カブール国際空港とは、アフガニスタンの首都であるカブールにある空港である。「カーブル国際空港」、かつての大統領の名から「ハーミド・カルザイ国際空港」とも。
IATAによるスリーレターコードはKBL、ICAOによるフォーレターコードはOAKB。
概要
アフガニスタン、ならびにカブールの玄関口となる空港。人口400万人ほどのカブール唯一の空港である。カブールの市街地の中では北に位置するが、中心部からはそれほど離れておらず(アメリカ大使館は空港から2km程度、反対側の町はずれにある国民議会議事堂でも13kmほど)、空港周辺にも住宅が多い。滑走路の長さは3500m、幅50m。
パキスタン・インドなどの近隣国や、トルコ・サウジアラビア・アラブ首長国連邦などのアフガニスタンと同じイスラム教の国への便が多い。かつてはロシアのモスクワ、オーストリアのウィーンからも直行便があった。ほか、ラシュカルガーやバーミヤンなど各都市に国内線も出ており、さらに空軍基地も兼ねている。
日本などの支援で空港のインフラは整備されつつあったものの、治安はあまり良いとは言えず、2002年に暴徒化した市民によってアフガン航空相が撲殺される、2009年と2015年に周辺で自爆テロが発生する、1998年・2005年・2010年にカブールを離発着する航空機で乗員乗客が全員死亡する航空事故が起こるなど危険な場所でもある。
2021年8月のタリバン制圧時の混乱
2021年8月のタリバンによるカブール制圧により、すべての民間便がキャンセル状態となった。一方で、カブールに居住する外国人や、タリバンの迫害を受ける可能性の高い一部のアフガニスタン人の避難のために、アメリカが航空機を空港に派遣した。
しかし、市街地では「タリバンとの銃撃戦が始まった」「ビザなしで航空機に乗せてもらって出国できる」等の噂が飛び交ったほか、タリバン支配下で迫害される不安を感じた人々が増えた。その結果、カブール国際空港に多くの国外脱出を図ったアフガニスタン人が殺到した。
何者かによる発砲から米兵側が応戦し死者2名を出したほか、航空機の屋根に上る人々も出る騒ぎとなった。車輪格納部に隠れた後に機械の作動により押し潰されて死亡した人、離陸した航空機にしがみつき、その後落下し死亡した人もいた。
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このときに少なくとも640人超がカタールに脱出したとみられる。ジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官は、タリバンとの交渉の結果、8月末までは民間人の退避のための空港までの通行は保証されるとしていた。しかし、タリバンの兵士が威嚇射撃を行う、銃撃戦が発生する、26日には空港周辺でISによる自爆テロが発生し70人以上が死亡するなど、月末近くになっても不安定な情勢が続いていた。
31日には米軍の撤退が完了し、9月時点では新タリバン政権の支配下にある。空港の再開に向けて、アメリカ合衆国側はカタールやトルコと緊密な活動を続けているとしている。
関連動画
関連リンク
- Gordon Lubold , Saeed Shah and Yaroslav Trofimov「カブール空港で死者 タリバン支配逃れアフガン人殺到」(ウォール・ストリート・ジャーナル, 2021/08/17)
- 「【写真で見る】 タリバンが占拠した首都カブール 静けさと混乱」(BBC Japan, 2021/08/17)
- 乗京真知「君を乗せる飛行機はない」 アフガン情勢、混乱の空港(朝日新聞, 2021/08/16)
- 「タリバン、民間人退避に向け空港までの「安全な通行」を保証…米との交渉で」(読売新聞, 2021/08/18)
関連項目
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