オマージュ(仏:homage)とは、「尊敬」「敬意」「臣従の誓い」などを意味するフランス語。英語では「ホメッジ」のような発音になる。
創作の分野では、尊敬する作品や作者を仰ぐ目的で作品を創作すること。
本項では創作の分野でのオマージュについて解説する。
概要
とある作品や作者に対して強い尊敬・敬意を持った人が、それらを仰ぎ賛辞を送る目的で別の作品を制作することである。多くの場合は影響を受けた作品の要素の引用を伴うが、まったく引用や影響が見られない作品でも、その作家なりの尊敬の形として制作されたものはオマージュとして発表される場合もある。「リスペクト」に意味が近い。
「~に捧ぐ」というような形で影響を受けた対象を明記することもあるが、明記せずに気がついた人だけ「ああ、あの作品から影響を受けたんだな」と思わせるような作り方をする場合もある。
オマージュの一例としては、
- 古典名作に対する米澤穂信の「インシテミル」、
- 新本格に対する霧舎巧の「新本格もどき」、
- 泡坂妻夫「喜劇非喜劇」に対する鯨統一郎の「喜劇ひく悲喜劇」、
- 竹本健治「匣の中の失楽」に対する乾くるみ「匣の中」
などがある。
またオマージュされやすい作品というものもあり、アントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」やアガサ・クリスティの「そして誰もいなくなった」、レイモンド・チャンドラーの探偵フィリップ・マーロウなど、名作と呼ばれるものの中にはその後の複数の作品でそれとわかる形が見られることがある。
日本的に言えば、鎌倉時代に流行した、古歌や詩の一部を取り入れて独自の趣向を凝らす「本歌取り」と呼ばれるものに近い。
盗作との違い
他者の作品要素の引用を伴うオマージュは、時に盗作(パクリ)問題に発展しがちである。言葉の意味を正確に理解していない者も多く、二次創作の多いニコニコなどでは言葉の扱いが荒れる一因になることもある。きちんと意味を理解した上で、言葉の使用には注意を払いたい。
オマージュが、作者がとある別の作者の作品に尊敬や賛辞の念を持って行なう引用であるのに対し、
盗作は、引用元の作者の意に反する形で行われる作品の引用により、作品を盗まれたと感じた時のことである。
つまり、引用先の作者はオマージュだと思っていても、引用元の作者が盗作だと感じる場合は、「オマージュでありながら盗作である」という状況も起こり得る。これはそれぞれの主観による違いでしかないので、ある作品について第三者が「これはオマージュであって盗作ではない」とか、「盗作だからオマージュにはならない」などと議論するのはあまり意味がないことと言える。
また、近い意味にパロディがあるが、パロディは引用と改変自体を楽しませるものであり、引用の意図にやや違いがある。これらの言葉の違いは「パクリ」の項に詳しいのでそちらも参考のこと。
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