カップヌードルとは、日清食品から発売されているカップ麺である。
概要
1971年に発売。以来、現在まで発売され続けているロングセラー商品である。開発者はチキンラーメン開発者としても知られる日清食品社長(当時)の安藤百福(1910 - 2007)。海外進出を試み、欧米を視察。箸と丼を使用しない新たなスタイルの麺にたどりついた。
これに関しては商談の際の相手バイヤーの、チキンラーメンを砕いて紙コップに入れ、そこにお湯を注ぐという一連の行動がヒントになった。
主食としてだけでなく、間食としての需要も見込んだため、麺の量は60gとやや少なく、袋麺の2/3ほどである。湯戻し後の麺の量は約150gほどになり、ご飯に換算すると茶わん1杯分とほぼ同じ重さとなる。
公式略称は「カプヌ」。ただ、略さず「カップヌードル」と呼ばれることも割とあるかもしれない。
エピソード
1971年に定価100円で発売したものの袋入りインスタント麺の3倍から4倍に近い値段設定などもあり、当初スーパーや問屋では殆ど相手にされなかった。しかし、一方で警察、消防、自衛隊、警備会社などといった深夜勤務がある職場では夜食または非常食として一定の需要があった。
一つの転機になったのは翌1972年2月の連合赤軍浅間山荘事件である。犯人側は籠城作戦に至ったため、警察も包囲する展開となったが、外はマイナス20度になるほどの厳寒もあり、後方は炊き出しで温かい食事が出来たが、前線に当たった機動隊員への弁当は運ぶ途中に凍ってしまう問題が発生。そこで警視庁は弁当の代わりに以前に購入していたカップヌードルを用意した。熱湯があれば温かいラーメンを食べることでき、チキンラーメンなどの袋麺と違い、容器を準備する必要がないため、隊員に支給されたカップヌードルは隊員の士気を保ち、事件解決への足がかりとなった。ただし、当初カップヌードルを食べることが出来たのは警視庁の職員のみであり「警視庁の隊員には1個50円で売るが、カップヌードルや湯の準備は全て警視庁が準備したため神奈川県警、長野県警、報道スタッフには売らない」という姿勢であった。これに対して神奈川県警や長野県警は激怒したものの警察庁職員である佐々淳行が仲介したため警視庁も県警や報道にも売るようにしたものの1個70円で売ることを決定。これが県警側にとって火に油を注ぐ結果(そんな暇あったらカップヌードルに湯を注げ)となり、警視庁と神奈川県警が更に不仲になった理由の一つになったとのこと。
このカップヌードルを食する機動隊員の姿がテレビ(全放送局含めて視聴率約90%)や週刊誌の写真に映され、事件の行方に釘付けであった国民が「あの食べ物は何だ?」と話題になり、爆発的大ヒット商品となった(ただし、爆発的ヒットにはなったのは73年末とのこと)。
銀座での歩行者天国を用いた若者への販売イベント、給湯機能付き自販機の開発、毎日放送の人気番組「ヤングおー!おー!」での宣伝効果もあり、カップヌードルの人気は不動のものとなり、カップ麺というジャンルが確立した。
派生商品
- カップヌードル天そば
1972年発売。「どん兵衛」の原型となった和風即席麺の元祖。1976年に「どん兵衛」発売のため販売終了。 - カップヌードルカレー
1973年発売。カレースープに絡む太めの麺にジャガイモやニンジンといった独特な具材が受けて大ヒット。現在でも大人気である。オリジナル、シーフード、チリトマト、トムヤムクンと並びカップヌードル5強の1つである。 - チリトマトヌードル
1982年発売。チリの辛さとトマトの酸味が売りで、鶏肉ベースの白謎肉やインゲンなど独自の具を使用。下記のシーフードに先駆けること2年、独自の味がファンの間で根強い人気を持つ。 - シーフードヌードル
1984年に発売、あっさりした魚介風味の塩スープが大ヒット。 オリジナル、カレーと並ぶ定番商品の座についた。牛乳で作るアレンジメニューも人気を集めた。 - トムヤムクンヌードル
2014年発売、タイ日清の協力の元開発された。本家トムヤムクン顔負けの酸味のあるスープが人気を博し人気が爆発。当時は供給が追い付かず一時発売休止になる程だった。長年続いた4強時代に颯爽と新風を吹かせた新鋭。 - カップヌードル味噌
2019年に4代目が発売。甘みのある麦味噌ベースに、赤白の3種の味噌を合わせた濃厚な味噌スープが特長。もともとミニサイズでの発売だったが、4代目からレギュラーサイズも製造するようになった。「おにぎりに合うラーメン」ランキング第1位を獲得した影響で、品切れが相次ぐほどの人気商品に。 - カップヌードルミニ
1984年発売の小盛りバージョン。 おやつや弁当の味噌汁代わりとして人気を集めた。現在多数の種類があるミニサイズカップ麺の元祖。 - カップヌードルビッグ/カップヌードルキング
エースコックの「スーパーカップ1.5」の登場で人気となった大盛りカップ麺ブームに乗る形で1991年に発売。麺の量は袋麺と同等の85g。味はオリジナル、カレー、シーフードの3種類。
「キング」は「ビッグ」よりもさらに麺量を増やし、105gとカップ麺最大級の重量である。 - スープヌードル/あっさり少なめカップヌードル
2006年発売、見た目は通常のカップヌードルと変わらないが、麺を減らし、味をあっさりめにしてスープを飲むことを重視した派生商品。通常のカップヌードルよりも低価格であり、今や100円ショップの定番商品の1つとなっている。
2018年4月に、麺量をスープヌードルと同量にした「あっさり少なめカップヌードル」が発売された。同時にスープヌードルが公式サイトの商品ラインナップから姿を消したことから、今後は「あっさり少なめ~」が「スープヌードル」の後継商品として販売されるものと見られる。 - カップヌードルリフィル
2008年発売。 カップヌードルの中身だけをパウチした詰め替え商品、専用のカップに中身を移し、お湯を注いで食べる、レンジ調理も可能。価格は通常のカップヌードルよりも20円ほど安い。当初は苦戦もアウトドアや非常食としての需要が高まり、今やどん兵衛やチキンラーメンのリフィル版も発売されている。 - カップヌードルライト/カップヌードルナイス
2009年発売、カロリーが通常の6割ほどのカップヌードル。ノンフライ製法に加えてオリジナルのカップヌードルと比べて小麦粉の使用量を半分に減らす代わりに食物繊維を10g練り込むことや、脂分の少ないさっぱりスープを採用することで、オリジナルのカップヌードルに近い満足度とカロリーカットの両立を実現。氷を入れて冷やしラーメン風にして食べるレシピも人気を博した。
2017年には、こってり感を増量しつつ更にカロリーを20kcal抑えた「カップヌードルナイス」が発売された。「ナイス」が「ライト」の事実上の改良版であり後継商品であるが、両者とも併売されていた。 - カップヌードルPRO
カップヌードルライト/ナイスの後継商品で、カップヌードルナイスをベースに糖質カットはそのままにタンパク質を強化した商品。タンパク質由来によるカロリーが100kcalほど増加しているが、麵の量も40gから60gに増加しており、満足の行くボリュームとタンパク質の摂取が出来るよう工夫されている。 - カップヌードルごはん/カップヌードルぶっこみ飯
2011年発売。名前の通り、カップヌードル味のインスタントライス。ラーメンの残り汁にご飯を入れて楽しむ派の人を中心に人気を得た。なお、2010年の時点で限定発売されたが、このときにも瞬く間に売り切れる人気を見せた。一部には、器の大きさの割に中身が物足りないという人もいる(ご飯の量はおにぎり2個分)。
2017年には改良版のぶっこみ飯が発売。フリーズドライ米飯の使用により、お湯掛け5分でできる手軽さが売り。 - スペース・ラム
厳密には「商品」ではなく「派生品」。史上初の宇宙食ラーメン。安藤百福氏の「宇宙食を作ってみたい」という一声で生まれた。洒落ではなく実際に宇宙食として運用されており、最初は野口総一氏向けの特別食として宇宙ステーションに持ち込まれた。今ではそれなりの人気メニューになっているとか。
無重力空間、特に精密機器が密集している宇宙ステーションでは汁物はもっとも危険な代物だが、スペース・ラムは、あんかけのような粘度の高いスープを採用し、バラバラにならない麺を使うことで、無重力下でも安全な飛び散らないラーメンとして完成した。 密閉パックに、巨大なベビースターとでも言うべき麺の塊が3つ入っており、70度ほどのお湯を注入して5分で完成する。スープはとろみがあり少量だが、口の中でさらさらに戻るらしい。無重力空間では人の嗅覚が鈍るため、味がその分濃い目となっている。
最初はしょうゆのみだったが、やがてシーフードやカレーも作られ、同じ仕組みで作られる豚しゃぶなども生まれた。
商品ではないという前置きの通り、市販されていない。一般人が食べるには、たまに博物館などで行われる、宇宙食の試食イベントにでも行くしかない。
カップヌードルに関するTIP[1]
- 麺の太さ・麺の味について
TBS系列番組「ジョブチューン~あの職業のヒミツぶっちゃけます!」(2020年5月2日放送分)に登場したカップヌードル栗東工場長によると、カップヌードルの麺の太さは、種類によって違う太さにしており、レギュラー味とシーフード味は幅1.5mm、カレー味は1.8mmの麺を使用している。これは、麺とカレースープをよく絡ませるためというのが理由である。また、麺に使う調味液も種類によって変えており、レギュラー味は醤油とチキンベース、シーフードは薄醤油ベース、カレー味はポークベースの味に仕上げている。 - 容器が台形な理由について
容器が上に向かって台形である理由については、麺をカップに入れるときの工程に秘密がある。カップヌードルの麺をカップに入れる時は、ベルトコンベア上に逆さまの状態で置かれた麺を上からカップを被せて封入している。これは、麺が割れないようにするためであり、台形である理由も運搬するときに容器と密着させて割れないようにするためである。
トリビアの種では
シーフードヌードルが「中国の宮廷料理人が一番美味しいと思うカップラーメン」の第1位に選ばれ、カップヌードルSIOが「フランス料理のシェフが認める、フランスパンに合うカップラーメンの残り汁」の第1位に選ばれた。
地元から2020年を沸かせ! #地元CMフェス
カップヌードルでは、日清食品とスポンサー契約を交わしている錦織圭、大坂なおみ、八村塁を擁して2020年から「地元から2020年を沸かせ!」キャンペーンを開催している。その一環として2020年元日より、「地元CMフェス」と題した企画を展開。各都道府県や地域を代表した32の有名企業とコラボCM(というよりほぼパロディ)を制作。都道府県ごとにその地元企業とのコラボCMを放映した。また、公式TwitterでもコラボCMを一部紹介している。
このコラボCMについては、あまりにも似すぎていて面白いとネット上で話題となった。
コラボCM一覧(Twitter引用より一部のみ)
551蓬莱(関西地方代表)
浜乙女(東海地方代表)
梅かま(富山県代表)
学生服のやまだ(静岡県代表)
天神愛眼(福岡県代表)
平坂製薬(長崎県代表)
ONE PIECEコラボCM(HUNGRYDAYS)
カップヌードルでは、このほか「HUNGRYDAYS」と題して「ONE PIECE」とのコラボCMを制作し、2019年5月22日から公開している。このCMでは、高校生に扮した麦わらの一味たちが登場し、まるで「アオハルかよ」と突っ込みたくなるような青春を謳歌する様子を描いている。2020年2月7日に最終回を迎えた。
第1弾 ゾロ編
第2弾 ナミ編
第3弾 ビビ編
最終弾 頂上戦争編
関連動画
関連外部リンク
関連項目
脚注
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