ガビーズシスター(Gabby's Sister)とは、2021年生まれの日本の競走馬。栗毛の牝馬。
概要
父*アポロキングダム、母アンジュデトワール、母父スペシャルウィークという血統。
……アポロキングダム産駒!? と彼女の血統を見て驚いた人もいるだろう。
父はアメリカ産のLemon Drop Kid産駒(つまり*レモンポップと同父)。日本で走り、通算成績は11戦2勝、重賞出走経験もない平凡な条件馬であったが、オーナーのバックアップのもと、日本では初のLemon Drop Kid後継として種牡馬入りし、障害王者アポロマーベリックを輩出した。しかし平地ではアポロビビがダートでオープンまで勝ち上がったぐらいで、2022年にオーナーのアポロサラブレッドクラブが馬主業から撤退したのに伴い種牡馬引退、現在の消息は不明になってしまっている。ガビーズシスターは種牡馬引退直前、種付け料10万円で募集された、5頭しかいない13年目の産駒。
母は中央では未勝利に終わり、地方に移籍して現役を続けたが22戦1勝で終えた。その母エンゼルカロは1999年の函館3歳Sの勝ち馬。
母父は言わずと知れた1998年クラシック世代の日本総大将。母父としては代表産駒シーザリオが3頭のGⅠ馬を輩出し大きな存在感を示しているが、それ以外にもディアドラ、クラリティスカイ、ジュンライトボルト、タガノビューティーなどを輩出している。ちなみに上述のアポロビビも母父スペシャルウィーク。
さて、父の名前も地方でならともかく中央平地の重賞クラスで見掛けるのは極めて稀なのだが、彼女の血統で最も特筆すべきは牝系である。彼女の牝系については、その馬名に示されている。
登録された馬名意味は「テスコガビーより+お姉さん。テスコガビーのファミリーなので」。
そう、1975年の二冠牝馬、「後ろからはなんにも来ない」とアナウンサーは三度叫んだ桜花賞の伝説の大差圧勝で知られる名牝テスコガビーと同じ牝系に属しているのだ。
ん?「同じ牝系」って直系子孫じゃないの?と思った人もいるかもしれないが、残念ながらテスコガビーは現役中に心臓発作を起こして急死してしまっており、その血そのものは残っていないのである。
しかし全妹のテスコエンゼルが繁殖入りし、そのテスコエンゼルを4代母に持つのがガビーズシスターなのだ。
2021年2月28日、新ひだか町のへいはた牧場(主な生産馬にレガシーワールド)で誕生。
オーナーの長島和彦は2019年から馬主となった人で、テスコガビーのオーナーであった長島忠雄の息子(勝負服の柄もほぼ同じ)。長島オーナーはどうやら子供の頃にテスコガビーの口取り式にも参加したことがあるようだ。
ちなみに元々本馬はアポロサラブレッドクラブの自己所有馬の予定だったが、1歳時の10月に馬主業撤退に伴ってサラブレッドオークションで取引にかけられたという経緯がある。母アンジュデトワールも同月のジェイエス繁殖馬セールに上場され、現在は長島オーナーの所有馬となっている。
美しさも置き去りにして
3歳(2024年)
定年目前の美浦・中野栄治厩舎に入厩。デビューは3歳になってからで、2024年1月14日、中山・ダート1200m(牝)の新馬戦だった。柴田大知を鞍上に迎えたが、中央平地実績のほぼないアポロキングダム産駒、牝系もテスコガビーのファミリーであること以外に特に言うこともないという血統もあり、単勝135.2倍の11番人気と全く注目されていなかった。しかし中団のインでレースを進め、直線残り200m過ぎから猛然と追い込み、逃げたジョーローリットは捕まえられなかったものの2着に突っ込んでみせる。
続いて連闘で同じ中山ダ1200、今度は牡馬相手の未勝利戦にレイチェル・キングを迎えて臨むと、雨で不良馬場の中、前目でレースを進めて4角でもう先頭に抜け出し、あとは悠々後続を突き放して4馬身差で圧勝。長島オーナーは所有馬の中央初勝利となった。
この勝利で果敢にキング騎手と芝のクイーンカップ(GⅢ)に挑んだが、好位で進めるもあえなく直線で置いていかれて最下位13着に撃沈。
気を取り直して3月、中山・ダート1200mの平場1勝クラスに向かうと単勝2.9倍の1番人気に支持され、前目の好位から進めると直線で狭いところをこじ開けるように突き抜け快勝。中野師に定年前の最後の勝利を贈った。
定年による中野厩舎の解散に伴い、この年開業した美浦の森一誠厩舎に転厩。移籍初戦は6月、函館・芝1200m(牝)の立待岬特別(2勝クラス)。キング騎手は短期免許の期限が終わって帰国してしまったので小林凌大騎手を迎えて芝に再挑戦したが、先行したもののあえなく直線で沈んで10着。
ダートに戻り、8月の札幌・ダート1000m戦、桑園特別(2勝クラス)では武豊を迎えた。2.4倍の1番人気に支持され、レースは道中蓋をされたが直線残り200m過ぎで外に出すと豪脚一閃、前を一瞬で抜き去って2馬身半差で圧勝。
続いて9月、おなじみ中山・ダート1200mの外房ステークス(3勝クラス)ではクリストフ・ルメールを迎え、ここも2.9倍の1番人気。ここは外目の好位で進め、直線残り200mでルメールがゴーサインを出すと一瞬で加速、あとは突き抜けて3馬身差で楽勝。あっさりオープン入りを決めた。
というわけで年内ラストは得意の中山ダ1200にして中央唯一のダート1200m重賞・カペラステークス(GⅢ)。ここでは既に重賞2勝、JBCスプリント2着の同期チカッパという強敵が乗りこんできたが、向こうが58kgを背負わされたこともあり、吉田隼人を迎えたガビーズシスターは3.3倍の1番人気に支持される。
レースはチェイスザドリームとテイエムトッキュウが競り合って超ハイペースで飛ばす流れとなり、ガビーズシスターは中団で追走。直線で外から鋭く脚を伸ばし、前で粘るサンライズアムールをあっさりと捕まえ、後ろから猛追してくるクロジシジョーやジレトールをクビ差抑えきってゴール板へ飛び込んだ。
*アポロキングダム産駒はアポロマーベリックの2014年中山GJ以来10年ぶりの重賞制覇で、平地重賞初勝利。森一誠師は開業初年度で重賞初制覇を達成。この年の福島牝馬Sでの落馬事故から復帰したばかりの吉田隼人騎手はシングザットソングの2023年フィリーズレビュー以来久々の重賞勝利となった。
そして3歳牝馬の中央古馬ダート重賞制覇は、なんとゴールドティアラの1999年シリウスS以来25年ぶり、グレード制以降では史上5頭目である。
4歳(2025年)
古馬初戦はカペラS勝利で優先出走権を得たリヤドダートスプリント(G2)。サウジアラビア遠征ということで、鞍上は2戦ぶりにクリストフ・ルメールが務めることになった。牝馬とはいえ日本の短距離重賞を制した彼女は3番人気に推されたが、流石に前年のBCスプリント覇者Straight No Chaserに出てこられては相手が悪い。手も足も出ず独走を許したが、中団から脚を伸ばし、地元の伏兵Muqtahemに詰め寄ったものの、あと半馬身足らず3着。それでも日本馬最先着は確保し、ドバイには向かわず帰国の途についた。
そのまま国内ダートスプリント戦線に舵を切り、4月16日の東京スプリント(JpnⅢ)で交流重賞に初参戦。鞍上は引き続きルメール。相手関係は地方転出してフジノウェーブ記念を圧勝したイグザルトや短距離交流重賞の常連サンライズホークといった顔ぶれとなり、大外枠・紅一点ながら1.8倍の断然人気に支持される。しかしレースは枠なりに中団の外で進めたものの、直線で伸びず5着。
血統表
*アポロキングダム 2003 栗毛 |
Lemon Drop Kid 1996 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
Charming Lassie | Seattle Slew | ||
Lassie Dear | |||
Bella Gatto 1996 栗毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
Winter Sparkle | Northjet | ||
Turn to Talent | |||
アンジュデトワール 2012 鹿毛 FNo.1-o |
スペシャルウィーク 1995 黒鹿毛 |
*サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
キャンペンガール | マルゼンスキー | ||
レディーシラオキ | |||
エンゼルカロ 1997 鹿毛 |
*スターオブコジーン | Cozzene | |
Star Gem | |||
ヤマフノーザリー | *ノーザリー | ||
テスコエンゼル |
クロス:Northern Dancer 5×5(6.25%)
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