オープン戦とは、
日本では主に2番の意味であるプロ野球のものを指す。1番の意味である競馬についても触れる。
概要(プロ野球)
毎年春キャンプの終盤からシーズンの開幕前、2月下旬から3月下旬にかけて行われる。NPB公式では「春季非公式試合」と呼ばれる。主にデーゲームで、序盤は各球団のキャンプ地で、中盤からは各球団の本拠地や地方球場で行われることが多い。MLBにおいては「スプリングトレーニング」がこれにあたる。
キャンプ中に行われる練習試合との違いは、オープン戦になると基本的にルールが公式戦に準ずることである。練習試合では7回や8回で打ち切ったり、後攻チームがリードしていても9回裏まで行ったりもできるが、オープン戦ではそういったことはできない。ただし、オープン戦では延長戦は原則行われず、9回打ち切り(引き分け)である。
また、公式戦では一軍出場できない育成選手もオープン戦は出場することができる。前年に引退を表明した選手の引退試合が行われることもある。
レギュラークラスの選手にとってはシーズンへ向けての調整の場であり、定位置争いや一軍残留争い中の選手にとっては開幕一軍へ向けての最大のアピールの場である。新外国人や、普段は見慣れない若手を見る機会も多く、オフシーズンを経て野球に飢えているファンにとっても楽しみの大きい期間。
オープン戦の勝敗はペナントレースの成績には一切関与しないため、意外なスタメン・交代を見られることも多い。
シーズンへ向けての戦力判断の場ではあるが、オープン戦の結果はアテにならないとはよく言われる。実際、オープン戦で大活躍した若手や外国人選手がシーズンに入ると全く打てなくなったりボコボコに打たれたりして早々とフェードアウトするのはよくある光景。相手チームがデータを取るためにわざと打たせたり抑えさせたりということがあるからである。チーム全体でも、オープン戦で上位に入ってもシーズンでは下位に沈むという展開はありがちである(だいたい暗黒時代の阪神のせい)。
デーゲームが大半ということもあり、地上波やラジオでは放映自体されなかったり延長なしで途中で終わってしまったりとシーズン中に比べると扱いが悪く、そのチームの地元の地域でもオープン戦を最後まで見ることは難しい。
オープン戦も視聴したい場合は衛星放送やネット配信などを事前に契約しておくことを勧める。
3位と最下位の呪い
近年、「オープン戦3位と最下位はシーズンで苦戦する」というジンクスがまことしやかに囁かれている。
東北楽天ゴールデンイーグルスが加盟した2005年以降の成績を見ると、オープン戦最下位のチームは、2024年までの20年間でBクラス15回、2009年から2019年まで11年連続Bクラス。うち最下位7回。
- 2005年最下位:広島東洋カープ→最下位
- 2006年最下位:オリックス・バファローズ→5位
- 2007年最下位:オリックス・バファローズ→最下位
- 2008年最下位:読売ジャイアンツ→優勝
- 2009年最下位:阪神タイガース→4位
- 2010年最下位:横浜ベイスターズ→最下位
- 2011年最下位:横浜ベイスターズ→最下位
- 2012年最下位:阪神タイガース→5位
- 2013年最下位:中日ドラゴンズ→4位
- 2014年最下位:東京ヤクルトスワローズ→最下位
- 2015年最下位:広島東洋カープ→4位
- 2016年最下位:中日ドラゴンズ→最下位
- 2017年最下位:読売ジャイアンツ→4位
- 2018年最下位:阪神タイガース→最下位
- 2019年最下位:北海道日本ハムファイターズ→5位
- 2020年最下位:読売ジャイアンツ→優勝
- 2021年最下位:東京ヤクルトスワローズ→優勝
- 2022年最下位(同率):東京ヤクルトスワローズ→優勝、読売ジャイアンツ→4位
- 2023年最下位:広島東洋カープ→2位
- 2024年最下位:阪神タイガース→2位
まあ、調整の場とはいえオープン戦で結果が出ないチームがシーズンでも結果が出ないのは、単純に戦力不足で当然の結果とみることもできる。2022年まではどういうわけかオープン戦最下位からAクラスに入った球団が全て優勝していたが、2023年はオープン戦最下位の広島が優勝を逃している。
しかしそれ以上に謎なのは、3位の呪いである。オープン戦で3位になったチームはなぜか最下位に終わる確率が高く、Aクラスに入った場合も大逆転V逸やCS敗退といった不幸が襲いかかることが多い。こちらも2005年以降を見てみよう。
- 2005年3位:西武ライオンズ→3位(9年ぶりの借金フィニッシュ)
- 2006年3位:阪神タイガース→2位
- 2007年3位:東京ヤクルトスワローズ→最下位
- 2008年3位:福岡ソフトバンクホークス→最下位
- 2009年3位:広島東洋カープ→5位
- 2010年3位:東北楽天ゴールデンイーグルス→最下位
- 2011年3位:北海道日本ハムファイターズ→2位(優勝争いから終盤に大失速)
- 2012年3位:横浜DeNAベイスターズ→最下位
- 2013年3位:福岡ソフトバンクホークス→4位(2010年代唯一のBクラス)
- 2014年3位:読売ジャイアンツ→優勝するも1勝もできずにCS敗退
- 2015年3位:横浜DeNAベイスターズ→最下位
- 2016年3位:福岡ソフトバンクホークス→2位(11.5ゲーム差を逆転される歴史的V逸)
- 2017年3位:オリックス・バファローズ→4位
- 2018年3位:東北楽天ゴールデンイーグルス→最下位
- 2019年3位:東北楽天ゴールデンイーグルス→3位
- 2020年3位:阪神タイガース→2位
- 2021年3位:埼玉西武ライオンズ→最下位(42年ぶり)
- 2022年3位:横浜DeNAベイスターズ→2位
- 2023年3位:読売ジャイアンツ→4位(2年連続4位でAクラスを逃す)
- 2024年3位:東京ヤクルトスワローズ→5位(最下位とゲーム差0)
と、20年で最下位7回と、オープン戦最下位と同じ最下位率を誇る。Bクラス率も20年で12回と目に見えて高い。
オープン戦優勝と2位はシーズンでも好成績を残すことが多い(同期間で見ると、オープン戦優勝チームは20年で優勝6回、Aクラス12回、最下位2回。2位チームは優勝6回、Aクラス15回、最下位2回)だけに、3位のシーズンでの苦戦ぶりは際立っており、例年オープン戦3位のチームのファンは戦々恐々である。
概要(競馬)
日本の中央競馬で「オープン戦」という場合、基本的には「オープン特別競走」のことを指す。レースの格付けにおいて「OP」と書いてあるレースがそれ。
「特別競走」とは要するに「○○賞」「○○ステークス」などのレース名がついているレースのこと。レース名のつかない一般競走のオープン戦は、障害競走では現役で存在するが、平地競走では最後に開催されたのは1995年である(2022年時点)。そして当初から番組に組み込んでいたのは1983年(グレード制導入前)まで。
オープン競走は定義上はすべての馬が出走できるレースのことだが、実際のオープン特別競走は基本的にレースごとに馬齢などによってある程度の出走資格が定められている。
格付けとしては、収得賞金1600万円以下の馬のみが出走できる「条件戦」と、GⅠ・GⅡ・GⅢのいわゆる「重賞」の間に位置するレースである。というか、定義上は重賞もオープン競走の一種ということになるので、オープン特別競走とはオープン競走のうち重賞の格付けを得られていないレースというのが正確な定義だろう。
なので、オープン特別が重賞に格上げされることはときどきある。グレード制導入以降に新設された重賞は、オープン特別を前身としている場合が多い。通常、新設重賞は2年間は格付けなしで開催して規定のレーティングを充たさないと格付けが得られないが、前身のオープン特別時代にレーティングを充たしていれば創設してすぐGⅢの格付けを得られる場合もある。
また、条件戦として開催されていたレースがオープン特別に格上げされることもある。
なお、重賞は通算開催回数がレース名に冠されるが、オープン特別は回数をカウントしない。そのため、オープン特別が重賞に格上げされた場合、オープン特別として施行された回数は通算回数に組み込まれない。
収得賞金が1601万円以上となった馬は「オープン馬」となり、重賞も含めたオープン競走にしか出走できなくなる。
中央競馬において「オープン馬」にまで登り詰める競走馬は、毎年4000頭以上入厩してくる競走馬のうち、1世代あたり200頭程度に過ぎない(3勝クラスが年間186戦、これに2歳・3歳春季重賞や重賞2着ルートから勝ち上がってくる馬の数から推計)。即ちオープン馬は全入厩馬のうち上位5%以下(地方競馬所属馬を含めた頭数を分母にすると3%以下)しか居ない逸材に該当する。新馬戦で18頭フルゲート埋まったとして、その中からオープン馬が1頭出るかどうかという計算であり、かなり狭い門であると言えよう。
なお、未勝利・未出走馬に関しては、出走にあたり以下の制限がある。
一部のオープン特別競走では、1着や2着に特定の重賞への優先出走権が与えられる(アネモネステークス→桜花賞、若葉ステークス→皐月賞など)。また2019年からはオープン特別競走の一部に「リステッド競走(L)」という、重賞に次ぐレースという格付けが与えられるようになり、収得賞金が他のオープン特別競走より高めに設定されるようになった。2023年からは3(4)歳以上のオープン特別競走に次走優先権が付与されなくなり、リステッド競走とそれ以外のオープン特別競走の出走馬の決定方法も以下のように変更された。
関連動画
関連項目
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