カーレ・パルムグレン(Carle Palmgren)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。担当声優不明[1]。
概要
西暦時代末期の政治家(A.D.2664/65~2706)。
”シリウス戦役”において反地球統一戦線の指導者をつとめた人物であり、人類史において「一瞬の光芒」を放った”シリウスの時代”を象徴する存在であった。
経歴
反地球陣営の象徴として
シリウス星系住民を同胞とするカーレ・パルムグレンは、その前半生においては立体TVの放送記者を務めていた。そして西暦2690年5月、当時25歳の彼はシリウス星系第六惑星ロンドリーナにおいて発生した惨劇、”ラグラン市事件”に巻き込まれることとなる。
前年にシリウス星系政府軍をはじめとする植民星連合軍を鎧袖一触に打ち破った地球軍が略奪のためにラグラン市を襲撃、市民を虐殺したこの事件のさなか、彼は軍隊による検問で所持品検査を拒否したために銃床で乱打されたのである。意識を失った彼は死んだものとみなされたが、無数の死体とともに焼却されかけたところで意識を回復。液体ロケット燃料をまかれて焼かれる煙の中に隠れる形で逃亡の道を選んだ。
炎上するラグラン市をあとにしたパルムグレンは反地球活動に加わり、翌2691年2月28日、中立地帯となっていたプロキシマ系第五惑星プロセルピナにおいて三人の同志と巡り合う。ここに、のちに”ラグラン・グループ”と呼ばれるようになった四人組、ラグラン市事件の生き残りにして地球軍への復讐を誓うものたち、すなわちカーレ・パルムグレン、ウインスロー・ケネス・タウンゼント、ジョリオ・フランクール、チャオ・ユイルンの四人が結集した。
「適材適所の模範」とされるほどの的確な役割分担を自然に成した彼らのなかで、パルムグレンの役目は反地球陣営の指導者たることであった。彼は理念と言論によって烏合の衆でしかなかった反地球派をひとつにまとめあげ、市民を啓発糾合し、さらには優れた組織力によって反地球統一戦線を導く象徴的立場に立ったのである。
勝利と早世
そして「ラグラン市事件」から14年を経た西暦2704年、無数の陰謀と戦闘の末に地球政府は凄惨な完全敗北を喫し、その廃墟の上にシリウスの(あるいはラグラン・グループの)人類支配が樹立された。むろんパルムグレンは、革命と解放の象徴としてその頂点に立った。だが二年後の2706年、折悪しくも雨天の下で解放戦争記念館の起工式に出席した彼は直後に病に倒れる。風邪気味な体調をおしていた彼を、急性肺炎が襲ったのだった。
病床で彼は信頼する医師に
私がいま死んだら、新体制は接着剤を失う。あと五年でいい、死神に待ってもらえたら……
と語ったが、ついに再起することが叶わぬままに死んだ。41歳の若さ、人間としても、政治家としても、そしてシリウスの新体制にとってもあまりに早すぎる急死であった。
そして彼の予言通り、死後三ヶ月たたぬうちにタウンゼント首相とフランクール国防相の抗争が勃発。翌2707年、ラグラン・グループの全滅とともに「シリウスの時代」は幕を閉じ、西暦2801年/宇宙暦元年の銀河連邦成立まで、人類は一世紀におよぶ流血と混乱を経験することとなった。パルムグレンがあと十年長く生きていれば宇宙暦は九十年はやく始まっていた、というのは、後世におおくの人々が指摘しながらもけして証明しえない推論であるという……。
もし本当に宇宙暦があと九十年はやく始まっていたら宇宙暦元年が西暦2711年になっていたわけで、宇宙暦・帝国暦・新帝国暦の西暦換算がさらに面倒くさくなっていた。彼には悪いが有り難いことである。
関連動画
関連項目
脚注
- *OVA第56話「地球へ」にて台詞があるがクレジットになく担当者不明。同回の出演声優はユリアン:佐々木望、ポプラン:古川登志夫、イブン・シャーマ:笹原大、松尾貴司、河合義雄、山野井仁、鹿島灘之、資料の声:日下武史。
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