「ガンパレード・マーチ」とは、2000年9月28日にアルファシステム・SCEより発売されたゲーム「高機動幻想ガンパレード・マーチ」、およびそれを原作として製作された「ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜」など、複数のメディアで展開されている作品である。
あらすじ
1945年。人類は突如として出現した人類の天敵「幻獣」との戦いに突入、第二次世界大戦は休戦となった。
それから50年、戦争はまだ続いている。
仁川防衛戦の失敗により全ユーラシア大陸が陥落、人類の生存圏は南アフリカ、南北アメリカの約3分の2、そして日本のみ(沖縄県は全県民が避難完了)となった。
そして、1998年、八代大会戦で陸上自衛軍42万のほぼ全滅という壊滅的被害を受けた日本政府は、非常かつ非情の決断を下す。
熊本県の要塞化と14~17歳くらいの少年少女の徴兵。
銃や戦車など触れた事も無いような子供を使い捨てにして、プロの兵士が育成されるまでの時間稼ぎをする。それが日本政府の決断であった。
1999年3月。主人公の少年速水厚志が熊本の戦車学校に入学する所からゲームは始まる。
そして、戦車よりも投影面積が高く、装甲が薄く、戦車砲が撃てず、壊れやすい欠陥兵器、「人型戦車・士魂号」と、個性豊かな22人の仲間達を要する5121小隊で、学園生活を送りながら戦争をする、「学兵」としての奇妙な日常が始まる。
果たして、速水厚志は、そして5121小隊は、5月に訪れる「自然休戦期」まで生き残ることが出来るのだろうか。
概要
速水厚志を操作し、3月4日からあらすじの通り5月の「自然休戦期」までを生き延びるのが大まかな目的である。本作の特徴の一つは「その間をどう過ごすか」の選択肢が多彩なことにあり、
- 兵士として戦果を挙げ人類の勝利に貢献する(戦果の挙げ方も複数ある)
- クラスメイトとの恋愛を満喫する(二股はやめとけ)
- 戦争を気にせず学生生活を謳歌する
- クラスの気に食わないアイツを××する
- クラスメイトの靴下を集める
- etcetc
など、様々なプレイスタイルが許容されている。プレイヤーの他に21名のNPCが存在し、彼らはAIによりプレイヤーが見ていない場所でも自律的に判断、行動を行っている。プレイヤーが会話したり行動を起こすことで彼ら彼女らの印象、感情が変動し、お互いの行動が少しずつ変化していく。
膨大な裏設定があるが、それをあなたが見ようが見まいが、それが世界の選択である。
作中にもあるように、熊本特有の「高校学閥」を巧みに利用して兵器開発や軍編成に利用するなど、熊本県民以外は絶句してしまうような設定がある。
何故舞台が熊本なのかと言うと、開発会社の地元で取材の手間が省けるからだったという。実際、ゲームで描かれる風景の元ネタは開発元のアルファシステム近辺に集中している。食堂「味のれん」は実在するし、名物「アップルパイ」もゲームに登場する前から売っていた。一時は今で言う「聖地」と化し、全国から巡礼者が絶えなかった。
このゲームは開発が難航した影響で宣伝費が0であり、当初は全くの無名ソフトであったが、口コミ、電撃Playstation誌での特集などで知名度が上がり、発売から8年が経過しようとしている現在でも、PS1時代のゲームであるにも関わらず、未だに定価で売れ続けている、驚異的なゲームである。
ただ、特定条件で致命的なバグ(フリーズが発生する等)が発生する等の問題も多く、諸問題により未完成のデータ等が存在する事もあって、ファンの間ではリメイク希望の声が高い。
しかし、リメイク嘆願の署名などが行われた事に反して発売元のSCEはリメイクの意志が無い事を公式に発表している為、リメイクの可能性は低いと言わざるをえない。
シナリオは当初、万が一システムが完成しなかった場合を考慮して全部で4つ存在し、システムが完成したため
その内の1~3のシナリオがボツになり(その痕跡は未使用のイベントCGとともに没データとしてプログラム内に残っている)
その後チュートリアルシナリオとして5が加えられた為、最終的には4と5の二つにおまけシナリオを加えた三種類のシナリオとなった。
プレイヤーが最初にプレイすることになるのが通称ファーストマーチと呼ばれるチュートリアルシナリオの5であり
一週目をクリアして初めて本編とも言えるシナリオ4をプレイする事が出来る。
具体的には選べる主人公が増え、バグで一週目では聴けなかったキャラクターボイスが聴こえるようになる。
逸話として期日が迫るなか親会社に黙ってあるプログラマーが操作キャラクターを自由に選べる裏技をゲーム内に仕込んでいたことが発売後に判明した。
また、ゲーム発売後に公式掲示板で後にGPM23と呼ばれるもう一つのゲームが賛否はあったものの展開されていた事は有名。
ニコニコ動画内では「スカウト無双」などのプレイ実況中継や、アイマス(主にNovelsm@sterやim@s架空戦記シリーズと呼ばれる物にガンパレとのコラボが見掛けられる)などの改変動画など、根強い人気がある。
2003年放送のアニメ版『新たなる行軍歌』については、ストーリーの展開や設定の変更などから、当時の原作派vsアニメ派の抗争などがひどいものであった。2005~2006年頃に公開された続編のガンパレード・オーケストラ(GPO)のアニメ版やゲーム版の評価が残念なことになったので、今は収束している模様であるが、アニメの後半は既にロボットアニメではなくなっているとだけ付け加えておく。ちなみに『新たなる行軍歌』の監督である桜美かつしは『真月譚月姫』でも同様の事態(原作派とアニメ派の極端な賛否両論)を引き起こしている人物である。
後続がコケた影響で一時的に巻き起こったブームは去ったものの、2007年以降、榊涼介氏による完全オリジナルストーリーの小説版「山口防衛戦」「九州奪還」「逆襲の刻(とき)」「2K(にせん)」が刊行され、古くからのファンを沸かせた。これは榊氏によるそれまでの小説版ガンパレに準拠したストーリーとなっており、2015年9月に完結。そちらまで全て併せると全44巻となる大作となっている(小説版GPO全3巻除く)。これらの作品群は通称「榊ガンパレ」と呼ばれ、概ねファン、元ファンを含め、高い評価を受けている。
これから読む人は、時系列的に最初となる「episode one」からの購読がお勧めである(関連商品参照)。原作ゲームを知らなくても架空戦記ストーリーとして楽しむことができる。
主な登場兵器
変わり者が多く独自の気風を持つ、と設定されている熊本が舞台なので、登場する兵器もヘンテコなものが多い、との事。
- 士魂号M型
スピリットオブサムライ。通称、人型戦車。人工筋肉とタンパク燃料で稼動する身長9mの巨大な侍。戦車砲を撃てば脱臼し、装甲は戦車より薄いと言う欠陥兵器で、絶望的な稼働率(故障率の高さ)を誇るが、幅跳びで敵や遮蔽物を飛び越え、すり足で前後左右に射線を外し、状況に応じて様々な武器を使い分け、弾切れしたらパンチとキックという風に数々の「戦術」を駆使することで、踊るように死を撒き散らす最強の兵器となるシロモノ。
本作に登場する装備はジャイアントアサルト、92mmライフル、ジャイアントバズーカ、超硬度大太刀、展開式増加装甲、NEPの6つ。装甲をいくつかのパターンに換装することが出来る。
5121では2機を運用しており、一番機パイロットが壬生屋未央、二番機パイロットを滝川陽平が勤めるのが通常の初期配置。 - 士魂号複座型(騎魂号)
スピリットオブナイト。本作主役機の一で、二人乗りの士魂号。大型の背部ユニットが増設されており、ミサイル装備の突撃仕様と、ジャミング機能を搭載した電子戦仕様に換装可能。反面、単座のように装甲の換装は出来ず、多少反応速度も遅い(ゲーム中では1ターンの最大ステップ数が単座型に比べ多少低くなっている)。
突撃仕様が速水厚志、芝村舞両名の愛機として伝説的戦果を上げた。単座型と同じ装備が使用できる他、突撃仕様のミサイルは周囲全ての敵を攻撃するサイフラッシュみたいな高性能武器。
5121小隊の三番機で、初期配置のパイロットは速水厚志、芝村舞の2名。 - ウォードレス
本作世界観において兵士が着用する戦闘服。人工筋肉の鎧で、衝撃から身を守り、身体能力を向上させる。戦車兵用から重歩兵用まで様々なタイプが存在するが、あまり標準的な体系から逸脱した者は着用できない(幼児、肥満体系等)
男性用の互尊、女性用の久遠、重歩兵用の可憐、最新型の武尊の4種が登場し、同機種の中でも様々なバリエーションが存在する。また、人型戦車以上に様々な武装を使い分ける事が出来る事もあり、判り易い縛りプレイ兵科として熱烈な愛好家が存在する。本作ではウォードレスで戦う歩兵をスカウト(戦車随伴歩兵)と呼称し、5121小隊では若宮康光、来須銀河の2名が初期配置。ダメージを食らって体力が無くなると即死する為、謀殺に使われたりもする、らしい。
人型戦車が破壊された場合のパイロットが脱出した後も、ウォードレスで戦闘できる。(普通は撤退するべきだが。) - 士翼号
ウイングオブサムライ。最新型の士魂号という触れ込みだが、実は別世界の宇宙戦争で使われていたロボット。装備は士魂号単座型と共通しているが、他の士魂号とは比べ物にならない移動距離を誇る。本来、ちょびっと位置を動かす「すり足」だけで戦場を全方位に駆け回れるくらい。ホバー移動。後の「絢爛舞踏祭」にも出演している…と言うかそっちの方が本家。 - 指揮車
戦闘指揮を執るための車両。25mm機関砲等の装備はついているが、戦闘には向かない。5121小隊では指揮官とオペレータが乗り込み、運転手は衛生官、砲手は事務官が兼務する。
初期の搭乗員配置は善行忠孝(司令)、瀬戸口隆之(オペレーター)、東原ののみ(オペレーター)、石津萌(衛生官/運転手)、加藤祭(事務官/砲手) - 補給車
戦闘用のユニットではなく、戦場の端っこで待機している補給用の車両(操作不能)。5121小隊の整備員が乗り込んでおり、補給車まで移動すると武装の交換、弾薬の補給をしてくれる。場合によっては予備の士魂号が積み込まれているケースもある。
5121小隊の戦力はここまで。以下のユニットは友軍NPCがオート操作する為、自軍では操作できない。
- 士魂号L型
「普通の戦車」である士魂号。装輪式である点を除けば、旋回砲塔を持つ実に普通の戦車であるが、高価であることもあり数も揃わず、熊本ではあまり活躍できなかった。 - モコス
超重装甲だが移動速度が鈍重で、時速30kmしか出ないホバー戦車。大概戦場では置いてけぼりになるが、いざ前線に立てば奮戦する。その戦車としては独特の性質から、熊本戦経験者と本作ファンからは妙な人気を持つ。熊本弁で頑固者の意味。邪神モッコスとは直接の関係はない。 - きたかぜ
戦闘ヘリ。移動速度や装甲の薄さが仇となり、突出して撃破されてしまうことが多い。幻獣に寄生されたきたかぜゾンビと言う機体も登場し、どちらかと言えばこちらの方が脅威になる。
主な幻獣
第二次世界大戦中に突然現れて、以後ずっと人類と戦争している「人類の天敵」。怪獣みたいなものだが、基本的に口が無い、目が赤い、のような特徴がある。
最大で戦場に20体しか出てこない為、幻獣側の戦力が大きくなってくると、強い幻獣ばかりが出てくる。(ミノタウロスとスキュラだけ、とか)
なお、本作に登場した幻獣は全て、小型か中型の幻獣である。
- ゴブリン、ゴブリンリーダー、ヒトウバン
小型幻獣。歩兵に相当する。基本的に射程、移動速度、攻撃力全てに劣る為、人型戦車を要する5121小隊には脅威とはいいがたい。幻獣の戦力が強大化してくるにつれ、姿を消す。 - ナーガ、キメラ
長い胴体に多脚で地上を歩き、レーザーで攻撃してくる幻獣。装甲は比較的薄い。ナーガは中射程で射角が広いレーザー、キメラは長射程で射角が狭いのが特徴。 - きたかぜゾンビ
友軍の戦闘ヘリ「きたかぜ」に寄生してのっとった幻獣。飛行可能であり、きたかぜ同様高い移動力で近づいて実弾攻撃をしてくるため意外な強敵。装甲が薄いのが弱点。 - ゴルゴーン
生体ミサイルで遠距離攻撃、突進をしてくる四速歩行の幻獣。ミサイルの射程が長く装甲もそこそこある。 - ミノタウロス
幻獣軍における人型戦車。装甲が厚く、白兵戦に強いほか、遠距離にも寄生幻獣「バカ」を発射して攻撃してくる強敵。二足歩行。通称ミノ助。 - スキュラ
空中からレーザー、爆撃を仕掛けてくる幻獣で、浮遊要塞として人類側から恐れられる強力な幻獣。装甲も強固。
その他用語、バグや裏技
- 5121小隊
正式名称は5121独立駆逐戦車小隊。また5121とは『学兵第5連隊第1大隊2中隊旗下第1小隊』を意味する。主人公部隊であり、プレイヤーはこの部隊に所属する一人となってゲームを進めていく。
なお、故あって、プレハブ二階建ての校舎とテントが本拠地。腕がいい奴を集めたおかげで、どいつもこいつもはみ出し者か変わり者ばっかり。同じくプレハブの隊長室には扇風機があるというすばらしくつつましい隊長特権がある。
初期配置の隊長は善行忠孝。人型戦車を運用する為、部隊の半分以上を整備員が占める。人型戦車3両、戦車随伴歩兵2名、指揮車が基本編成。部隊章がぬこ。
出撃場所を隊長が自由に選ぶ事が出来る権利を特例で与えられている為、昨日熊本市で戦っていたら今日は阿蘇、とか言うことが良く起こる。 - 学兵
大人の軍隊であった「自衛軍」が壊滅してしまった為、大人の軍隊が育成できるまで子供で埋め合わせると言う非情な制度により実現した兵隊。日本国全土から徴兵された14~17歳の少年少女(例外有り)で、その殆どは鉄砲も戦車も見たことも無いド素人の子供にちょっと訓練した程度。一応毎日スズメの涙程度の給料が出る。平常時は学校にも通う。 - 絢爛舞踏章
幻獣を300匹殺した者に与えられる勲章。ゲーム開始時には世界でまだ4人しか受章者がいない。これを受章すると「踊るように死を与える」とか「人であることをやめた存在」とか「人類の守護者」だとかいろいろ言われる。これの入手がエンディングの条件に関わる。 - Hな雰囲気
専用ページ参照 - 22人使用コマンド
本作は製品版では速水厚志、クリア後に芝村舞、来須銀河、田辺真紀、中村光弘の4人が主人公として使用可能になる(他、特典セーブデータで、若宮康光を操作可能なものがある)が、本来は小隊全員22人を操作可能にする予定だった模様で、隠しコマンドを入力する事で全キャラクターを操作可能になる。特定のキャラ専用イベントなども存在しているが、正規のゲームではない為フリーズなども多い。動作対象外のサポート外となる。このために発売当時、隠しコマンドの伝達はこっそりと行われた。 - 数々のフリーズバグ
基本的に、「1週目で小隊メンバーが全員揃っていない時」「戦闘部署に配置されていない時」に特定イベントが発生してしまうとフリーズする事が多数ある。殆どのバグは、バグの発生条件を満たした時点では異常が起きず、翌日以降に発生する為、一日終了時にセーブを行う本作では、セーブデータ1個だと取り返しが付かない事態になる事も多数ある。「22人プレイ」(動作対象外)を使用していなければ、発売元のSCEにメモカを送ると、データ復旧サポートをしてくれる。
なお、「戦闘中に戦闘デモを見たらフリーズすることがある」(戦闘ターンが長期化すると発生率が上がる)と言ったひどいバグもある。このため、本作熟練者の多くは戦闘デモOFFでプレイしている事が多い。 - 無限移動
戦闘コマンドの一つで、移動と射撃の両方が行える「移動射撃」を使う際に可能なバグ技。移動が完了し、射撃を行う際、×ボタンで行動をキャンセルする(「射撃中止」のコマンドでキャンセルすると不可能)と、もう一度移動可能になってしまうバグ。移動>キャンセル>移動>キャンセル…と使用すると戦場の端から端まで瞬時に移動可能。あまりにも有名だったのか、TRPG版にも登場している。 - レーザーライフル全力射撃
「全力射撃」は残弾がなくなるまで射撃するコマンドだが、弾数が1発のレーザーライフルで全力射撃すると、範囲内の敵全てを殺し終わるまでずっと攻撃が続行されるバグ技。
関連動画
関連立体
関連商品
※2010年9月22日よりゲームアーカイブスでの配信が開始されている。
(不具合がそのまま残されていることから、ソフトに対し基本的に手は加えられていないように思われる)
関連コミュニティ
関連項目
- ゲームのタイトル一覧
- ガンパレード・マーチ 〜新たなる行軍歌〜
- アルファシステム
- ガンパレード・オーケストラ
- 絢爛舞踏祭
- 式神の城
- GunParadeM@ster
- ニコパレードマーチ
- 人類は組織的抵抗をあきらめました -スカウト・ポルカをベースにさらに高難易度に改造したセーブデータによるプレイ。
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