ガソリン税とは、揮発油税及び地方揮発油税という2つの国税をあわせた総称である。
概要
ガソリンに課せられる税金である、揮発油税及び地方揮発油税には本則税率と暫定税率の二者があった。法律用語によくあることだが、「暫定」とは言ってもいつまでの話か決まって無ければ実質永遠に適用される。「その気になれば10年後、20年後ということも可能」という利根川理論を、国家はガチでやってくるので恐ろしい。で、30年以上続いてきた暫定税率だけど2008年に政争のテーマになったことをきっかけに、2010年からは特例税率という名前になって今も続いている。もちろん無期限だ!
ちなみに、地方揮発油税というのは地方自治体に財源を譲与する税金で、国税として徴収してそのお金を地方に渡す趣旨の税金である。まあ実質一体なのであまり意識しなくていいものである。
トリガー条項
2010年【ガソリンが高騰した時(リッター160円)には特例税率の適用を停止する】仕組みが設けられたのだが、その後東日本大震災が起きたことにより適用停止となってしまった。2022年のウクライナ戦争後の原油高騰に伴い、このトリガー条項を再度適用すべきではないかという主張が国民民主党などからなされているが、政府は極力補助金で対応したがっていてトリガー条項の発動には否定的である。一度減税すると戻すことが政治的に難しいためと言われている。
二重課税?
このようにガソリンには多額の税金が課せられているが、これにさらに消費税が課せられるのは二重課税、tax on taxなのではないか?という論難が昔からなされている。これは感情的にはともかく、税理論的には通用しない話であるので、納得のいかない方は裁判所で自説を試してみてどうぞ。
というのは、ガソリン税の担税者は事業者であり、消費税の担税者は消費者であり、税金を課せられている主体が違う。消費者にとってのガソリン税は原価を構成する要素の一部であり、ガソリン税を含めて商品の価格である。だからその全体に消費税が課せられるのである。これは個別消費税全般に言えることであり、同じ理屈で酒税やたばこ税もそれらを含めた金額に消費税がかかる。
ガソリン税の二重課税論はこのあたりの理屈が理解できない者によって同じ間違いが繰り返し主張されているだけの話なのだが、もしも軽油の扱いについての話が出たならば、襟を正して拝聴するべきである(次節に続く)。
軽油引取税
軽油引取税とは地方税の一つで、軽油に課せられる税金なのだが、この税金の納税者は消費者であり、業者は「特別徴収義務者」としてその徴収を代行して都道府県に納付をするという仕組みである。なので、ガソリン税とは担税者が異なる。そのため、消費税は軽油引取税部分に対しては課せられていない。
- つまり、税金に税金がかかる(ように思われている)原因は課税方式の違いにあるので、「ガソリン税に消費税がかけられているのは二重課税だ!」ならただの事実誤認なのだが、「ガソリン税の徴収方式を軽油引取税と同一にすることで消費税をかけるな!」ならそれは税制についての立派な一つの主張である。
まあ、筋がどうであれ代替財源確保を伴わない減税提案はなんであれ通らないと思われるけどね…。
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