オブジェクトクラス(Object Class)とは、英語圏のシェアードワールド創作作品群「SCP Foundation」に登場する用語の1つです。
特別概要プロトコル
財団はSCPオブジェクト、即ち自然法則を逸脱した、あるいは人智を超えた物体・生物・場所・現象を確保・収容・保護しています。それらには研究の優先度の優劣や割り振る予算の高低などがありますが、中でも重要なのは収容の難易度や、取り扱う財団職員、あるいは人類全体、あるいは地球や宇宙などに対する危険度は重要です。この為財団では、オブジェクトにそれぞれオブジェクトクラスと呼ばれる階級を割り振ります。基本的なオブジェクトクラスは「Safe」「Euclid」「Keter」の3種類ですが、これ以外のクラスも少数ながら存在し割り振られます。
オブジェクトの研究が進み、オブジェクトの性質への理解が進んだ場合、オブジェクトクラスは変更されます。一方、初期収容時の暫定的な割り振りを除き、オブジェクトクラスの変更は基本的にあってはならないとされています。従って、冒頭に書かれているオブジェクトクラスの変更があった場合、それは何か大きな事件、事故、その他の出来事があった事を意味します。
鍵の掛かった箱テスト
「鍵の掛かった箱テスト (the Locked Box Test)」とは、適切なオブジェクトクラスを判断するために使われる非公式のガイドライン (一種の思考実験) です。
- 「それ」を箱に入れ、鍵を掛け、そのまま放置したとき、何も悪いことが起こらないのであれば、それはおそらくSafeです。
- 「それ」を箱に入れ、鍵を掛け、そのまま放置したとき、何が起こるか予測がつかないならば、それはおそらくEuclidです。
- 「それ」を箱に入れ、鍵を掛け、そのまま放置したとき、それが容易く脱走するのであれば、それはおそらくKeterです。
- 「それ」そのものが箱であれば、それはおそらくThaumielです。
- 「それ」を箱に入れられず、かつそれが世界を終わらせようとしているなら、それはおそらくApollyonです。
- 「それ」を箱に閉じ込められたとしても、そうしないことを選んだなら、それはおそらくArchonです。
ただしThaumiel、Apollyon、Archonの3つは、後に登場したクラスであり、後に追加された一文です。
また、Keterは当初「地獄絵図と化すようであれば」となっていましたが、後述の通り規定が改定され、現在の文章に変更されました。
これらは初見では分かりにくい物であり、各オブジェクトクラスの説明を参照する、あるいはそれぞれのオブジェクトクラスが割り振られている各報告書を参照した方が理解が早いかもしれません。
主要なオブジェクトクラス
Safe
「Safe (セーフ)」とは、現在の取扱方で完璧・確実に永続的に収容下にあるか、故意に活性化させなければ異常な効果を発現しない異常存在に割り当てられるクラスです。名前はそのまま「安全」や「事無し」を意味する英単語を由来としています。
非常によくある勘違いですが、「Safe=安全」ではありません。Safeのオブジェクトでも、活性化させた結果が予測不能だったり、確実に人命を奪ったり文明の危機を招く物も存在します。あくまで故意に活性化させなければ危険ではないという意味でのSafeです。よくある例えとして「管理された核兵器」と言う物があります。核兵器は爆発すれば確実に人命を奪いますし文明の危機を招く恐れもあり、危険な兵器です。しかしながら核兵器は管理され、スイッチを入れなければ勝手に爆発する事はありません。その意味では安全です。このような場合、核兵器はSafeです。
Euclid
「Euclid (ユークリッド)」とは、その性質が十分に解明されていないか、本質的に予測不能である異常存在に割り当てられるクラスです。名前は古代の数学者「エウクレイデス」を由来とし、それはエウクレイデスは幾何学に関する著名な人物であるためである。基本的にはSafeと違い、その活性化の条件や、異常性質の効果範囲が十分に解明されていません。一方でその異常性質の効果範囲が広くない、あるいは危険度が小さいなどの理由でKeterではありません。
Euclidは暫定的なクラスの意味もあります。オブジェクトの初期収容時はその性質が十分に理解されていない場合が多く、暫定的にEuclidに分類される場合も多く、後にSafeやKeterになるオブジェクトも数多く存在します。それ故にEuclidオブジェクトはかなり多く存在します。
自律性、自我、知性を持つオブジェクトは基本的にEuclidです。これはオブジェクトの異常性質がオブジェクト自身にコントロールされている可能性があり、学習によって研究者や収容に携わるセキュリティ職員の裏をかく恐れや、あるいは初めからごまかしていて、実は真に収容違反が可能な力を保持している恐れがあるからです。従って異常性質を持つ人間は、異常性質の危険性が低い、財団に非常に従順であるか収容外の世界が本人にとって苦痛で脱走する理由がない、知能や運動機能に重大な障害があり脱走が不可能などの理由が無い場合には基本的にSafeに分類されません。
Keter
「Keter (ケテル)」とは、財団の職員や全人類に対して危険な異常性質、あるいは敵対的な脅威をもたらす異常存在であり、なおかつ現時点の財団の技術や知識では、収容に広範で複雑な手段を必要とするか、完全な収容が不可能か、あるいは収容そのものが本質的に不可能な物に割り当てられるクラスです。名前はヘブライ語で「王冠」を意味しますが、実際の由来はそれに転じた、旧約聖書に登場する生命の樹のセフィラの1つの「ケテル」を由来としています。ただし「ケテル」と言う発音をするのは主に日本支部であり、本部 (英語) では基本的に「キーター」と発音しますので注意してください。
Keterに属するオブジェクトは平たく言えばチートな存在とも言え、研究はおろか収容に多大な予算、人員、犠牲を必要とし、放置すれば文明、人類、地球、あるいは宇宙そのものが滅びかねない存在です。この為場合によっては、財団がそのポリシーを曲げて破壊や無力化を命じる場合もあります。
Keterに分類されるオブジェクトは、わかりやすくひたすら強くて敵対的なオブジェクトもありますが、単に倍々ゲームで増殖し物量で押しつぶすという単純な性質を持つものや、危険な異常性質を自分自身がコントロールできないだけで本人そのものは友好的である場合や、財団や文明世界、知性や現実そのものの存在の根幹に疑いを抱かせるような異常存在が含まれる場合もあります。
以前は危険度・脅威度もKeterの要件に入っていましたが、現在は改定され、収容難易度のみで判断するように変更されました。そのため、古いSCPではKeterは非常に危険なものでしたが、新しいSCPでは特に人類の脅威とはならないものもKeterに分類されています。
Thaumiel
「Thaumiel (タウミエル)」とは、Keterのような危険なオブジェクトの収容に用いる、あるいは無力化、効果の打ち消しや上書きを行える希少な異常存在です。存在そのものが最高機密に指定され、所在地、状態、性質などの情報はO5評議会と、特別に許可されたごく一部の人物に限られ開示されます。名前は邪悪の樹の1番目の「タウミエル」に由来します。人類を救う切り札となるオブジェクトクラスが、生命の樹のケテルとは対になる存在に由来する事は、神の運命に抗う事への暗示であると思われます。
あくまで利用すれば利益をもたらす可能性が高いという意味合いが強く、その異常性質はKeterと同質、あるいはそれ以上である場合が多々あります。いわば「反Keter」であり「超Keter」というべきものです。財団がThaumielを最高機密に指定する理由は、単純に悪用を防ぐ意味だけでなく、財団としても本質を理解しておらず、思いがけない副作用や悪影響があるかもしれない異常性質を持つオブジェクトに頼る事を避ける意味もあります。例えば、非常に有名なThaumielに「SCP-2000 - Deus Ex Machina (機械仕掛けの神)」がありますが、端的に言えば人類復活装置であるSCP-2000があるからと安易な異常存在の取り扱いを行って、万一Thaumielでも無効化できない事態が発生する事を財団は避けなければなりません。
Thaumielは最高機密に指定されている事、その性質がKeterも上回る存在である事から、これらの報告書を欺瞞情報と見なす職員も多く存在します。財団としてはどれを真実でどれを欺瞞と見るかは職員に委ねており、実際Thaumielのオブジェクトを存在しない前提で報告書を執筆する職員も多く存在します。
かつては最高機密のオブジェクトクラスとされていましたが、現在は改定され、主要なオブジェクトクラスへと移行しています。Keterの規定も同時に改定されたため、「反Keter」「超Keter」という意味合いは現在では削除されています。
Neutralized
「Neutralized (ニュートラライズド)」とは、無力化され、異常性質そのものが消え去ったオブジェクトに割り当てられるクラスです。元々異常性質を持つ以上、異常性質が復活する可能性はありますし、実際にそうであった例も存在します。この為財団では無力化されたオブジェクトもアーカイブとして念の為報告書を残しておきます。
一部のオブジェクトを除き、財団は意図的に異常性質を消し去るような事はしません。それが故にNeutralizedに分類されたオブジェクトは、何かしらのエピソードが付随します。この為Neutralizedの報告書は他の報告書よりも物語性の強い物が多く含まれています。それは例えば、危険なオブジェクトの無力化に犠牲を払った人物に敬意を評したり、無力化された後がむしろ危険であるという物もあります。オブジェクトが自我を持つ者の場合、無力化される事で本人なりの幸せを手に入れたというケースもあります。
かつては副次的なオブジェクトクラスとされていましたが、現在は改定され、主要なオブジェクトクラスへと移行しています。
Apollyon
「Apollyon(アポリオン)」とは、収容できないうえ、差し迫った収容違反などが予想されるオブジェクトに割り当てられるクラスです。名前は破壊者の意味も持つ、ヨハネの黙示録に登場する奈落の王に由来します。
この性質をもつオブジェクトは世界を終わらせる、あるいはK-クラスシナリオに関連することが通常であり、対処するために財団の多大な努力が必要とされます。
Esoteric/Narrative classesの1つでしたが、2021年に主要クラスに分類されました。
Archon
「Archon(アルコーン)」とは、収容しようと思えば収容可能と考えられるものの、何らかの理由で収容しないことを選択したオブジェクトに割り当てられるクラスです。名前はギリシャ語で統治者を意味し、グノーシス主義において地上を支配する偽の神のことを指している言葉です。
この性質を持つオブジェクトは、現実の一部となっているため収容が困難である、収容すると何らかの悪影響が出るなどの理由により、財団が意図的に収容していません。
Esoteric/Narrative classesの1つでしたが、2021年に主要クラスに分類されました。
非標準のオブジェクトクラス
Explained
「Explained (エクスプレインド)」とは、非標準のオブジェクトクラスの1つです。財団の敗北宣言とも言える存在です。有名な記事が「SCP-8900-EX - Sky Blue Sky (青い、青い空)」であるが為に、異常存在がもはや財団の手に負えない程流布したオブジェクトに対する分類と言う認識がありますが、実際にはそれはExplainedの1つに過ぎません。基本的には学問の発展で異常性質とされたものに十分な説明が付いたものが割り当てられます。例えば、性質が十分に解明されたので財団のフロント企業を通じて一般に広く流布している物、とある人物の所持品が、当時技術的な説明のつかない物であったが、実はその人物は未来からタイムトラベルでやってきたので、その時代が訪れれば異常でも何でもない普通の物品であったというもの、異常存在であるという報告や研究そのものが捏造であったものなどが該当します。物語性はかなり強く、中には現実世界に実際に存在した差別に対する風刺を込めたアクの強い報告書も存在します。
Explainedのオブジェクトは、SCPナンバーの後ろに "-EX" が付きますが、初めからこのクラスを割り当てるために書かれた報告書であり、従ってEX無しだった時期は存在しません。
Esoteric/Narrative classes
「Esoteric/Narrative classes(エソテリック/ナラティヴクラス)」という名称のオブジェクトクラスは存在しません。あくまでどのオブジェクトクラスにも分類されない物を包括した、いわばその他の分類です。
Keterすら超える異常存在である「Dammerung」や「Ain」、ミーム汚染の影響でクラスの割り振りそのものが影響を受けた「Glorious」や「Former」、そもそもオブジェクトではない物や報告書そのものが異常存在に閉じ込められている「None」など、多種多様なクラスが存在します。
職員は報告書を執筆する際、特別な事情が無い限り主要なオブジェクトクラスを用いるべきです。理由が無いにも関わらず特殊なクラスや新たなクラスを割り振った報告書は書き直しや破棄を命じられる場合があります。
かつては「Unclassed(アンクラスド)」というクラスがつけられていましたが、名称が変更されました。「Unclassed」自体もこのEsoteric/Narrative-classesという扱いとなります。
タグ上では「esoteric-class」という区分けとなっています。
Decommissioned
「デコミッションド (Decommissioned)」は、一度は廃止されたクラスですが、再定義されました。ここでは便宜的にそれぞれを(旧)、(新)と呼ぶことにします。
Decommissioned(旧)は、厳密にはオブジェクトクラスではないメタ的な分類です。現在のSCP Foundationには存在しない物として扱われますが、報告書そのもののみ残されているものです。SCPナンバーの後ろには "-D" が付き、空席となったSCPナンバーには新たに別のオブジェクトの報告書が割り当てられます。
シェアワールドと言う創作枠である以上、報告書を書く執筆者の腕は玉石混淆です。極めて優秀な報告書を書く執筆者もいれば、あまりにもどうしようもない報告書を書く執筆者もいます。何かしらの外部作品や財団の報告書の劣化コピーである物、あまりにも捻りが無さすぎる物、何らかのSCPオブジェクトをコケにする為だけに書かれた物、ぼくのかんがえたさいきょうのおぶじぇくとな報告書が現れる場合もあります。Decommissionedはいわば晒し上げ記事として、こういう物を書かないようにと言う悪い例・戒めとして残したものです。
しかしながら、あるDecommissioned記事を破壊する過程を書いたTaleが人気を博した事により、Decommissionedを狙ってワザと酷い記事を書く事例が続出し、このクラスそのものが機能を果たさなくなったために廃止されました。なお、「SCP-048 - The Cursed SCP Number (呪われたSCPナンバー)」など、明らかにDecommissionedを皮肉ったSCPオブジェクト (厳密にはオブジェクトではないが) も存在します。
かつては財団のオブジェクトクラスのページには記載のない分類でしたが、改定により非標準のオブジェクトクラスとして登録されました。
Decommissioned(新)は、「SCP-4456-D 解体任務(デコミッションド・ミッション)」の執筆者Calibri Boldによって Esoteric/Narrative classesの一つとして2019年に定義されたオブジェクトクラスです。
法的問題やコスト面などの理由により、財団の解体部門によって意図的に破壊・無力化されたオブジェクトに割り当てられます。SCP-4456-Dの記事でのNeutralizedクラスは、「意図せずに、あるいは解体部門の事前許可なしに無力化されたオブジェクト」としてDecommissioned(新)と区別されています。
サブクラス
主要となるオブジェクトクラス(Safe/Euclid/Keter)にはごく稀にサブクラスとして末尾に「-exsequi」(能動的活動が可能)、「-nuntii」(ミーマチックエフェクトあり)、[-alterius](地球外オブジェクト)といった表記を用いられている場合があります。ただ、細分化されすぎていて逆にややこしいなどの問題もあり、公的な用法ではありません。主要なオブジェクトの一つ、という認識で構わないでしょう。
メタ的なオブジェクトクラス
Joke
「ジョーク (Joke)」とはその名の通り冗談を主旨とした報告書です。厳密にはオブジェクトクラスではありませんが便宜的に紹介します。SCPナンバーの後ろには "-J" が付きます。あくまで冗談であり、財団の本来の世界とは無関係な存在です。
内容は財団やSCPオブジェクトに対するジョークや、報告書を書きあげる上でよくある事ややってはいけない事を茶化して書いた物が存在します。
ジョークと言えども一定の水準は求められ、ややもすると本来の報告書よりレベルの高い執筆が求められます。本来の報告書でもジョークの報告書でも、他のフィクション作品をSCP風に書き上げたようなジョーク報告書はオリジナリティが低いとして却下されます。
Archived
「アーカイブド (Archived)」は、初めは正規の報告書として採用されたものの、その後SCP Foundationの発展により世界観にそぐわない事から外された記事の内、根幹の設定に関わる事から特別に残された報告書です。厳密にはオブジェクトクラスではありませんが便宜的に紹介します。SCPナンバーの後ろには "-ARC" が付き、空席となったSCPナンバーには新たに別のオブジェクトの報告書が割り当てられます。
ARC報告書はSCP Foundationの発祥が4chanであった頃の名残とも言える存在です。財団世界と言う世界がまだ十分に固まっていない頃であり、現在では即却下されるような報告書も認められるような、いわば好き勝手をやっていた時期に採用された報告書です。
脅威レベル
フランス支部(FR)で独自に区分けされているカテゴリ。オブジェクトクラスが収容難易度を示すものであるように、これはオブジェクトそのものの危険度を示すものです。
それぞれ、白・青・緑・黄・橙・赤・黒と7段階表記で示されており、白であれば財団にとって有益となるオブジェクト、黒ともなればK-クラスナリオが避けられないオブジェクトということになります。
フランス支部が発祥ではあるものの、かつての「SCP-4999 - Someone to Watch Over Us(私たちを見守るもの)」のように本部のオブジェクトにもこの区分けが採用されていることがあります[1]。
RU・KO・CN・FR・PL・ES・TH・JP・DE・IT・UA・PT・CZ(SK)・ZH・INT
SCP Foundationは元々英語圏生まれですが、これが有名になった結果、他言語においてもSCP Foundationの基本設定を踏襲しつつ、その言語内で独自の発展を遂げた物も数多く存在します。これらは「支部」と呼称されます。対して本家であるウェブサイト・コミュニティは「本部」となります。
現在支部はそれぞれロシア支部、韓国支部、中国支部、フランス支部、ポーランド支部、スペイン支部、タイ支部、日本支部、ドイツ支部、イタリア支部、ウクライナ支部、ポルトガル支部、チェコ支部、繁体中国語支部、International Translation Archiveが存在します。本部以外で執筆された報告書は、本部の報告書と区別するためにSCPナンバーにそれぞれの国を示す2文字のアルファベットを割り振ります。それが上記した「RU・KO・CN・FR・PL・ES・TH・JP・DE・IT・UA・PT・CZ・ZH・INT」です。
基本的には "SCP-番号-国" という並びになり、例えば日本支部は「SCP-XXX-JP」となります。ただし中国支部とポーランド支部、スペイン支部は "SCP-国-番号"(例:SCP-CN-XXX) という並びになります。また、チェコ支部は表記上は-CZですがリンク内部は-csとなっています。[2]また、チェコ支部ではスロバキア語(SK)もサポートされており独自に分けられています。ややこしい
言語が違えば文化圏も異なる為か、それぞれの支部の報告書は本部とは異なるスタイルの記事が執筆される傾向にあります。財団職員や要注意団体もその文化圏を反映したような設定が付与され、本部の世界観では生み出されないであろう報告書も多数存在します。ただし、本部が無かった事にはされません。
また、韓国支部は厳密には支部ではなく「韓国語Wiki」として扱われています(要は本部の一部分)。国名コードの「KR」ではなく言語コードの「KO」が採用されているのはそのためです。
よく勘違いされますが、例えそれがたまたまその言語と一致する土地や文化圏に関連する報告書だったとしても、国記号が付与されていない場合それは本部の翻訳記事です。例えば「SCP-143 - The Bladewood Grove (刃桜)」は日本で収容されているSCPオブジェクトですが、日本支部ではなく本部の報告書です。「SCP-427-JP - 唄う草原」はアメリカで収容されているSCPオブジェクトですが、本部ではなく日本支部の報告書です。各国の支部はそれぞれの国に活動を限定されている訳ではありません。
なお、International Translation Archiveは各支部で作成されたSCP報告書の英語への翻訳を行う支部なのですが、2つ以上の支部間で共著された報告書は「INT」としてInternational Translation Archiveに登録されることとなります。
これら以外の2文字がついている報告書は基本的に非公式支部によるものです。財団サイトのトップページに記載されている非公式支部としてギリシャ支部(EL)、北欧諸言語支部(ND)、トルコ支部(TR)、ベトナム支部(VN)があり、それ以外にも複数の非公式支部が確認されています。
アノマリー分類システム(Anomaly Classification System/ACS)
執筆者djkaktusによって提唱された分類システムです。旧来のオブジェクトクラスではその危険度まで詳細に書けないため、報告書として詳細な分類を決めようと作成されたものです。「収容クラス」だけではなく、報告書の閲覧制限を示す「クリアランスレベル」、アノマリーが世界の現状を乱す能力を分類する「撹乱クラス」、アノマリーの影響の激しさやそこからの回復の度合いを分類する「リスククラス」、特殊オプションとして分類する「副次クラス」によって分類されます。
ただしこれに関しては必ず使わなくてはならないということはなく、オブジェクトの報告書を執筆する人の一存に委ねられています。また、この分類システムはページを見たときの情報量の多さから本部のみならず他支部でも賛否両論となっています。
クリアランスレベル
これは報告書などで見られる職員の階級によってそのアノマリーの報告書を閲覧できるかどうかを示すものです。トップシークレットとなるクリアランスレベル5だけではなくO5のみが閲覧できる「レベル6:Cosmic Top Secret」なるレベルも設定されています。
収容クラス
従来のオブジェクトクラスと見て構いませんが、「クラス議論中」を示す「Pending」、「副次クラスが存在する」ことを示す「Esoteric」が追加されていることと、ACSにおいてThaumielは副次クラス扱いであることが異なる点となります。
副次クラス
収容クラスとして分類できない場合の特殊なクラス分け。「Apollyon」や「Tiamat」などの特殊なオブジェクトクラスや「Esoteric/Narattive-classes」としてタグ分けされているオブジェクトと、Thaumielクラスのオブジェクトがここに該当します。以下は代表的なものとなりますが、これ以外にも定義される場合もあります。
- Appollyon - K-クラスシナリオなどの危機が回避できないもの
- Archon - 収容可能だがあえて収容しないほうがまだ危険が少なくなるもの
- Cernnunos - 理論上収容可能だがその収容方法に倫理的などの問題があって達成できないもの
- Hiemal - 複数のアノマリーの異常性が作用しあって収容を成しているもの
- Tiamat - 脅威は大きいものかろうじて収容ができているもの。ただしAppollyon一歩手前。
- Ticonderoga - 収容と未収容の狭間。収容しているとも言えるし、収容できていないとも言える
- Thaumiel - 財団の切り札。財団がそのオブジェクトを有効活用できるもの
撹乱クラス
そのアノマリーがどれくらい拡散し、かつどれくらいの手間で無効化できるかを示すクラスです。それぞれ複数の言語をもとに名前がつけられています。暗ければ暗いほど影響力が小さいアノマリーとなります。
- Dark(ダーク/英語) - 人の目につかない(=収容状態に置くことが可能)
- Vlam(フラム/オランダ語) - ごく一部の人の手によって局所的に人の目に付く可能性がある
- Keneq(ケネック/アリュティーク語) - 影響力が都市レベルにまで広がる可能性がある
- Ekhi(エキ/バスク語) - 影響力が国レベルにまで早く広がる可能性がある
- Amida(アミダ/日本語) - 財団が敵とみなすくらいの脅威を持っている可能性がある
リスククラス
そのオブジェクトの危険度を示しています。撹乱クラスと少し違うのはその危険度をそのまま示しています。フランス支部の脅威レベルに似ていますが、こちらは「Notice/Caution/Warning/Danger/Critical」の5段階評価となっています。
関連動画
関連項目
リンク
脚注
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