株式会社ガイナックスとは、かつて存在した日本のゲーム制作会社アニメーション制作会社である。英語表記はGAINAXで、この表記でクレジットされることが多い。
破産直前は実質的に自社作品の版権整理を行う会社となっていた。
ガイナックスという社名は設立メンバーの一人の故郷の鳥取県米子方言「がいな(大きい・凄いの意)」の語尾にXをつけたもの。
概要
『新世紀エヴァンゲリオン』や『ふしぎの海のナディア』を制作した会社であり、SFアニメを得意とする。作中に何かのパロディやオマージュが必ずと言っていいほどあることで有名。また、最終話のエピソードタイトルを国内外のSF小説の題名から度々引用する特徴がある。(主な作品一覧の注釈に記載)
社内にアニメーション制作部門の他ゲーム制作部門があり、ゲーム部門では一時期、アニメーションの不振による赤字を補填、逆に大きな利益を出して会社を支えていた時期もあり自社版権を使用したアダルトゲームを作っていた時期もある。ゲーム部門の活躍が無ければエヴァはガイナックスで作れなかったとも。ゲーム部門の主力作品は赤井孝美が監督した『プリンセスメーカー』。
アダルトゲームを作っていたせいか、自社アニメのキャラクターを使って、脱衣マージャンゲームを出しており、「公式が病気」の元祖かもしれない。しかし最近はおとなしい様子である。元が同人サークルであるためか、割合二次創作には寛容とされる。
沿革
1984年に、ゼネラルプロダクツの代表取締役社長でDAICON FILMの主要人物であった、岡田斗司夫、アニメプロデューサーの井上博明、DAICON FILMの山賀博之によって創業。DAICON FILMの発展的解消と『王立宇宙軍オネアミスの翼』を制作するために東京で設立された。所属スタッフもDAICON FILM関係者で構成された。
1992年には前身の『ゼネラルプロダクツ』を吸収合併する。主要メンバーの一部が退社し、創業社長の岡田斗司夫も退社する。2代目代表取締役社長は同じくDAICON FILM出身の澤村武伺となる。
1994年ゲーム部門を主に担当していた赤井孝美が退社して有限会社ナインライブスを設立。(赤井は2001年にガイナックスに取締役として再入社し復帰)
2000年には粉飾決算と所得隠しが判明し、東京国税局により1997年度の15億6000万円の所得隠しを指摘され、5億8000万円の脱税を指摘された。結果法人のガイナックスと社長の澤村が告発され、澤村は逮捕され社長を退任。懲役1年8ヶ月の実刑判決、ガイナックスも罰金刑か下された。3代目代表取締役社長に創業者の1人でもある山賀博之が就任する。
2006年には庵野秀明が取締役を退任し、2007年には退社し、庵野と共に複数のスタッフが2006年に設立していた株式会社カラーに移籍する。
2011年には『天元突破グレンラガン』や『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』の主要スタッフが退社してトリガーを設立する。
2015年には最後のオリジナル元請けTVアニメ『放課後のプレアデス』を制作する。この時点で制作中に給与の遅配が発生しており社員も退社が相次ぐ。役員の資金繰りにより1ヶ月以内に遅配は解消されたがガイナックスはこの作品を最後に制作機能、スタジオ機能を喪失する。(→ソース
)
後述するが、2015年から2017年にかけて地方に鳥取県・兵庫県・福島県・新潟県・京都府に子会社を設立した。(後に株式を売却しGAINAXとは資本関係はなくなっているものの一部を除きGAINAXの社名を引き続き使用している。福島県の会社のみ「ガイナ」に社名変更した。)
ほぼ同時にガイナックス本体はアニメ制作を行わなくなり、実質的に版権管理会社となった。しばらくは子会社含めてグッズを販売したり、カフェを経営しているだけの状態であった。
この頃はまともに版権管理がされておらず、カラーに貸金返済訴訟を起こされたり(カラーの全面勝訴)、勝手に過去作品の資料がガイナに売却されたり(最終的にカラーがアニメ特撮アーカイブ機構に移管)と杜撰な経営が行われていた。
2016年資金返済訴訟前には、借金解消を条件に経営陣の株式売却によるガイナックス自体の身売りも構想されており、具体的に調印直前まで話が進んでいたが、ガイナックスの内部統制の杜撰さから隠れ債務が直前で判明し頓挫していた話も存在する。(→ソース
)
2019年には十年以上と長期で社長を務めていた山賀博之が代表取締役社長を退任し、別の代表取締役社長が就いたが、その山賀元社長の後任の代表取締役社長が取締役時代に関連会社を設立し、その関連会社で不祥事を起こしたことが報道されたことにより、2019年末に経営陣が総退任し、KADOKAWA、キングレコード、グラウンドワークス、トリガー等から派遣された経営陣に一新した。(→ソース
)
(グラウンドワークスやトリガーはガイナックス出身者が独立し成功した会社であり古巣を救った形となっている。)
2020年現在の代表取締役社長は神村靖宏。神村は大阪大学在学中「DAICON FILM」に参加しており、NTT入社後、1991年にガイナックスに入社。総務・経理・ゲームの進行管理から異動し版権管理を担当していたが後に退社。
2010年にグラウンドワークス社を立ち上げ、2020年現在もエヴァンゲリオンの版権をカラーから委託され管理しているグラウンドワークス社の代表取締役社長でもある。ガイナックス出身で権利も明るかったことから社長に推されたという。ガイナックスの経営危機後に管理が疎かになった権利の管理把握や散逸した制作資料の収集などの課題があり取り組んでいるようである。(→ソース
)
この版権整理自体が具体的にどう進んでいるかは明かされていないが、『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』はカラー(後にトリガー)に版権を移管していることが判明しており、裏ではしっかりと整理が進められている様子。
2024年6月7日、5月29日に東京地方裁判所に会社破産の申立を行い、受理されたことが明らかにされた。ガイナックスの商標・称号に関してはカラーが取得し管理を行う。これを受けカラーは「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」とコメントしている。
2025年11月27日に破産手続き終了(清算結了)し、12月10日付けの官報にガイナックス社の法人格が12月1日に消滅したことが公告された。翌11日、カラーの公式サイト上で庵野秀明がコメントを発表した。不祥事から起こった一連の出来事や旧経営陣が起こした不義理や債務不履行等の係争の裁判の結果と先方の謝罪を和解内容とする係争結果を説明し旧経営陣の山賀と武田を名指しで非難し、経営危機後に、無償で携わった関係各社や関係役員のほか、派遣した最後のガイナックス代表取締役社長の神村を労っている。(→ソース
)
DAICON FILM
ガイナックスの母体となったのは、日本SF大会『DAICON III』のオープニングアニメーションを作るために集った映像制作グループ『DAICON FILM』である。
代表作に『愛国戦隊大日本』等が挙げられ、特に『DAICON IV』のOPアニメの完成度は高く、アマチュアアニメの一つの到達点として賞賛されている。この作品へのオマージュとして、後年GONZOによりテレビドラマ『電車男』OPアニメが作られることとなる(このアニメは後にスピンオフして『月面兎兵器ミーナ』となる)。
『DAICON FILM』の主なメンバーは以下の通りである。
- 赤井孝美……『プリンセスメーカー』原案・キャラデザイン・監督。後にグレンラガン暴言事件でガイナックス取締役辞任。
- 庵野秀明……『ナディア』『エヴァ』の監督。後に「スタジオカラー」設立(2006年)。
- 岡田斗司夫…元GAINAX初代社長。通称オタキング。後に退社(1992年)。
- 貞本義行……キャラクターデザインの仕事がメイン。なので漫画は遅い。
- 樋口真嗣……後に退社しGONZO設立に関わった(1992年)。『日本沈没』(2006年版)監督。
- 神村靖宏……総務・経理・ゲーム進行後、版権管理を前任者から引き継ぎ1997年から担当。後に版権管理会社「グラウンドワークス」を設立しガイナックスを退社。経営危機・役員総退任後の2019年にガイナックス社長を就任。
主な作品一覧
- 王立宇宙軍 オネアミスの翼
- トップをねらえ!シリーズ[1]
- ふしぎの海のナディア(グループ・タックとの共同制作)[2]
- 新世紀エヴァンゲリオン(タツノコプロとの共同制作)[3]
- 彼氏彼女の事情
- おるちゅばんエビちゅ
- フリクリ
- まほろまてぃっく
- この醜くも美しい世界
- これが私の御主人様
- 天元突破グレンラガン[4]
- FENCE OF DEFENSE (DATE No.6 PV
) - 屍姫シリーズ
- はなまる幼稚園
- パンティ&ストッキングwithガーターベルト(現在はトリガーに版権が移管されている)
- ダンタリアンの書架
- 放課後のプレアデス[5]
- めだかボックス
- ステラ女学院高等科C3部
所属、出身者など縁の深いクリエイター
ガイナックス出身者が設立した企業
- ゴンゾ
村濱章司、前田真宏、山口宏、樋口真嗣らが設立に参加し1992年に設立。 - カラー (アニメ制作会社)
庵野秀明が2006年に設立。 鶴巻和哉も参加。 - グラウンドワークス
神村靖宏が2010年に設立。ガイナックスからカラーに版権が移動した「エヴァンゲリオン」の版権管理をカラーから委託を受けている。 - トリガー (アニメ制作会社)
大塚雅彦、舛本和也、今石洋之らが2011年に設立。 - ミルパンセ
制作プロデューサーの白石直子が2013年に設立。
以下のガイナックスの社名を有する米子・福島・WEST・新潟・京都の各子会社を2014年から2016年にかけて設立したが、後に各子会社が全て株式を引き取り、ガイナックス本体からは資本的に独立している。しかしガイナックスとの資本外の提携・協業関係は続いており、GAINAX本体のイベントの告知協力をするほか、福島ガイナックス作品では制作作品に動画・仕上げ協力等で参加していた。
現在はかつて所属していたアニメーターとの縁が残っている米子、木下グループ傘下のガイナ・福島ガイナ、完全に独立した京都が活動を続けている。WEST・新潟については活動実態がない(WESTは前述の不祥事絡みもあって機能しなくなった模様)。
ガイナックスの経営陣が完全に入れ替わったこともあり、米子を除いて下記の会社は完全に無関係な会社となっている。
- 米子ガイナックス株式会社
代表取締役社長は赤井孝美。鳥取県米子市に2014年5月設立。設立経緯は、ガイナックスが米子での事業を撤退する際、ガイナックス取締役を2006年に退任して一スタッフとなっていた赤井が米子事業を引き取り活動するために設立。赤井によれば米子ガイナックス設立に際して商号使用許可を貰った以外に、ガイナックス側から出資を受けてはいないという。(→ソース
)赤井が監督したプリンセスメーカーの版権も所持しておりリメイク版のリリースも行っている。2019年以後の庵野やガイナックスの経営体制一新後のガイナックス側の声明後、商標使用許諾問題で赤井がガイナックス新経営陣に、ガイナックスの商号の返上を提案したが、ガイナックスの新経営陣側からの反応は無かったという。2025年現在も現社名で活動中。
ガイナックスシアターというミニシアター(映画館)の運営(2021年閉館)の他、ネギマンの版権管理、プリンセスメーカーのリメイクなどのゲーム企画制作、映像制作も行っている。ゼネプロαというオンラインショップも運営している。法人番号9270001006432
- 株式会社ガイナ・株式会社福島ガイナ(旧:株式会社福島ガイナックス)
代表取締役社長は浅尾芳宣。福島県田村郡三春町に2015年1月に「福島ガイナックス」として設立。本社のアニメーション制作機能のほか廃校した校舎を利用したアニメーションミュージアム「福島さくら遊学舎」も運営している。
2017年7月までに短編作品9作品(シリーズも1作品と)を制作している。2016年9月には東京都小金井市に東京スタジオの「GAINAX studio」を設立した。 法人番号は2380001024826
後に、木下グループホールディングス傘下に入り、株式会社ガイナに社名変更し、本社を東京都小金井市の東京スタジオ「GAINAX studio」としアニメ関連事業専業となった。2025年に木下グループから離れ親会社が『Creator's X』となり社名を「BENTEN film」に変更している。また博物館「福島さくら遊学舎」などの博物館・イベント事業については株式会社福島ガイナが2018年8月8日に設立され移管され稼働している。カラー側からはガイナックス倒産に備えてたためかガイナックス本体の借金返済が滞っているのに、経営資源投入し新たな制作拠点の設立となっていることやガイナックスの版権やDAICON時代の設定資料の版権の逃避先となっていたことなど名指しで批判されていた。 - 株式会社GAINAX WEST
代表取締役社長は武田康廣。兵庫県長田区久保町内にあるアニメストリートに2016年3月に設立した。2017年初頭にはグッズの販売を開始していたが、神戸に在駐していた経営幹部が地元関係者との金銭トラブルなど不祥事を起こしたためか同年中に活動実態が無くなっている。 5140001101729
- 株式会社ガイナックス新潟 9110001031636
2016年7月に新潟県新潟市に設立。公式サイトが無く代表者や活動実態は不明。新潟は山賀の出身地ではあるが関連性は不明。 - 株式会社GAINAX京都
代表取締役社長は武田康廣。2016年11月に京都府京都市左京区に設立。2017年2月には制作スタジオを設立し稼働した。2019年にはショートTVアニメ『浦島坂田船の日常』を制作した。 法人番号は3130001058658
関連動画
削除状況
| 動画 | 詳細 |
|---|---|
この醜くも美しい世界 OP
|
|
新世紀エヴァンゲリオン 第01話
|
|
天元突破グレンラガン 第01話
|
関連項目
関連外部リンク
- GAINAX NET(ガイナックス公式サイト)/
公式ツイッター
(破産結了以後は非公開化)
関連会社(元子会社)
- 米子ガイナックス株式会社(公式サイト)
/公式ツイッター
- 株式会社ガイナ/株式会社福島ガイナ(公式サイト)
/公式ツイッター
- 株式会社GAINAX WEST(公式サイト)
/公式ツイッター
- 株式会社GAINAX京都(公式サイト)
/公式ツイッター
脚注
- *1-6話『果てし無き、流れのはてに…』→小松左京「果しなき流れの果に」、2-6話『あなたの人生の物語』→テッド・チャン(同名)
- *39話『星を継ぐ者…』→ジェイムズ・P・ホーガン「星を継ぐもの」
- *TV版26話『世界の中心でアイを叫んだけもの』→ハーラン・エリスン「世界の中心で愛を叫んだけもの」、劇場版26話『まごころを、君に』→ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」の映画版邦題
- *27話『天の光は全て星』→フレドリック・ブラウン「天の光はすべて星」
- *テレビアニメ版最終話『渚にて』→ネビル・シュート「渚にて」
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