エヴァートン(Everton Football Club)とは、イングランド・プレミアリーグに所属するサッカークラブである。本拠地はリヴァプールで、ホームスタジアムはグディソン・パーク。愛称はトフィーズ。
概要
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1878年に創設。1888年に始まった現在のプレミアリーグの原点と言えるフットボールリーグに最初から参加していた12クラブのうちの1つであり、1980年代までは9度のリーグ制覇を含め、数多くのタイトルを獲得し、2014-2015シーズンまでイングランド1部リーグに在籍したシーズン数が112シーズンで国内トップを記録するなど、プレミアリーグ屈指の古豪である。
1992年のプレミアリーグ発足後は中堅の位置に甘んじており、近年は欧州カップ戦出場権まであと1歩のところで届かないことが多く、プレミアリーグ発足後に獲得したタイトルはわずか2つとなっている。
同じくリヴァプールを本拠地とするリヴァプールFCとはライバル関係にあり、両クラブの試合はマージーサイド・ダービーと言われ非常に盛り上がりを見せる。1884年から8年間は、現在リヴァプールFCが使用しているアンフィールドをホームスタジアムとしていたが、1892年に当時のアンフィールドのオーナーがエヴァートン側に値上げを要求したために移転、同1892年からはアンフィールドから公園を挟んでわずか2kmしか離れていないグディソン・パークを使用。それに入れ替わるようにしてライバル・リヴァプールFCがアンフィールドをホームスタジアムとして使用し始めた。
クラブカラーはロイヤルブルーであり、伝統的に青のシャツと白のパンツを着用しており、クラブのサポーターは口語で「エバートニアン」または「ブルース」と呼ばれている。有名人ではビートルズのポール・マッカートニーがエヴァートンのファンであることを明言している。
歴史
1878年、セント・ドミンゴスクールのサッカークラブとして設立。実力が上がるのと共に域外からの選手獲得も行われるようになり、1879年により広義な名称である「エヴァートンFC」に改称。
1888年に発足された世界最古のリーグであるフットボールリーグに創設時から参加しており、1890-91シーズンに初のリーグ優勝を果たしている。その後も安定した強さを持ちながらタイトルに縁が無かったが、1906年にFAカップで初優勝。1914-1915シーズンには2度目のリーグ優勝を達成している。
第一次世界大戦勃発によるリーグ中断後は中位に留まる時期が続くが、1925年にディキシー・ディーンが加入するとクラブに黄金期が訪れる。ディーンは1928-29シーズンに1シーズンで60ゴールというとてつもない記録を打ち立て、3度目のリーグ優勝をもたらす。これは現在も破られていないクラブレコードであり、ヨーロッパレコードでもある。1930年によもやの2部降格に見舞われるが、わずか1年で1部に復帰。その後に1932-33シーズンに2度目のFAカップ優勝、1937-38シーズンに4度目のリーグ優勝を果たす。
第二次世界大戦勃発によって再びリーグが中断となった後は多くの選手が離脱したことでチームは分裂した状態となり弱体化。資金不足にも陥っていた1950年には2度目の2部降格の憂き目に遭う。このときは1部に戻るまで3年を要するが、1953年に復帰して以降はトップリーグの地位を維持し続けることになる。
1961年にハリー・カタリックが監督に就任すると二度目の黄金期が訪れる。1962-63シーズンに5度目のリーグ優勝を果たすと、1965-66シーズンにFAカップを優勝。1969-70シーズンには2位のリーズ・ユナイテッドに9ポイント差を付けての独走状態で6度目のリーグ優勝。さらに1963年から1967年まではイングランドのクラブとしては初となる5年連続での欧州の大会への出場権を獲得している。
カタリック監督が引退した1973年以降はリーグでは上位の常連となっていたものの、1980年代に入るまで無冠の時代が続いていた。また、この時期は宿敵のリヴァプールFCがボブ・ペイズリーのもとで黄金期に突入した時期であり、エヴァトニアンにとっては悔しい時期でもあった。
この時代に終止符を打ったのは1983年に監督に就任したハワード・ケンドールだった。1983-84シーズンのFAカップ優勝によって14年ぶりのタイトル獲得をもたらすと、1984-85シーズンには15年ぶりのリーグ制覇とクラブ史上初の国際タイトル獲得となるUEFAカップウィナーズカップ優勝の二冠を達成。リヴァプールの街の2クラブがリーグの覇権を争う時代となった1986-87シーズンには前年に優勝を許したリヴァプールFCから覇権を奪還する形で9度目のリーグ優勝を飾る。この頃のエヴァートンは欧州随一の強さを持つと評されていたが、ヘイゼルの悲劇によってイングランドのクラブは欧州の大会から追放されていたために欧州のタイトルに挑戦するチャンスを失っていた。
1992年にはプレミアリーグの創設初年度の参加チームの一つとなるが、1995年にFAカップを優勝したものの、資金力を手にした他のクラブ相手に苦戦を強いられてリーグでは中位が定位置となってしまう。
降格の危機に直面するほどの不振に陥った2001-02シーズンの途中にデイヴィッド・モイーズが監督に就任。初年度を15位で終え、チームを残留に導くと、2002-03シーズンにはベテランの主力を放出し世代交代に着手。さらに当時16歳だったウェイン・ルーニーがリーグ最優秀新人賞に選出される活躍を見せ、リーグ7位と躍進。モイーズはこの年の最優秀監督に選出され、長期政権の足掛かりを築く。
2003-04シーズンになるとルーニーやダンカン・ファーガソンがモイーズと対立したこともあってチームに不協和音が広がり、17位と低迷する。だが、クラブは神童ルーニーを巨額の移籍金でマンチェスター・ユナイテッドへと売却し、モイーズを支持する形となる。不満分子を一掃したチームは2004-05シーズンに快進撃を見せ、プレミアリーグ創設後最高順位となる4位でシーズンを終え、34年ぶりにUEFAチャンピオンズリーグ出場権を獲得。もっともCLでは予備予選で敗退し、本戦に出場することはできなかった。
その後、ミケル・アルテタやティム・ケーヒル、フィリップ・ネビルがチームの中心となっていき、ティム・ハワード、ジョリオ・レスコット、フィル・ジャギエルカ、スティーブン・ピーナール、マルアン・フェライニらを加え、モイーズが好む伝統的なブリティッシュ型のフットボールを体現するためのスカッドを完成させていく。2006-07シーズンからは9シーズン連続で一桁順位で終えており、ビッグクラブには叶わないまでも第二集団の筆頭株という安定した地位を確立する。一方で「ビッグ6」越えがクラブとモイーズの至上命題となっていったが、積極的な補強をおこないながらもビッグ6の牙城はなかなか崩せずにいた。
2013年、アレックス・ファーガソンの後釜に指名されたモイーズがマンチェスター・ユナイテッドの監督に就任したため12年間続いたモイーズ政権に終止符が打たれる。後任となったロベルト・マルティネスは前任者とは違うボールを繋ぐ攻撃的なチーム作りに着手。ロメル・ルカクの活躍もあって初年度は5位と躍進するが、その後は2年連続11位と低迷。マルティネスは3年目で退任となる。
2016年からはロナルト・クーマンが監督に就任。モイーズ時代の主力の多くがチームを去り、残った選手も高齢化してきたなかで初年度は7位に入り、UEFAヨーロッパリーグ出場権を獲得。ところが、2017-18シーズンはエースのルカクがユナイテッドに移籍、さらに大型補強した新戦力がことごとく期待を裏切ったことから深刻な得点力不足に陥ってしまう。シーズン序盤でクーマンを解任し、サム・アラダイスが後任となったが、8位で終えたものの前時代的なアラダイスの超守備的なサッカーはファンに支持されなかった。
2018-19シーズンからマルコ・シウバが監督に就任。リシャルリソン、リュカ・ディーニュ、アンドレ・ゴメスなど積極的な補強をおこないチーム改革を図る。だが、2019-20シーズンには降格圏に転落するほどの不調に陥る。ここでクラブはマルコ・シウバを解任し、数々の栄光を培ってきた大物監督であるカルロ・アンチェロッティを招聘。アンチェロッティはドミニク・キャルバート=ルーウィンをエースに抜擢したり、2020年夏には古巣のナポリとレアル・マドリードから教え子のアランとハメス・ロドリゲスを獲得するなどチームを立て直すが、一桁順位に入ることはできなかった。2020-21シーズン終了後、古巣レアル・マドリードの監督に復帰したアンチェロッティはチームを去る。
2021年にラファエル・ベニテスが監督に就任。しかしかつて宿敵リヴァプールの監督だったベニテスに対し一部のファンから反発が起きる。そのベニテスのチームは大きく低迷し、ベニテスはわずか半年で解任される。その後、フランク・ランパード、ショーン・ダイチが監督に就任するが、3シーズン連続でプレミアリーグからの降格の危機に直面することになる。特に2023-24シーズンはリーグ規約違反によって勝ち点10が剥奪されるペナルティが科され、一時は降格は免れないものと見られていた。だが、後半戦怒涛の逆襲を見せ、辛うじてだがプレミアリーグに残留する。
タイトル
国内タイトル
- フットボールリーグ 9回
1890-91, 1914-15, 1927-28, 1931-32, 1938-39, 1962-63, 1969-70, 1984-85, 1986-87 - FAカップ 5回
1905-06, 1932-33, 1965-66, 1983-84, 1994-95 - FAチャリティ・シールド 9回
1928, 1932, 1963, 1970, 1984, 1985, 1986, 1987, 1995
国際タイトル
現在所属する選手
背番号 | Pos. | 国籍 | 選手名 | 生年月日 | 加入年 | 前所属 |
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- | 監督 | ![]() |
デイヴィッド・モイーズ | 1963.4.25 | 2025 | ウェストハム 監督 |
1 | GK | ![]() |
ジョーダン・ピックフォード | 1994.3.7 | 2017 | サンダーランド |
2 | DF | ![]() |
ネイサン・パターソン | 2001.10.16 | 2022 | レンジャーズFC |
5 | DF | ![]() |
マイケル・キーン | 1993.1.11 | 2017 | バーンリーFC |
6 | DF | ![]() |
ジェームズ・ターコウスキ | 1992.11.19 | 2022 | バーンリーFC |
7 | FW | ![]() |
ドワイト・マクニール | 1999.11.22 | 2022 | バーンリーFC |
8 | MF | ![]() |
オレル・マンガラ | 1998.3.18 | 2024 | オリンピック・リヨン |
9 | FW | ![]() |
ドミニク・キャルバート=ルーウィン | 1997.3.16 | 2016 | ノーサンプトン |
10 | MF | ![]() |
イリマン・エンディアイエ | 2000.3.6 | 2024 | オリンピック・マルセイユ |
11 | MF | ![]() |
ジャック・ハリソン | 1996.11.20 | 2023 | リーズ・ユナイテッド |
12 | GK | ![]() |
ジョアン・ヴィルジニア | 1999.10.10 | 2019 | カンプール |
14 | FW | ![]() |
ベト | 1998.1.31 | 2023 | ウディネーゼ |
15 | DF | ![]() |
ジェイク・オブライエン | 2001.3.15 | 2024 | オリンピック・リヨン |
16 | MF | ![]() |
アブドゥライェ・ドゥクレ | 1993.1.1 | 2020 | ワトフォード |
17 | FW | ![]() |
ユセフ・シェルミティ | 2004.5.24 | 2023 | スポルティングCP |
18 | DF | ![]() |
アシュリー・ヤング | 1985.7.9 | 2023 | アストン・ヴィラ |
19 | DF | ![]() |
ヴィクリー・ミコレンコ | 1999.5.29 | 2022 | ディナモ・キーウ |
22 | FW | ![]() |
アルマンド・ブロヤ | 2001.9.10 | 2024 | フラムFC |
23 | DF | ![]() |
ジェイマス・コールマン(C) | 1988.10.11 | 2009 | ブラックプール |
24 | MF | ![]() |
カルロス・アルカラス | 2002.11.30 | 2025 | CRフラメンゴ |
27 | MF | ![]() |
イドリッサ・ゲイェ | 1989.9.26 | 2022 | パリ・サンジェルマン |
29 | MF | ![]() |
イェスパー・リントストローム | 2000.2.29 | 2024 | SSCナポリ |
31 | GK | ![]() |
アスミール・ベゴビッチ | 1987.6.20 | 2024 | QPR |
32 | DF | ![]() |
ジャラッド・ブランスウェイト | 2002.6.23 | 2020 | PSVアイントホーフェン |
37 | MF | ![]() |
ジェームズ・ガーナー | 2001.3.13 | 2022 | ノッティンガム・フォレスト |
42 | MF | ![]() |
ティム・イロェグナフム | 2003.6.20 | 2024 | アストン・ヴィラ |
62 | DF | ![]() |
タイラー・オニャンゴ ※ | 2003.3.4 | 2024 | ストックポウト・カウンティ |
63 | GK | ![]() |
ジャンルク・レバン ※ | 2006.6.10 | 2021 | ファーズリー・セルティック |
67 | FW | ![]() |
マーティン・シェリフ ※ | 2006.6.10 | 2024 | アルメレ・シティFC |
69 | MF | ![]() |
ルーク・ハターフィールド ※ | 2003.9.29 | 2024 | ブラックバーン |
72 | DF | ![]() |
ブラッドリー・ムーナン ※ | 2006.4.2 | 2024 | エヴァートンU-18 |
75 | DF | ![]() |
ロマン・ディクソン ※ | 2004.12.26 | 2024 | エヴァートンU-18 |
79 | MF | ![]() |
オーウェン・バーカー ※ | 2005.2.23 | 2024 | エヴァートンU-18 |
92 | MF | ![]() |
カラム・ベイツ ※ | 2005.9.28 | 2024 | エヴァートンU-18 |
過去の主な所属選手
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歴代監督
ウィリアム・エドワード・バークレー(1888年8月 - 1889年5月)
ディック・モリニュー(1889年8月 - 1901年5月)
ウィル・カフ(1901年8月 - 1918年5月)
ウィリアム・ジェームス・ソーヤー(1918年8月 - 1919年5月)
トーマス・ハーバード・マッキントッシュ(1919年8月 - 1935年5月)
テオ・ケリー(1939年6月 - 1948年9月)
クリフ・ブリトン(1948年9月 - 1956年2月)
イアン・バカン(1956年2月 - 1958年10月)
ジョニー・キャリー(1958年10月 - 1961年4月)
ハリー・カタリック(1961年4月 - 1973年4月)
トム・エルグストン(1973年4月 - 5月)※暫定
ビリー・ビンガム(1973年8月 - 1977年1月)
スティーブ・バーテンショー(1977年1月)※暫定
ゴードン・リー(1977年1月 - 1981年5月)
ハワード・ケンドール(1981年5月 - 1987年5月)
コリン・ハーベイ(1987年8月 - 1990年10月)
ジミー・ガブリエル(1990年11月)※暫定
ハワード・ケンドール(1990年11月 - 1993年12月)
ジミー・ガブリエル(1993年12月 - 1994年1月)※暫定
マイク・ウォーカー(1994年1月 - 11月)
ジョー・ロイル(1994年11月 - 1997年3月)
デーブ・ワトソン(1997年3月 - 1997年5月)
ハワード・ケンドール(1997年6月 - 1998年7月)
ウォルター・スミス(1998年7月 - 2002年3月)
デイヴィッド・モイーズ(2002年3月 - 2013年6月)
ロベルト・マルティネス(2013年6月 - 2016年5月)
デビッド・アンスワース(2016年5月)※暫定
ロナルト・クーマン(2016年6月 - 2017年10月)
デビッド・アンスワース(2017年10月)※暫定
サム・アラダイス(2017年10月 - 2018年5月)
マルコ・シウバ(2018年5月 - 2019年12月)
ダンカン・ファーガソン(2019年12月)※暫定
カルロ・アンチェロッティ(2019年12月 - 2021年6月)
ラファエル・ベニテス(2021年6月 - 2022年1月)
ダンカン・ファーガソン(2022年1月)※暫定
フランク・ランパード(2022年1月 - 2023年1月)
ショーン・ダイチ(2023年1月 - 2025年1月)
デイヴィッド・モイーズ(2025年1月 - )
関連動画
関連項目
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