エルンスト・ゴンブリッチ / エルンスト・ハンス・ヨセフ・ゴンブリッチ(1909~2001)とは、オーストリアの美術史家である。
概要
ウィーンのユダヤ人家庭に生まれる。ユリウス・フォン・シュロッサーの弟子としてウィーン大学で学んだあと、渡英。ロンドンのウォーバーク研究所(ハンブルクから移転されたヴァールブルク研究所)に入り、ヴァールブルク学派の美術史家として活躍する。1957年にロンドン大学美術史講座教授、1959~1976年にかけてウォーバーク研究所の所長を務める。
ゴンブリッチの理論は美術史を政治、文学、哲学といったほかの分野の歴史にも関わらせるものである。それはアビ・ヴァールブルクの「情念定型」の繰り返しに着目し、図像解釈を世界観の定立と不可分の問題だという主張や、ゲシュタルト心理学者ヴォルフガング・ケーラーの絵画から形状を知覚しているという主張を引き継ぐものである。
つまり、ゴンブリッチは、すべての表現は芸術家が使い方を学ぶ「図式」に根拠を置いているとし、芸術作品における「鑑賞者の役割」を強調したのだ。つまりパフォーマンスと同様、絵画の場合も芸術家と鑑賞者という図式は、文化的構築に対する制約、およびその助けでもあるのだ。
さらにゴンブリッチは「図式」の変化にも言及する。芸術家は伝統的なモデルと、いま目にしている現実との食い違いに気付いた芸術家による「図式」の「修正」が行われるのである。つまりトマス・クーンの「パラダイム」の概念である。そして、それが行われるためには、実は芸術家はいくつかの場所や時代において、他に取るべき図式を知っている、というのがゴンブリッチの答えである。
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