エルニーニョ現象とは、東太平洋赤道部分で海面水温が平年より高温になる状態が1年程度続く自然現象である。
概要
正常なとき、赤道に沿った太平洋の海水温は以下の断面図のような様子になっている。
数年に一度、何らかの原因で太平洋を流れる赤道海流が弱まると、暖水が西太平洋に集まるスピードが弱まり、西太平洋、中部太平洋に暖水が広がる。すると、中部太平洋の気圧が下がり、西風バーストの強化・東進が促され、暖水が東太平洋に広がる。
これにより、西太平洋に広がる貿易風が弱まるなどの気圧の変動がおこる。この変動が世界中に影響を及ぼし、結果異常気象が起きる。また何らかの原因で太平洋を流れる赤道海流が強まると、海水温が平常値に戻り、異常気象も収まっていく。
この自然現象のうち、特に東太平洋赤道部分の海水温上昇をエルニーニョ現象という。
一方、エルニーニョ現象とは逆に東太平洋赤道部分の海水温が下降する現象もあるが、これはラニーニャ現象と呼ばれている。エルニーニョ現象やラニーニャ現象は数年に一度は起こる。
エルニーニョ現象及びラニーニャ現象の定義は世界的に統一されていないが、気象庁ではエルニーニョ現象を「NINO.3海域(北緯5度~南緯5度、西経150度~90度)月平均海面水温の基準値(その年の前年までの30年間の各月の平均値)との差の5か月移動平均値が6か月以上連続して+0.5℃以上になった場合」、ラニーニャ現象を「同じく5か月移動平均値が6か月以上連続して-0.5℃以下になった場合」と定義している。
エルニーニョ現象発生時、統計的に見ると日本では夏は気温が低く冬は気温が高い傾向はあるが、逆の場合もあり地域差も大きいため一概には言えない。
なお、本来エルニーニョとはペルーからエクアドルにかけての地域でクリスマスの季節になると海水の水温が高くなり塩分が少なくなる現象のことを指していた。スペイン語でエルニーニョ(El Niño)とは「男の子」「イエス・キリスト」等を意味する(スペイン語でelは男性単数定冠詞(英語の「the」にあたる)、niñoは男の子を意味する男性名詞)。ラニーニャ(La Niña)とはスペイン語で「女の子」という意味で、エルニーニョ現象と逆の現象であることから名付けられた。
発生の原因についてはいくつかの説があるものの、はっきりとわかってはいない。地球温暖化との関連もよくわかっておらず、研究者の間で意見の相違が見られる。
関連動画
関連商品
関連項目
外部リンク
- 4
- 0pt