ」などと揶揄されている。(参考
)
2024年頃からは「Elsagate」に代わって「Content Farm(コンテンツファーム)」という言葉が盛んに用いられるようになっている。この単語自体は2011年にGoogleが提唱したものであり新しいものではないのだが、標的となるコンテンツがテレビや映画から、web上で公開された動画やゲームに移っていった点や、生成AIの台頭によって低品質な量産された動画と向き合うのが子供だけの問題ではなくなったという時代の変化が反映されたといえる。
関連動画
騒動当時に「エルサゲート」として話題になった動画の転載動画群。
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