概要
半翅目異翅亜目(カメムシ目カメムシ亜目)のうち陸生のものの総称。広義には異翅亜目の総称で、狭義にはそのうちカメムシ科の昆虫の総称。
臭いという特徴だけが知れ渡っているため、カメムシが好きな人までなぜか忌み嫌われたりする。カメムシのことを臭い虫としか認識していない人にカメムシを描かせたら、五角形のものかマルカメムシを書くのだろう。色は黒っぽいか緑一色、マルカメムシのいr(ry(農業に関わっている人なら、細長いのや肩のあるものも描けるかもしれない)
「カメムシは何を食べてるの?」と聞いたら、わからない人までいる。
様々なカメムシ
カメムシには細長いもの、まん丸いもの、アリっぽいもの、カマキリのようなものなどさまざまな形態のものがいる。メダカナガカメムシ、コガシラダルマカメムシ、メダカダルマカメムシなどは奇妙な顔である。ヒラタカメムシはぺったんこで、グンバイムシは小さくガラスのような美しさを持つ。
サシガメは肉食の虫らしくかっこいいが、それでいて小さく蚊のような姿の種もいる。イトカメムシも文字通りすっげぇ細い。でも雑食。色はどうだろうか。
アカスジキンカメムシ、ニシキキンカメムシなどキンカメムシには美麗な種類が多いし、五角形のものが含まれるカメムシ科にも美しい種がいる。特に熱帯には鮮やかな種類が多い。海外のジンメンカメムシのように奇妙な模様の種類がいる(特に幼虫で)。大きな種が多いグループは体が堅いが、カスミカメムシ科など小さいものは透明感がありもろいことが多い。
カスミカメムシ科は一昔前まで研究が進んでおらず、「150種程度新種がいるだろう」と言われていたが調査をすると倍の種類が記録された。カメムシで最大のグループで、国内で合計400種以上見つかっている。
食性・特性
食性は植物から汁を吸う種が多いが肉食の種も多くいる。だから「カメムシが蛾の幼虫を食ってた」と言われても無駄に驚くことのないように。1匹の獲物に複数が口を刺していることもある。雑食の種や菌食の種もいる。モチツツジカスミカメなんていうのもおもしろいよ。
においが地味な種も多く、オオクモヘリカメムシは青リンゴ臭がするという。トホシカメムシはチューインガムの臭いがして、適量ならいい臭いである(筆者の体験)。
集団を作る種が多くいろいろな成長段階の個体がいることもあり、美しいカメムシの集団は圧巻である。大きな卵を少数産み、ツノカメムシの一部は母親が卵や子供を守る。ゴキブリに似ているツチカメムシには木の実を転がして子供に運ぶ種もいる。
体の大きさは日本では2mmから3cmまである。ただし小さいものは肉食のことが多く、ハナカメムシ、フタガタカメムシ、ダルマカメムシなどがそれにあたる。
飛べない種類がけっこういるがその中にも長翅型がいて飛べるものがいる。
水生カメムシ
田んぼや池にいるタガメ、ミズカマキリ、タイコウチ、マツモムシ、アメンボなどもカメムシの仲間である。
きれいな川にはナベブタムシやコバンムシが、海にはウミアメンボやサンゴカメムシなど、半水生ではミズギワカメムシ、メミズムシなどがいる。水面にいるタイプはアメンボが筆頭だがアメンボのようにすいすい動くグループは限られ、マツモムシが水面を逆さまにすいすいしているぐらいである(参考としてはミズカメムシは水面をバタバタ走る感じで動く)。
水生カメムシは肉食の種が多いので手に乗せたりはしないように気を付けねばならず、特にマツモムシはその傾向が強い。やはり大きさや形態は様々でタガメは5~6cmありカエルを食べることもある。昔は養殖している魚を食べるので害虫となっていた。ケシカタビロアメンボは体長2mmだがそれでも肉食である。この多様性がカメムシが「不完全変態の昆虫」と呼ばれる所以である。
なお姿が似ていると言われることのある甲虫目(鞘翅目)は完全変態を行う。
害と利用
害虫として
クサギカメムシ、マルカメムシなどは越冬するために人家に入ることがあり、臭いを放つので嫌われる。夜外灯に集まる種や植物を食べることから農業害虫とされる種も多い。また吸血性のカメムシも存在し、現在は少なくなっているがトコジラミ(ナンキンムシ)がそれにあたる。海外ではサシガメの中に同様に吸血性の種類がいる。
クサギカメムシはクサギ以外にもさまざまな植物を食べる。しかも臭いにおい(=毒ガス)を出すので天敵は寄生昆虫、ムシヒキアブ、クモ、そして同じカメムシぐらい。
また、分泌物に触れると炎症を引き起こすため、素手では触らないようにしたい。
益虫として
肉食性のカメムシは、蛾・ハバチの幼虫、ハムシの幼虫、カメムシと害虫を捕食することが多いので益虫とされる。グンバイカスミカメは、植物に対する害虫であるグンバイに姿が似ているがそのグンバイを好んで獲物にする。ただし捕まえたりして刺されたら痛く、中には激痛が走る種もいる。どのカメムシも刺すことがあるので手乗りにはしない方がいい。
海外では食用になっている種もあり、例えばタガメは香辛料とされ生きたものが売られていることもある。
カメムシの可愛さは異常?
カメムシ科と近縁のツノカメムシ科、キンカメムシ科はとぼけた顔の種類が多く、カメムシの可愛さは異常という人は多い。幼虫は等身が少なく、これもかわいい。
仮に1匹でかわいくても、集団でいると気持ち悪いかもしれないが・・・
関連動画
関連項目
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