エンブロイダリー(Embroidery)とは、2022年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牝馬。
主な勝ち鞍
3歳(2025年):桜花賞(GⅠ)、クイーンカップ(GⅢ)
生産者はノーザンファーム、所有者は(有)シルクレーシング、管理調教師は森一誠(美浦)。
概要
父アドマイヤマーズ、母ロッテンマイヤー、母父クロフネという血統。
父はダイワメジャー産駒で香港マイルなどマイルGⅠ3勝。エンブロイダリーは初年度産駒である。
母はブエナビスタなど重賞馬6頭を出した名牝ビワハイジを祖母に持つ良血馬で、競走馬としてもOP忘れな草賞を勝利している。エンブロイダリーは第2仔。
母父は言わずもがなの名馬にして名種牡馬。ブルードメアサイアーとしてもクロノジェネシスやスタニングローズなど多くのGⅠウイナーを送り出している。フィリーサイアーの傾向は母父に入っても変わらない様子。
馬名の由来は「刺繍。母名からの連想」ということで、おそらく「アルプスの少女ハイジ」に登場する執事ロッテンマイヤーが暇さえあれば刺繍をしていることからの命名であろう。
3代母ビワハイジから続く連想ゲーム的な命名で、2代母アーデルハイトは「アルプスの少女ハイジ」の主人公ハイジの本名(「ハイジ」は「アーデルハイト」の短縮形)、母ロッテンマイヤーは上述の通りで、エンブロイダリーの1歳上の半兄ゼーゼマンも「アルプスの少女ハイジ」に登場するクララの父親の名前である。
シルクレーシングで1口6万円×500口の計3000万円で募集され、2024年に開業したばかりの美浦の森 一誠調教師に預けられた。
アルプス仕込みの刺繍家
2歳(2024年)
2歳6月の東京マイルでジョアン・モレイラを鞍上にデビュー。中団のインから直線もスムーズに捌いて上がり最速で詰め寄ったが先行したミリオンローズを捕まえきれず2着に敗れる。
翌月新潟に遠征し芝1800mの未勝利戦に出走。クリストフ・ルメールに乗り替わったここは、楽にハナを切ると直線軽く追われただけで後続をぶっちぎり7馬身差の完勝。しかも最後50m近く流しているのに勝ち時計は2歳コースレコードを0.9秒も更新する1分45秒5というとんでもない競馬をやってのけてしまった。
これはモノが違うのでは、ということで9月29日の自己条件のサフラン賞(中山芝1600m)は単勝1.2倍の一本被りとなった。しかし出遅れるわ引っ掛かるわで終始噛み合わず、さらに前残りの展開にも祟られ、上がり最速の末脚も不発の5着に敗れてしまう。
この後11月16日東京芝1400mの条件戦に回り、ここは中団から外目を力強く伸びて1馬身1/4の着差以上の余裕を見せる快勝。GⅠ戦線には向かわず4戦2勝で2歳シーズンを終える。
3歳(2025年)
クラシックシーズン初戦は得意の東京コースを選びGⅢクイーンカップに出走。ライバルの格が上がったこともあったが、割れた3番人気と案外人気は集まらなかった。
このレースは前年課題だったゲートが決まり2番手追走の積極策。直線半ばで抜け出すと後続を全く寄せ付けず、2馬身半差の完勝。1分32秒2のレースレコードというおまけつきで初重賞制覇を飾った。父アドマイヤマーズにとっても産駒の初重賞勝利となった。
このあと桜花賞に直行。2歳女王アルマヴェローチェ、GⅢフェアリーS圧勝のエリカエクスプレスなど多士済々のメンバーが集い、エンブロイダリーは単勝5.0倍の3番人気という支持を受けた。能力は高く評価された一方、サフラン賞の大敗から右回りが不安という声もあった。なおC.ルメールが海外遠征で不在のため新馬戦以来のジョアン・モレイラ騎乗となった。
朝からの雨で稍重の阪神競馬場。あまり速くはないスタートだったが、モレイラは促してポジションを取りにいき、ちょうど中間あたりでアルマヴェローチェの内にぴったり並ぶように位置取る。前はエリカエクスプレスが逃げるよもやの展開で、馬群は均等にばらける形。これが4角でギュッと一塊になり、内へ外へと入り乱れながら直線を向く。
4角でアルマヴェローチェ鞍上の岩田望来がそのまま外目で仕掛けたのに対し、モレイラは一瞬仕掛けを遅らせて内に2列ほど切れ込み、空いたスペースから改めて1列外に持ち出しゴーサインという巧みな進路取り。外目を抜け出そうとしたアルマヴェローチェに再び内から並びかけ前に出る。アルマヴェローチェも粘ったがクビ差振り切ってゴール。2歳女王を下してクラシック制覇を果たした。
鞍上のジョアン・モレイラは前年のステレンボッシュに続き、史上7人目の桜花賞連覇。調教師の森一誠は開業2年目でクラシック制覇。GⅠ初出走にして初勝利という快挙を達成した。アドマイヤマーズ産駒も初のGⅠタイトルとなった。また桜花賞当日は奇しくも母母父のアグネスタキオンの誕生日だったため「アグネスタキオンの誕生日にその子孫がG1を制覇した」という出来事が起こった。
「特別な馬。三冠を狙ってもいい」とレース後モレイラが語っていたように、この後は牝馬三冠の次戦に向けて距離延長、オークスを狙う方針。不利の中で3着に飛び込んだリンクスティップらが虎視眈々と樫の女王を狙う中、アドマイヤマーズ産駒の距離適性も試される舞台になりそうだ。
血統表
アドマイヤマーズ 2016 栗毛 |
ダイワメジャー 2001 栗毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
スカーレットブーケ | *ノーザンテースト | ||
*スカーレットインク | |||
ヴィアメディチ 2007 栗毛 |
Medicean | Machiavellian | |
Mystic Goddess | |||
Via Milano | *シングスピール | ||
Salvinaxia | |||
ロッテンマイヤー 2013 鹿毛 FNo.16-c |
*クロフネ 1998 芦毛 |
*フレンチデピュティ | Deputy Minister |
Mitterand | |||
*ブルーアヴェニュー | Classic Go Go | ||
Eliza Blue | |||
アーデルハイト 2007 鹿毛 |
アグネスタキオン | *サンデーサイレンス | |
アグネスフローラ | |||
ビワハイジ | Caerleon | ||
*アグサン |
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