カーロス・シルヴァとは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
概要
西暦22世紀後半ごろの政治家。地球統一政府第五代宇宙省長官をつとめた。
特に思索的・独創的な人物ではなかったものの、有能な実務家であったという。
おそらくは「銀河英雄伝説」作中に登場する中でもっとも登場巻刊行年(飛翔篇/1985年)に近い未来の登場人物。
発言
カーロス・シルヴァの名が歴史に残るのは、彼の生きた時代の人々が持っていた、人類社会の未来展望についての常識を端的に示した演説によってである。それは西暦2180年、冥王星探査団の進発時のものだった。
……かつて人類社会は地球という一天体のみで成立していた。現在は地球とほかの少数の天体によって成立している。将来は地球を一部分とする多数の天体によって成立するであろう。これはべつに予言ではない。時期を未来に設定しただけの、たんなる既成の事実である……
この時期、人類の生存圏は飛躍的に拡大しつつあった。2129年にブリスベーンを首都として地球統一政府(グローバル・ガバメント/GG)が成立したのち、人類社会には平和と辺境開拓の時代がやってきたのである。2166年には統一政府成立以前の人類の最遠到達点であった火星を越えて木星の衛星イオに開発基地が置かれ、月面都市(ルナシティ)に本局を置いた宇宙省は統一政府でもっとも活力ある省庁として宇宙開拓を牽引した。
そしてそのトップであったシルヴァによるこの演説はまさにその渦中、イオ開発基地の設置より14年ののち、全太陽系の首都と目されるようになる月面都市の人口がブリスベーンのそれを越えるまでには未だ半世紀以上を待つ時期になされたもので、当時の人類は一般的にこの演説の通りの認識を持っていた。
しかしやがて開拓の気風が失われ、諸植民星を地球が一極支配する時代が訪れていくにつれ、地球市民はもはやこの認識を忘れていった。ようやく「時期を”現在”に設定した」既成の事実として「地球を一部分とする多数の天体によって成立する」人類社会がやってくるのは、時代が行き着くところまで行き着いた末、”シリウス戦役”によって西暦2704年に地球が凋落して以降のこととなる。
登場時期について
上記のように、カーロス・シルヴァの名があがるのは西暦2180年の冥王星探査団進発時の演説であり、登場する本伝6巻飛翔篇の初版刊行年(1985年)からは195年後と、おそらくもっとも近い未来に位置する人物である。
ただし、未来ないし架空に限らなければ本伝4巻雌伏篇(1984年刊行)にラザール・カルノー(1823年没/刊行161年前)の名が登場しており、上記演説のあった2180年を基準とする場合はカルノーの方が刊行年に近い。対してシルヴァの生誕まで基準を遡らせる場合、生誕が刊行より161年を経た2146年より前であれば、シルヴァがもっとも刊行年に近い登場人物であることになる。
なお、「今現在」にもっとも近い時代の登場人物としては、西暦2020年以降はシルヴァが唯一その地位にある人物となる。この単独在位は2269年まで続き、2271年以降はアントネル・ヤノーシュ(2360年の記述で登場)に取って代わられる。ヤノーシュの在位が終わるのは、アーノルド・F・バーチ(2527年の記述で登場)に交代する2444年のことである。
ちなみに、外伝「星を砕く者」(1985-86年発表)では冒頭にエピグラフとして『ツァラトゥストラはかく語りき』からの引用があり、著者フリードリヒ・ニーチェ(1900年没/発表85年前)の名が出ているが、本文中でないため登場人物に含めなかった。
OVAにおいて
OVAではシルヴァ自体の名前が登場しない。一方で第56話(第三期/1994-95年)にてアントネル・ヤノーシュが登場しているため、ヤノーシュがリリースからもっとも近い未来に位置する人物となる。「今現在」にもっとも近い時代の登場人物としては第30話にやはりラザール・カルノーの名前が出ているため、ヤノーシュがその地位につくのは2092年以降のこととなる。
ちなみにOVA第82話に「YOSHIKI TANAKAによる"MAGIC of SUMMER"(TOKUMA刊)」なる書籍が登場していることから、このYOSHIKI TANAKAがリリースにもっとも近い時代の登場人物である可能性がある。
関連動画
関連商品
関連項目
- 1
- 0pt