オリジナルストーリーとは、原作付きの作品を映像化した時などに付け加えられる、原作には存在しないストーリーのことである。
オリストと略されることもあるほか、特にアニメ化での追加要素はアニオリと略されることが多い。
概要
漫画原作、小説原作などの作品がアニメ化、ドラマ化、実写化、映画化されたときなどに原作で存在しなかったストーリーが追加されることがある。この追加された部分を指して、オリジナルストーリーと呼ぶ。
なお、原作付きでない完全オリジナルの創作物については基本的に使われない。原作付きでないアニメに関しては『オリジナルアニメ』の記事を参照。
どうしてオリジナルストーリーができるか
様々な要因が存在するが、主なものを上げていくと
などが挙げられる。
原作のストックが足りていないのは原作漫画が連載中であったりする場合によく見られるパターンである。特に週刊少年ジャンプ系の漫画をテレビアニメ化した場合などには原作にアニメが追い付きそうになるたびにオリジナルストーリーを入れて原作ストックをためることがよく行われている。古くは『ドラゴンボール』が、近年でも『BLEACH』や『NARUTO』でアニメオリジナルストーリーが放送された。
原作未完の場合、原作の進んだところまでをとりあえずアニメ化して「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドにするか、あるいはオリジナルストーリーでの物語の決着をつけなくてはならない。後者になった場合、後述する「オリジナルストーリーの評価」の項においても、ひときわ厳しい目を向けられることになるパターンでもある。代表的な作品では『鋼の錬金術師(2003年版)』や『魔人探偵脳噛ネウロ』などがアニメオリジナルの結末を迎えている。
原作の補完を目的にしたオリジナルストーリーは良く行われている。原作で描写不足だった部分を付け加えてストーリーの説得力を強化したり、原作で埋もれてしまったキャラクターの魅力を引き出したりする目的でオリジナルストーリーが付け加えられる。
制作者の判断で純粋にオリジナルストーリーを視聴者に見て楽しんでもらうことを目的として挿入されることもある。
最後に、原作からキャラクターと設定のみを借りている場合であるが、これは原作を使い切ったうえで原作の作者がすでに亡くなっているなどして原作ストックが増えない場合や、原作者の手から作品がほぼ完全に離れてしまっている場合などに使われている。前者は『ドラえもん』『クレヨンしんちゃん』『サザエさん』『ルパン三世』など長寿番組に多い。後者の代表的なものとしては『エクセル・サーガ』がある。
その他の要因
原作を別媒体で表現するに当たり、どうしても原作を再現できない場合にもオリジナルストーリーで乗り切ろうとすることがある。
例えば、推理小説を原作とした場合などでは叙述トリックが作品の肝であったりすると原作再現すると大変なことになる。
また、別媒体で表現するに当たってはメディアの違いによる暴力表現や性的表現の規制の度合いも異なってくる。この辺りの事情は別媒体で表現しなければならないことの限界であるといえる。→メディアの違いを理解せよ!
オリジナルストーリーへの評価
上で述べたとおり、原作のある物語を別媒体で表現する際には、どうしても原作そのままというわけにはいかない。そこで行われるのが原作改変といわれる物語や描写の再編成である。オリジナルストーリーは大きく見ればこの原作改変の一部であるといえる。
したがって、オリジナルストーリーの持つ問題点のほとんどは原作改変と重なり、原作から入ったファンなどには余り良い印象を抱かれないことも多い。
オリジナルストーリーの最大の問題のひとつが原作との乖離である。ひどい場合には明らかに原作や原作の持つテーマ性とかけ離れたオリジナルストーリーが紡がれることもあり、その場合、原作クラッシャー・原作レイプとの声も上がる。
もちろん、原作のテーマを別媒体の制作者が独自に消化して、素晴らしいオリジナルストーリーが描かれ、非常に高い評価を得ることもある。場合によってはオリジナルストーリーが原作に逆輸入されることもある。
また、原作改変でカットされたエピソードがあったうえでオリジナルストーリー回が入ったりすると、それだけで非難を受けることもある。
オリジナルストーリーの悲喜劇
- 『ドラゴンボール』の劇場版作品やテレビスペシャルのほとんどは原作の鳥山明が関わっていないオリジナルストーリーだが、『たったひとりの最終決戦』のキャラクターであるバーダックはのちに原作漫画にも逆輸入された。
- 『聖闘士星矢』のアニメ版オリジナルストーリーでは白鳥星座の氷河の師匠として水晶聖闘士が登場したが、その後原作において水瓶座のカミュが氷河の師匠として登場してしまった。その後の師弟対決を演出するため、アニメ版では「師の師は師も同然」という迷言が出ている。
- 初期のニコニコ動画でも人気のあった『遊戯王DM』のバーサーカーソウルや『GX』の正義の味方カイバーマンのエピソードは、原作漫画にはないアニメオリジナルストーリーである。
- 「まるで将棋だな」など、評価の低いアニメオリジナルの要素が原作由来のものと誤解され、原作への風評被害に繋がってしまうケースが多々ある。
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