ガトー級潜水艦とは、アメリカ海軍が第二次世界大戦で開発・運用した潜水艦である。
海上自衛隊が対潜水艦能力を重視しているのはだいたいこいつのせいだと言っても良い。
概要
ガトー級潜水艦はアメリカ海軍が第二次世界大戦で主力として運用した潜水艦である。動力はディーゼルエンジンと電気モーターを搭載し、速力は水上で21ノット、水中で9ノットであった。ガトー級は「艦隊型潜水艦」と呼ばれる艦種であり、味方艦隊と行動を共にし、決戦前に偵察を行って敵艦隊の位置・速度・移動方向を報告、あるいは先制攻撃をしかけるという任務が想定されていた。
ガトー級はタンバー級潜水艦の改良型であり、1941年には6隻が建造される予定であった。が、大西洋を隔てた欧州では第二次世界大戦が勃発し、太平洋でも大日本帝国との緊張が高まっていたアメリカ政府が軍備の大増強をぶちあげた結果、ガトー級は1941年には元々の6隻に加えて2隻を追加建造、1942年には更に4隻追加建造、それでも飽き足らず、これらの12隻とは別に65隻を追加建造することが決定され、最終的には77隻が建造されることとなった。しかも、この建造計画は1944年にはきっちり完了している。
このようにアメリカ政府は自国艦隊に組み込む潜水艦の大量追加を決定したのだが、1941年末に大事件が起きる。ハワイの真珠湾が大日本帝国海軍の奇襲攻撃を受け、潜水艦を同行させるはずの太平洋艦隊が行動不能に陥ってしまったのである。このため、ガトー級潜水艦は主に太平洋において大日本帝国に対する通商破壊作戦に投入されることとなった。これ以外にも、アメリカ軍のアフリカ上陸作戦の支援などにもガトー級は投入されている。
太平洋においてガトー級潜水艦は日本の通商破壊に従事し、レーダーによって非常に広範囲に敵艦を探索できたこと、大日本帝国海軍による輸送船団の護衛や潜水艦狩りが不十分であったこと、1943年から複数の潜水艦で船団を襲う群狼作戦を導入したこと等の要因から、非常に大きな戦果をあげた。これ以外にも復活した太平洋艦隊に同行し、ミッドウェー海戦やレイテ沖海戦にも参加し、大日本帝国海軍の戦闘艦にも牙を剥いた。ガトー級には1隻で合計10万トン以上の船を沈めたフラッシャーや、23隻も沈めたシルバーサイズ、正規空母1隻、巡洋艦1隻、駆逐艦2隻を沈めたアルバコア、駆逐艦4隻を沈めたハーダーなど、非常に高い功績をあげた艦も多い。
ただしガトー級も無傷という訳ではなく、建造された77隻中20隻(アルバコア、ハーダー含む)が戦没している。その喪失理由は実に多様で、対潜哨戒機に追い回されて座礁放棄(ダーター)、輸送船鹿野丸に挑んで返り討ちに遭う(グラニオン)、回航途中で行方不明(ドラド)、伊176にやられる(コーヴィナ)、自分が放った魚雷が戻ってきて自滅(タリビー)など。このうちコーヴィナとドラドは就役から2~3ヶ月で沈められていて戦果ゼロである。
ガトー級潜水艦は現在6隻のみが記念艦として保管されている。
くろしお
第二次大戦終了後、昭和29(1954)年に発足していた海上自衛隊は対潜水艦訓練の目標として使用する潜水艦の貸与を米海軍に要望、昭和30(1955)年にガトー級「ミンゴ」SS261の貸与が決定した。海上自衛隊は「くろしお」SS501と改名して10年ほど訓練に使用した。昭和41年に保管船となり実質的に退役、昭和45(1970)年8月15日に除籍。手続き上は米国に返還されたが、そのまま日本国内のスクラップ業者に払い下げられ解体された。[1]
性能
全長 | 95 m |
全幅 | 8.3 m |
喫水 | 5.2 m |
排水量 | 水上:1549トン 水中:2463トン |
速力 | 水上:21ノット 水中:9ノット |
航続距離 | 水上:20,000 km(10ノット巡航時) 水中:48時間(2ノット) |
武装 | ・21インチ魚雷発射管10門(艦首6門、艦尾4門) ・50口径3インチ艦砲 ・エリコン20mm機関砲 ・ボフォース40mm機関砲 ・50口径重機関銃 |
なお、ボフォース40mm機関砲や50口径重機関銃は後に追加された装備である
同型艦一覧
ガトー級潜水艦は77隻と非常に多いので、スクロール状にして収めることにする。
なおこれ以外に、改良型のバラオ級潜水艦101隻が太平洋戦争に参加している。
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関連項目
脚注
- *「海上自衛隊 潜水艦建艦史」勝目 純也 2014
- *日本海軍には「iwanami(イワナミ)」なる駆逐艦は存在しなかったが、戦果に数えられている
- *本来は捕鯨母船だが海軍に輸送船として徴用されていた。この時は航行不能どまりだったが後に空襲で戦没する。しかし戦後に引き揚げられ本業に復帰した。
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