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カテコールアミン(Catecholamine)とは、カテコール構造をもつモノアミンである。カテコラミン。
概要
カテコールアミンまたはカテコラミンは、カテコール構造とアミノ基をもつ分子種である。「ドーパミン」「ノルアドレナリン」「アドレナリン」の基本骨格であり、神経科学においてはこれら3つの分子の総称として用いられる。医薬品の「ドブタミン」「イソプレナリン」もカテコールアミンであり、いくつかのアドレナリン受容体作動薬またはアドレナリン受容体拮抗薬はカテコールアミンに類似の構造をもつ。
内因性のカテコールアミンは、アミノ酸のL-チロシンから誘導される。L-チロシンは、神経細胞内でチロシン水酸化酵素によってL-ドパに変換され、さらに芳香族アミノ酸脱炭酸酵素によってドーパミンに変換される。ドーパミンはドーパミン-β-水酸化酵素によってノルアドレナリンに変換され、シナプス小胞に貯蔵される。副腎髄質において、ノルアドレナリンはさらにフェニルエタノールアミン-N-メチル転移酵素によってアドレナリンに変換される。これら内因性のカテコールアミンは、モノアミン酸化酵素(MAO)およびカテコール-O-メチル基転移酵素(COMT)によって代謝、不活性化される。
臨床では、循環動態の安定性の評価、経腸栄養を開始する時期の判断の指標として、カテコラミンインデックス(CAI)が用いられる。循環動態が不安定なまま経腸栄養を開始すると、脳や冠動脈への血流が減少しショック状態を増悪させるおそれや、非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI)と呼ばれる腸管の虚血・壊死を引き起こすおそれがある。しかし、カテコールアミン投与中でも循環動態が安定していれば経腸栄養は可能であり、経腸栄養の早期開始は死亡率の低下や在院日数の減少につながるため、CAIなどを活用してできるだけ早期に経腸栄養を開始することが推奨されている。
例
ドーパミン
ドーパミン(ドパミン)は、中枢神経系の神経伝達物質である。アミノ酸のL-チロシンからL-ドパを経て生合成される。脳の機能を活性化させ、快感や意欲、運動機能の調節などに関与する。詳細はドーパミンの記事参照。
ノルアドレナリン
ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)は、中枢神経系・交感神経系の神経伝達物質であり、副腎髄質ホルモンでもある。ドーパミンから生合成される。中枢では覚醒や記憶、末梢では血圧や心機能の調節に関与する。詳細はノルアドレナリンの記事参照。
アドレナリン
アドレナリン(エピネフリン)は、神経伝達物質、副腎髄質ホルモンである。ノルアドレナリンから生合成される。心機能亢進、血圧上昇、気管支拡張といった、闘争・逃走反応と呼ばれるストレス応答を示す。アナフィラキシーショックの治療薬として処方される。詳細はアドレナリンの記事参照。
ドブタミン
ドブタミンは、ドーパミンから誘導されたカテコールアミンである。主に心臓のβ1受容体に選択的に作用し、心機能を強めるため、急性循環不全(ショック)に対し投与される。
イソプレナリン
イソプレナリン(イソプロテレノール)は、アドレナリンに類似した構造のカテコールアミンである。β受容体に非選択的に作用し、強心作用、気管支拡張作用を示す。徐脈や気管支喘息に対し処方・投与されるほか、めまいの治療にも利用される。
関連項目
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