オニプレートトカゲ単語

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オニプレートトカゲ
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和名 オニプレートトカゲ
学名 Broadleysaurus major (Dumeril, 1851)
英名 Rough-scaled plated lizard
動物Animalia
脊索動物Chordata
亜門 脊椎動物亜門 Vertebrata
綱 Reptilia
有鱗 Squamata
タトカゲ科 Gerrhosauridae
亜科 Gerrhosaurinae
Broadleysaurus
オニプレートトカゲ B. major
原産地 アフリカ大陸のほぼ全土
体長 48

オニプレートトカゲBroadleysaurus major)とは、綱有鱗タトカゲ科Broadleysaurus属に分類されるトカゲである。オニプレ称でもしまれている。

日本にはペット用として輸入されている。頑強で飼育しやすく、フトアゴヒゲトカゲと並んでトカゲ入門種として最適である。

オニプレのここが魅力的

  • 精悍なフォルム、ごつごつしたのような鱗、長い尾が、さながら恐竜を彷彿させるようでかっこいい。ちなみに名前の由来は鱗がなことから。
  • 大人しい個体が多く、(よほどいじめなければ)飼いを威嚇したり噛んだりする攻撃的な面はほとんど見せない。
  • 最大で45~50弱と手ごろな中爬虫類は小さいほうが飼いやすいような印があるかもしれないが、実はそこそこ大きさがあったほうが扱いやすい。個体が小さいとエサも極小のものを用意しなければならないからである。そこへいくとオニプレのサイズは、大きすぎず小さすぎず、個体を扱う上でもエサの上でもちょうどいい。
  • 鳴かない。
  • さえきちんと掃除してやれば、匂わない。
  • 頑丈で、環境の適応が高い。
  • れるとエサをねだるようになってかわいい
  • エサが調達しやすいものだけですむ。
  • 飼育自体は容易でありながら、ホットスポットや紫外線など、行性爬虫類飼育の基本を身につけることができる。
  • 寿命は10年ほど。長すぎず短すぎずでちょうどいい。
  • 意外と顔がかわいい

見よこのつぶらな瞳を。

ニシオニプレとヒガシオニプレ

日本で流通するオニプレはほぼ全個体が野生採集個体である。広大アフリカ大陸の全土に生息しているため産地によって地域差が大きい。

以前は東アフリカタンザニア採集された個体が日本に輸入されていたが、2017年ごろから同動物の輸出を規制現在は西アフリカトーゴから輸入されている。

タンザニア-トーゴ間の距離は4000㎞以上も離れていて、これは稚内-那覇間の約2500㎞よりも遠い。それだけ離れているのだから、同じオニプレートトカゲ種といえどもタンザニア産とトーゴ産では亜種レベルで分化し、外見にも性格にも差異が生じている。別種だと思われていたそれぞれのオニプレが後年の研究でどれも同種であることが判明した経緯でもあったのか、本種の学名にはシノニム[1]が7つもある。

タンザニア産のオニプレはヒガシオニプレートトカゲという亜種で、全体的に褐色。性格は図太く揚で、飼育初日から飼いに怯えず、同居個体とも喧嘩をせず、エサも昆虫のほか葉野菜も貪欲に食べる。価格は5000円程度で、イベントでは叩き売りされることもしばしばだった。現在タンザニアからの輸入が途絶えたので見かけない。

トーゴなど西アフリカから輸入されるニシオニプレートトカゲは、全体が漆塗りのようにく、ところどころ小さい黄色のスポットが入り、側面にラインが入る個体もいる。性格は臆病かつ協調性に欠け、飼育者のに脅えて逃げ惑い、同居個体としばしば噛み合いをする。食性は昆虫食に偏っており、葉野菜をまったく口にしない個体が多い。現在オニプレといえばこのトーゴ産がメインである。価格は安くても15000円から。

とはいえ、トーゴ産個体も長いあいだ飼育していれば飼いれ、逃げることもなくなり、むしろエサをねだるようになる。

飼い方

以下の飼育方法はニシオニプレートトカゲに準拠している。

飼育に必要なものは①ケージ、②ヒーター、③バスキングライト、④紫外線ライト、⑤タイマーサーモ、⑥床材、⑦入れ、が基本である。

ケージ

流通するオニプレはほとんどが40以上のアダルト個体なので、幅90以上のケージが好ましい。地表をよく歩くトカゲでもあるため底面積が大きいケージだと活き活きとした姿を見せてくれるだろう。

爬虫類用ケージのほか、熱帯魚ガラス水槽衣装ケースもケージとして使える。

爬虫類用ケージ

四方がガラス製なので観察しやすい。

前面ガラスを開閉できるので、メンテナンスが楽で、生体にストレスも与えにくい。

きっちり蓋ができるうえ、通気性も確保されている。それでいてライトヒーター類のコードを外に出すも設けられていて、機能面ではオニプレの飼育にはベストの選択。

価格が高いことだけがネックか。

熱帯魚用水槽

価格は爬虫類用ケージよりもやや安価。アクリル製だとオニプレがで引っかいて傷だらけにして内部が見えなくなる。ガラス製がベター。

きっちり閉まる蓋がないのがネック。オニプレは意外とジャンプがあるので蓋をしないと脱走のおそれがある。水槽用の網蓋やバーベキュー用の網など、通気性を確保できる蓋を用意し、なおかつ電コードを通せるよう加工して、さらにはを入れた2ℓペットボトルを重石にするといった対策が必要となる。

メンテ時に上から手を突っこむことになるのが最大の欠点。トカゲは上から覗かれたり手を近づけられるのを非常に嫌う。地表を這うトカゲ天敵となる猛禽類は上から襲ってくるからだ。よってトカゲ用な緊を強いることになるため飼いれにくくなる可性がある。同じ理由でケージは床ではなく人間が立ったときの線あたりの高さに設置したほうがよい。

衣装ケース

廉価で軽量なのが最大の特長。

透明なので横から観察することができず、上から覗くことになり、必然的にケージを床近く、または床に置くだろうからオニプレにとってはストレスが多い。むろんメンテ時も上から手を入れるほかない。

つきの商品もあるが、そのまま使うと密閉してしまうので、蓋の内側をくり抜いて網をねじ止めするDIYが必要になる。こんなちょっとした作業でも、長めの直定規プラスチックを切断できるカッター、ねじを開ける電動ドリル、ねじとナットとワッシャー、といった工具と材料えなければならない。

いくつもケージが必要なら安上がりになるが、ケージが1本や2本程度なら爬虫類用ケージを購入したほうが労的に得である。

また、バスキングライトケースそのものが溶けてしまわないように注意する。

ヒーター

ケージ全体の基底温度を26℃程度にするため、サーモスタットに接続したカーボンヒーターexitや暖突で加温する。

は20℃まで下げてもかまわない。温度差をはっきりつけてあげたほうが調子がいいようだ。

バスキングライト

行性なので、を演出するためにもライト必要不可欠。またオニプレはエサの消化に高温を必要とするため、飼育下でも日向ぼっこができるようバスキングスポット(日光浴をする場所)をつくってやらねばならない。そのためライトは照度だけでなく熱量も要される。

各社から爬虫類用のバスキングライトが販売されているので、室温やケージの大きさに見合ったW数を選ぼう。バスキングスポットが35℃程度になるよう設置する。

バスキングライトはスポットライトのように局所的に熱とを照射する。オニプレは高温が必要になるとそのバスキングライトで温められている場所へやってきてバスキング日光浴)をするわけだ。ただしケージ全体が暑ければいいというものではなく、体温が高くなりすぎるとバスキングライトの当たっていない涼しい場所(クールスポット)へ避難する。このようにオニプレはバスキングスポットとクールスポットを行き来してその時々に適した体温を選択している。

よって、ケージのどちらかの端っこにのみバスキングライトを照射して35℃程度にし、もう片方は基底温度の26℃をキープする。こうしてケージに温度勾配をつけ、オニプレ自身に心地よい温度帯の場所を選ばせるのだ。

アフリカ燥地帯に分布しているというと灼けつくような暑さを好むように思われがちだが、現地のオニプレは標高1500m以上に生息していたり、夕の較的涼しい時間帯に活発に行動して真昼の炎下では岩陰や逃げて休んでいたりするので、日本の室内はオニプレにとっては暑すぎる。ケージ内に26℃程度のクールスポットを確保できるよう設置場所に気を配り、必要ならエアコンを使用してあげたい。

ケージが小さいとバスキングスポットの熱量でケージ全体が暑くなりすぎることがある。やはりケージは大きめのほうがよい。

ちなみにライト単体では使用できない。爬虫類ライトのためのクリップソケットに装着して使う。

クリップソケットは口サイズを確認し、定格電ライトのW数以上のものを選ぶこと。

爬虫類用ケージはこのクリップソケットを設置するためのステーも標準装備されているので、やはり便利。

バスキングスポットにレンガなどべったい石を置いておくと、より効率よく体を温めることができる。

紫外線ライト

行性爬虫類紫外線を浴びることでビタミンD₃を合成している。ビタミンD₃はカルシウムを吸収する誘導体で、紫外線が不足しているといくらカルシウムを摂取しても吸収できなくなり、からカルシウムが溶け出す代謝性疾患にかかり、最悪の場合は死んでしまう。

ビタミンD₃の合成に関わる紫外線はUVBに分類される波長なので、UVBを多く照射できる紫外線ライトチョイスしよう。

紫外線ライト寿命が短く、半年も使うとUVBはほとんど照射されなくなる。人間には紫外線は視認できないので「まだ点いてるから大丈夫だな」などと判断はできない。ライトの基部にでもペンで日付を書いておき、半年ごとに交換したい。

UVBを照射できるバスキングライトもある。これひとつでバスキングライト紫外線ライトを兼用できるわけだ。

バスキング+紫外線兼用ライトの注意点としては、同Wの純バスキングライトべるとやや照度と熱量で劣ることが挙げられる。暗いようなら可視線(爬虫類にとっての可視線である。人間爬虫類の可視波長は異なるからだ)を多く照射できるライトを増設し、ちゃんとバスキングスポットがつくれているか温度も確かめよう。

兼用ライトもUVB照射量は半年~1年程度で減する。高価ではあるがオニプレの健康のためにもきちんと交換してあげたい。

タイマーサーモ

ヒーターを制御するサーモと、ライトオンオフを制御するタイマーの機を併せ持った機器。これがあると、毎日決まった時間にライトを点・消してくれるし、ヒーターの設定温度で変えられる。

床材

床になにも敷かないと、オニプレが踏んることができず、手足の格がんでしまったり、が折れたりする。

爬虫類用のバーチップ、ヤシガラマットなど、生体に悪を与えず掃除をしやすいものなら好みで選んでよい。誤飲をしても排できるよう小さめのものがおすすめ。

ただし爬虫類用ケージの場合、が前面ガラスのレールに詰まってガラスが開閉しにくくなることがある。

物を見つけたらその周りの床材ごと取り除く。数かに一回は全交換する。

水入れ

意外にもをよく飲む。浴びも好きなので、全身が浸かれるサイズ入れを用意する。100円均一のタッパーでよい。

入れのなかでをすることがよくある。毎日交換してあげよう。

エサ

雑食性……のはずなのだが、トーゴ産の個体は野菜野草をほとんど食べない。ショップによっては昆虫だけを与えているところもあるようだ。もしかしたらトーゴ産のオニプレは動物質の率が植物質よりも高いのかもしれない。

昆虫ならコオロギデュビアレッドローチ、バッタジャイアントミルワームシルクワームなどなんでも食べる。昆虫系はカルシウムがほとんどないので、与えるさいはカルシウム剤をまぶすことを忘れずに。

野菜は食べなくとも、レパシー社のベジバーガーやヒカリリックゼリーなどは嗜好性が高いため、これらで植物質を補給させるのも有効。もし食べないようならグラブパイを混ぜてみよう。

らせば人工飼料も食べる。フトアゴ用のフードモニター用のフード昆虫食トカゲフードなど。動物質の多いフード好きなようだ。

給餌は週に3日程度。毎日たらふく食べさせていると肥満になり短命につながる。といって食べさせる量が少なすぎると鱗のツヤが立たなくなる。ほどよい給餌量を見極めよう。

ほかにはバナナが大好物。餌付けや、に1~2度のおやつに。

ハンドリング

おとなしトカゲである。摑んだときこそバタバタ暴れるが、いちど手に乗せてしまえば置物と化す。

とはいえ爬虫類にとって人間に触られるのはストレスでしかない。おとなしハンドリングされているように見えても、それはのように撫でられるのが気持ちいいからではなく、寛大な心で慢してくれているだけである。ハンドリングは週に1~2回、一度につき5分以内に抑えるのが賢明。

オニプレはが鋭く、筋も強い。手に乗せている状態でオニプレがジャンプしようと踏んっただけで手のひらの皮膚がスパッと切られる。お世辞にもオニプレのは清潔ではないので変な雑菌も入りかねない。自分のためにもハンドリングは注意して行なう。

いずれにしてもオニプレをハンドリングしたあとは石けんで手をよく洗うこと。

繁殖

飼育下での繁殖例はないではないが、「こうすれば殖える」という方法は確立されていない。ブリードするより野生から捕獲してきたほうが安上がりなので商用に繁殖を試みているブリーダーもいないだろう。

フトアゴヒゲトカゲのように土を掘って産卵するようだが、どのようにペアリングをするのか、交尾から産卵までの期間はどれくらいか、は何℃でキープすればよいか、何日で孵化するか、特別気をつけるべき点はあるのかなど、まだまだわからないことだらけである。

商業ベースでのブリードが望めない以上、オニプレの人工繁殖はの手に委ねられているといっても過言ではない。オニプレを飼育するさいは、ぜひとも繁殖を視野に入れて臨んでいただきたい。

関連動画

関連項目

脚注

  1. *生物の学名は「一種につきひとつだけ」が大原則である。ところがそれぞれ別種だと判断され記載されていた種が同種であったと判明した場合、ひとつの種に複数の学名がつけられている状態になる。その「複数の学名」をシノニムと呼ぶ。そのうち正しい学名として採用されるのはひとつだけなので、ほかの学名は抹消されることとなる。かつてポリプテルスローウェイの学名がつけられていたは、1995年に同属であるポリプテルスパルマスの亜種にすぎないことが判明、ポリプテルスパルマス・ビュティコファリーの学名が与えられることとなった。こういう場合「ローウェイの学名はシノニムとして抹消された」という。

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オニプレートトカゲ

1 ななしのよっしん
2022/02/16(水) 22:39:06 ID: Vua82vMKaY
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