オキシジェン・デストロイヤー(Oxygen Destroyer)とは、
- 1954年の本多猪四郎監督による映画『ゴジラ(1954年)』に登場する架空の装置である。
- アメリカで活動しているデス/スラッシュ・メタルバンド(英語表記)。1の装置が名前の由来とされている。バンド自身が"Brutal Thrashing Kaiju Metal(凶暴な怪獣メタル)"を自称するほど、日本の怪獣映画に大きな影響を受けている。
- ゲーム「ブルーアーカイブ」における総力戦『ペロロジラ』のBGM名(英語表記)。こちらも1の装置が曲名の由来とされている。ゴジラモチーフを隠しもしていない。
ここでは、1について解説する。
嗚呼、こんな概要さえ書かなければッ・・・!!
戦争で隻眼となった芹沢氏は、人知れず地下の研究室でただ一人、酸素というものをあらゆる角度から研究し、それを平和技術に応用することを考えていた。
ところが、或る日その過程で思いもよらぬエネルギーを発見し、思わずそれを実用化してしまう。
それがこの水中酸素破壊装置『オキシジェン・デストロイヤー』である(Oxygen=酸素、Destroyer=叩き壊す者 といった意味)。
後述の怪獣の名前はデストロイア、だが、装置自体の名称はデストロイヤーが正しい。
作用は、電磁的に作用させた化合物から発せられる泡状の気体により、その近辺に存在するありとあらゆる生物を窒息させ、さらには液状化させて完全に消し去ってしまうという壮絶なものであった。
この作用はおそらく微小化水素が分子間に入り込んで物質を破壊する『水素脆化』が酸素に置き換わったものに近いのでは? と言われる。
現実にはこれに近い装置で(流石にここまでの威力はないものの)、光触媒や活性酸素を用いた方法で害虫駆除などに使われることもあるようだ。
その威力はあまりにも絶大で、芹沢自身も初実験後、3日間は食事すら喉を通らぬ大きなショックを受け、この装置が『兵器』として地上で扱われることになれば、人類にとって原水爆以上の破滅的な結末を招きかねないと考え、その研究を口外することは無かった。
そう、ゴジラが現れるまでは。
1954年の使用例について
芹沢にはかつて許婚であった山根恵美子という想い人がいた。しかし、先述の傷が元でその縁談は無くなってしまっていた。そして恵美子には新たな恋人尾形がいた。
ゴジラが日本に上陸する少し前、恵美子はその研究成果を取材しに来た記者と共に芹沢宅を訪れていた。
「話すことは無い」と記者を帰してしまった芹沢は『絶対に秘密』 を条件に恵美子にのみ、その研究成果を公表した。
ゴジラが東京に上陸し、東京大空襲以来の惨劇を首都にもたらしたのはその直後であった。
ゴジラの惨状を目にした恵美子は尾形にオキシジェン・デストロイヤーの全てを話す。
そして、二人でその装置を『ゴジラ撃滅の為に使わせてほしい』 と嘆願する。
しかし、芹沢は『もし、このオキシジェン・デストロイヤーを一度使用したが最後、世界のお偉方が黙っているハズがない』と、他国からこれを兵器として用いることを強要される虞を説くのだった。
実際、芹沢はゴジラの惨状をテレビ中継を通じて観ており、ゴジラが当時の通常兵器で倒せないこと、そしてその抹殺に成功する可能性があるものが自身の発明のみであることを誰よりも理解していたのである。
尾形はなおも『貴方が公表しなければ誰にも漏れる事は無い』と説得を続けるが、『人間とは弱いものだ、一切の資料を焼き払ったとしても、俺の頭の中には残っている』と、自分が生きている限りはいつまた再度使用する状況に追い込まれるか、とその危険を説く。このことから、製造自体は限られた設備でも比較的容易に行えたと想像できる。
しかし、テレビから流れた「乙女の祈り」を観た芹沢は『君たちの勝利だ』と語り、対ゴジラに使用する1個分だけを造り、残りの資料は一切を廃棄することを尾形らに告げる。或る決意を胸に。
数日後、東京湾に潜伏するゴジラに芹沢は『完全な効果を得るためには水中動作以外無い』と山根博士を説得し、尾形と共に潜水服を身につけゴジラに挑む。
ゴジラを発見した芹沢は一瞬の隙を付いて尾形を地上に浮上させると、装置の安全弁を引き抜く(と小説や脚本ではなっているが、劇中でどうやって作動させたかは描写が無い)。
たちまち東京湾はオキシジェン・デストロイヤーの発する泡で満たされ、ゴジラは苦しみだす。
その様子を確認した芹沢は尾形に無線で最期の言葉を遺す。
『尾形、大成功だ! 幸福に暮らせよ! さよなら! さようなら!!!』
その言葉を最期に、芹沢は隠し持っていたナイフで吸気管を切断、自らもゴジラと運命を共にすることを選んだ。
断末魔の叫びをあげ、水中に没したゴジラは、やがて骨となり、その骨もデストロイヤーの効果によって消滅した。
ニュースの実況が芹沢の、人類の勝利を伝える中、その最期を知るものは悲しみにくれる。
山根博士は告げるのだった。
『あのゴジラが、最後の一匹だとは思えない・・・ もし水爆実験が、続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類が、また、世界の何処かに現れてくるかもしれない・・・』
そして、船員たちが芹沢に敬礼をし、この映画は乙女の美しい歌声と共に終わる。
だが、その42年後、オキシジェン・デストロイヤーは思わぬ形で再度出現してしまうこととなる。
1996年
40年以上経った後、日本の伊集院研作という酸素研究者が『ミクロオキシゲン』という酸素微小化技術を発明していた。
そのことをテレビを通じて知った山根恵美子は、その発明の先にあるものが『オキシジェン・デストロイヤー』ではないのか? との疑念を抱く。
姪のゆかりにそのことを伊集院に問うように告げ、伊集院もその発明が芹沢の発明を意識したものであることを明かす。
同じ頃、東京湾の地下工事現場でシャフトが溶けてなくなるという謎の事故が発生する。
しばらく後、今度はしながわ水族館の展示魚がまるで水に食われたかのように白骨化し、大量死する事件が発生した。
この原因を調査した伊集院は、これが自身の発明したミクロオキシゲンによるものであると断定、さらに映像分析から古代生物が'54年のオキシジェン・デストロイヤーによって復活、酸素の毒を克服し進化の結果ミクロオキシゲン生成を会得してしまったことによるものと解明した。
だが、その生物が出現したのとほぼ同じタイミングで香港に赤く発光する異常なゴジラが現れた。
このゴジラは体内の原子炉にあたる器官が暴走し、核爆発の危険を有してしまった姿だった。
ゴジラに対する物理的な攻撃手段が不可能となった今、化学的に消滅させることを立案した山根健吉らは、伊集院にオキシジェン・デストロイヤーを再度造ることができないか? を問うが、ミクロオキシゲンからそこに至るには技術的な壁が存在し、自分の手で作ることは不可能であることを告げる。
核爆発はスーパーXIIIによる冷凍攻撃により、一時的に危機を脱したものの、今度はメルトダウンの危険が発覚。ゴジラ対策が手付かずの中、謎の生物はより巨大に、さらに飛行能力とオキシジェン・デストロイヤー同等の光線を発する能力を会得し進化していた。その生物に伊集院は破壊生物『デストロイア』 と名付ける。
伊集院も自身の発明の先にあるオキシジェン・デストロイヤーが地上で使われた場合の惨劇を目撃し、改めてこれが兵器として利用されることの恐ろしさを認識する。(とはいえ、芹沢博士のセリフにもあるとおり、元々水中使用前提の装置をどうやって地上で使えたのか?という疑問は残るが・・・)
こうして生きたオキシジェン・デストロイヤーであるデストロイアと暴走ゴジラの2頭により人類滅亡の危機が訪れるが、「僕らはオキシジェン・デストロイヤーを造らなかった、でもオキシジェン・デストロイヤーはそこにある!」として、「ゴジラのメルトダウンを防げるのはあの怪獣だけだ!!」と健吉はゴジラとデストロイアを戦わせることを立案する。
しかし、かつてゴジラを滅したオキシジェン・デストロイヤーさえも、このゴジラには無力で、最終的にコントロール不能な巨大なエネルギーから発せられる猛烈な熱と放射能に耐えられなくなったデストロイアは戦闘を離脱。人類の手で撃墜される呆気ない最期を迎えた。
そして、かつて先祖を滅したオキシジェン・デストロイヤーに人類の手を借りたとはいえ最後の最後で勝利を収めたゴジラは、その身体を骨として東京を死の街に変え、初代ゴジラと同じように融け落ちてゆくのだった。
対ゴジラ用途として
この装置はゴジラを文字通り抹殺することができた現時点で唯一の手段である。
(ン?トラゴジのミサイル? ナニソレ?)
香山滋による原作小説にも存在するが、香山曰く「都合のいい装置でゴジラを殺してしまった」とのことである(そして、そのことが「どうやってゴジラを蘇らせ、如何に人類を勝たせるか?」という同じ手段が使えないという次回作執筆時の足枷だったという)。
検討用台本などにも記述があり、ゴジラ抹殺装置として当初から登場が決定していたことが伺える。
後年の作品では、『ゴジラの逆襲』でゴジラが再出現したことにより、「東京でゴジラを抹殺した手段がある」として山根博士の口から語られるが、「発明者が詳細を伏せたまま亡くなった」と語り、根本的なゴジラ対策は現状存在し得無いことを告げるのだった。
ゴジラ抹殺手段としては、その後も高圧電流やメーサーなどが考案されるが、決定力に欠け、氷山に生き埋めにする、火山に落として封印する、23世紀のオーバーテクノロジーでロボットを作り上げるなどがあったが、永らく『酸素を研究してゴジラを倒す』という考えには至らなかった(何故最初にその研究をしないのか、とか昭和の技術より23世紀技術が劣るのか、とか言っちゃうと映画にならないので言いっこなし)
数少ない有効手段として、『ゴジラvsビオランテ』の抗核エネルギーバクテリアや『ゴジラvsメカゴジラ』の第二の脳破壊といった手段があったが、前者は活動を長期間停止させるに留まり、後者はあと一歩というところでラドンとの融合でゴジラが復活してしまった。『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』では、体内からゴジラを攻撃、内臓器官から皮膚上にかけて直接大きな穴を開け熱線放射を狂わせたことで肉体を焼き尽くしたが、心臓だけはこの手段でも生き残り、いずれ復活することが予測される。
『ゴジラvsデストロイア』は歴代作品で唯一、「オキシジェン・デストロイヤーの再現ができないか?」を大真面目に考えていたが結局技術的な問題で断念されている。
世界観がリセットされたミレニアムシリーズの第二作『ゴジラ×メガギラス』ではブラックホール発生装置なんてさらにトンデモないものも造られるが、これですらオキシジェン・デストロイヤーには及ばなかった。他の作品では「未知の毒化合物」として一部関係者が知る程度の扱いだったほか、『ゴジラ×メカゴジラ』のようにゴジラの骨が残っているパラレルが描かれた作品もある。
現実の手段で如何に核根絶が困難であるか、そして新たな魔力に対して人間は如何に弱いのか、人類が生んだ被害者を人類が身勝手に殺すという残酷さを示していると言えるだろう。
関連動画
許してくれ。
もし、関連動画が紹介できるなら、誰より先にこの俺が買ってでたはずだ。
だが、権利が存続する今のままでは、恐るべき著作権違反に過ぎないんだ!
わかってくれよ、なぁ視聴者諸君!!
一切の関連コミュニティを閉鎖したとしても、俺の頭の中には残っている
オキシジェン・デストロイヤーに関するニコニコミュニティを紹介してください。
関連項目、大盛況だ! 幸福に探せよ!! さよなら! さようなら!!!
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