- アメリカの警察用語で勤務当番(Watch)が終了する事。End of Tourと同義。
- 1から転じて、警察官の殉職を意味するスラング。End of Tourも同様。
- 2012年に公開されたアメリカの警察映画。
ここでは3を説明する。
概要
監督 | デヴィッド・エアー |
脚本 | デヴィッド・エアー |
エンド・オブ・ウォッチ(原題:End of Watch)とは、2012年に公開されたアメリカの警察映画である。日本では2013年夏に公開された。
タイトルがネタバレな作品としても知られており、例えて言うと「ポートピア連続殺人事件~犯人はヤス~」みたいなもの。だがそれも計算されている、角度とか。
内容は、ロサンゼルス市警察ニュートン警察署の特別パトロール班(Extra Patrol Unit)に所属する二人の制服警官を主人公に、LAで最も治安の悪い地区で活動する警察官を描いたもの。単に警察官の仕事だけでなく、その仕事に就く人々の人生観や仲間や家族との絆も描く。
LAPDや現役警察官の監修を受けただけあって、装備や警官の仕草など、非常にリアルさを重視した作りになっている。また主観視点を多用した撮影方法により、あたかも自分が事件現場に臨場したかのような迫力がある。
あらすじ
ロサンゼルス市ニュートン地区。ここはロサンゼルスでも最も治安の悪い地区の一つである。ここの特別パトロール班に勤務する二人の制服警官がいる。ブライアン・テーラー巡査とマイク・ザバラ巡査。二人は日々パトカーを流し、危険なパトロール任務を行っている。
ある日の夜、アフリカ系ギャングがヒスパニック系ギャングから銃撃を受ける事件が発生。二人はそれをきっかけに、ヒスパニック系ギャングの事件に関わっていく事になったのだが・・・。
登場人物
LAPDニュートン分署
- ブライアン・テイラー巡査 - ジェイク・ギレンホール
- マイク・ザバラ巡査 - マイケル・ペーニャ
- ヴァン・ハウザー巡査
- オロスコ巡査 - アメリカ・フェレーラ
- ギャビー巡査 - ナタリー・マルティネス
- 巡査部長 - フランク・グリロ
- リース警部 - ジェイミー・フィッツシモンズ
連邦入国管理税関局
メキシコ系ストリートギャング
主人公の関係者
デヴィッド・エアーと警察映画
監督のデヴィッド・エアーは以前も警察映画に関わっているが、それらはLAPDを舞台とした汚職モノの警察映画であった。一つは、デンゼル・ワシントンが第74回アカデミー賞主演男優賞を受賞した「トレーニング・デイ」。これは腐敗した麻薬課の刑事をワシントンが演じたもので、エアーは脚本を担当した。もう一つは、ジェイムズ・エルロイの「ダーク・スティール」(原題:Dark Blue)を原作とする同名の映画。ロドニー・キング事件の裏で暗躍する汚職刑事の話で、やはり脚本を担当した。
そのエアーが汚職でも陰謀でもなく、一介のパトロール警官と、彼らにとってのLAPDを描いたのが本作である。
解説
以下は記事主独断の解説である。ソースはコメンタリーなど映画の公式資料にあるものはそれを、それ以外のものについては警察関係はLAPD及びマニアサイトの資料などを参考にした。
撮影
撮影では主観視点が多用されている。その映像は一見すると劇中で登場する携帯カメラや、パトカーの車載カメラそのものの映像かのように思われるが、実際は映画用のカメラを使って撮影された。
例えば冒頭のカーチェイスの映像。一見すると普通のパトカー用車載カメラ(ダッシュカム)の映像に見えるが、実際は映画撮影用のカメラをそれらしい位置に設置し撮影したものである。運転はスタントマンが行い、助手席には監督が直接座ってカメラの制御を行った。ダッシュカムと同様に文字の記録も入っているが、アレはあとからCGで合成したとの事。文字にはL(ライト)、S(サイレン)、B(ブレーキ)の表示もあり、これは本来はそれらの作動状態によってついたり消えたりするものだが、CGも本物に倣って付けたり消したりした。結構面倒くさかったそうな。撮影にあたっては朝方の時間を選び、付近を封鎖して近隣住民の許可を得て行ったという。
ブライアンがパトロール中にハンディカムで映像を撮影しているが、これはキャノンXA10という業務用の小型HDカムコーダが使用された。アメリカでの定価は$1,699と、普通のハンディカムの2倍以上の値段がするもの。パトカー内で二人の警官を写すカメラも、バラエティ番組で使うようなCCDカメラではない。こちらはシリコンイメージ社SI-2Kという映画用カメラを小型改造したものが使用された。
劇中ではブライアンによって制服のポケットフラップに小型カメラがつけられ、それで捉えたようなFPSの如き主観映像が多用されていた。だがあんなピンホールカメラのようなもで、あれほど鮮明に撮れるはずもなく、実際は改造した映画撮影用カメラの映像である。ユニット全体だとかなり大きいもので、レンズなど機器がビッシリついたベストのようなものを着込み、さらに技術者が常に役者と帯同して操作しなければならない。→撮影の様子
空撮も効果的に行われた。ヘリをチャーターして空撮したのだが、この時に地上にいる本物のパトカーを撮影し、これを映画で使ったとのこと。つまりテイラーとザバラが乗車しているパトカーのように登場しているのは、実は任務中の本物のパトカーなのだ。監督曰く「お陰で良い画が撮れた」。
警察の協力
この映画は警察の協力を受けて撮影しており、役者への訓練や監修の他、撮影協力もしている。映画冒頭で警察署の駐車場のシーンがあるが、これは本物のニュートン警察署の駐車場で撮影された。つまりあそこで写っているのは本物のパトカーなのである。監督曰く「低予算映画なのに、お陰でパトカーを沢山並べた画が取れた」。ロッカールームやブリーフィングのシーンでは、ロサンゼルスの隣街であるイングルウッド市の警察が協力している。
主役の二人が受けた訓練は五ヶ月に及んだ。射撃、戦術、格闘を学び、3つの機関でパトカーへの同乗もした。もう本職の警官になれるんじゃね。
コールサインの意味と担当地区の割り振り
主人公らが劇中で使用するコールサインは13X13である。これの意味を解説すると
つまり13X13とは「ニュートン警察署の13号地区を担当する、特別パトロール班のパトカー」という意味である。
さて、ニュートン警察署における地区割は以下のようになっている。
上記はニュートン地区の通常パトロール班の地区割りを示したもの。真ん中あたりにある★がニュートン署。各地区に書かれている数字とアルファベットはパトカーのコールサインである。コールサインは基本的に上記と似たようなものだが、アルファベットが「A」になっている。Aは二人乗車の通常のパトカーを意味している。
特別パトロール班も多分これに準じた地区割りになっているだろうから、13X13の担当はセントラルアベニュー、オリンピックブルバード、27丁目に囲まれた地区であろうと考えられる。
ちなみに。冒頭の駐車場のシーンで、新人の女性巡査が自分の車が見つからずアタフタしながら車体の番号を確認しようとすると、先輩が「そこ全部13だよ」と注意する様子が見られた。LAPDのパトカーのトランクと屋根には対空表示が施されており、トランクに書かれている白い数字は警察署を示す符号である。つまりニュートン署のパトカーはあそこが全部13になっているので、そこを見ても自分の車は分からないのだ。屋根に書いてある識別番号やナンバープレートなど、車両毎の固有番号を見ないと。
ボディカメラ
ブライアンが自分とマイクの制服につけていた小型カメラ。劇中ではブライアンの個人的な目的で装着していたものだが、昨今のアメリカの警察はああいったものを制式装備として採用する事例が増えている。目的は警察官の目線に近い動画証拠を保全すること。このカメラで撮影された動画は、適正な制圧・執行であればそれを証明するものとなり、違法なものであれば警察官を訴追する証拠となる。特に銃を使用した状況においては、それが射撃要件を満たしたものかを判断する上での重要な証拠となる。
元々同様の目的でパトカーに装着されるカメラもあるが、これはパトカーの正面や後方で制圧が行われるのでなければ、撮影された動画は判断材料としては不十分である。当然、車両で進入できない室内での出来事を撮影することはできない。そこでボディカメラを採用し、パトカーの車載カメラ、民間の監視カメラなどと合わせて、多角的に検証を行う。より警察官の目線に近く、正面方向を撮影できるので、射撃・制圧に至るまでの被疑者の様子も把握し易い。加えて、最近のモデルはハイビジョン撮影を可能とするイメージセンサーが搭載されているので、かなり鮮明な画像を撮影することも可能である。映画が撮影されたのは2011年だが、普及が始まったのもその頃からなので、本作は時代の最先端をいってたことになる。
youtubeで「police body cam」で検索すると色々出てくる
関連動画
関連商品
関連項目
- 1
- 0pt