キハ183系とは、北海道専用系列の特急型気動車である。
九州向けのジョイフルトレインとして、1編成だけ製造された1000番台についてもこの項で扱う。
概要
キハ80系82形の老朽化に伴い、更なる高速化と耐寒性の強化を目的に開発・投入された車両で、1979年に先行試作車900番代を12両製造し、1981年から1983年にかけて89両が量産された。
国鉄民営化を目前に控えた1986年に準新形式として500/1500番代(通称N183)を36両増備、1988年から1989にかけて550/1550番代(通称NN183)が28両増備された。これら一般車の他にジョイフルトレイン3編成(九州向けを除く)と二階建てグリーン車4両が製造されている。
新造されたのは以上だが、多種多様な改造が行われたために改番を伴わないものも含め仕様区分が非常に複雑なものとなっている。
本系列は元々北海道向け区分ではあるものの、1988年にJR九州にもこのキハ183系が投入され1000番代を名乗っている。この1000番代は500番台をベースとしている為キハ183系を名乗っているが、1編成分4両しか製造されていない希少車両でもある。
パノラマエクスプレスアルプス(現富士急行フジサン特急)や後に登場するシルフィード(現NO.DO.KA)に似た展望席を備え、加えて251系と並んで子供室が設置されている点も珍しい。
なお電車との併結実績もある。
2018年(平成30年)3月17日のダイヤ改正で北海道旅客鉄道(JR北海道)の特急「北斗」の運転を終了した。
また、旭山動物園号は2018年(平成30年)3月25日に11年間(国鉄新造時から起算して37年間)運行して惜しまれつつ引退した。
同年3月31日に旭川駅7番線にて内覧会が行われる。(参加費は無料ですが、入場券【大人170円小学生80円幼児無料】をご購入の上ホームへ)終了しました
エンジン関係
主に搭載されるエンジンは、中間車に30リッターV型12気筒180度バンクのDML30H系、先頭車等の発電セットを装備する車両には15リッター水平6気筒のDMF15H系がそれぞれ発電用と走行用に1機づつの搭載となっている。
しかし、ジョイフルトレインではDMF13HZCを2機搭載、キハ182形0番代のエンジン換装車200番代ではN-DMF18HZを1機搭載、といった具合に民営化以降は6気筒エンジンが搭載されている。
DML30H系では、北海道の酷寒仕様化とキハ181系での課題となった熱対策(500馬力から440馬力へと主力抑制、ラジエータの強制空冷化やシリンダヘッドの各気筒独立化、変速機をキハ181系の2段(自動車でいうロックアップ付1段ギヤボックスのトルクコンバータ)から3段(1速からロックアップ出来る2段ギヤボックスのトルコン式セミAT)に変更する等)が加えられている。
アツイDML30H系であるが、予燃焼室式で440馬力だった900/0番代のDML30HSIから、N183のDML30HSJでは直噴化と給排気系レイアウトの改善で550馬力へ、さらにNN183ではインタークーラ装備で660馬力へとなった。この最終進化型であるDML30HZは気動車用のエンジン単体として最強を誇っていたが、2013年に出火事故が発生しすべてDMF13系へ換装され消滅した。
発電セット付の形式に搭載のDMF15HSAでは、1985年に当初の220馬力から250馬力へとチューニングされ、N183からは250馬力のDMF13HSに切り替わり、NN183ではDML30H系同様にインタークーラを装備し330馬力のDMF13HZとした。
※ エンジン出力はいずれも常用定格出力であり、最大出力ではない。
ユニークな形式たち
国鉄初の北海道専用特急気動車という事で、外装フォルムや車内の間取りにも特徴的な形式が多数有り、その改造車もまた豊富である。
- キハ183形900番代 / 0番代
特急気動車としてはキハ81形以来となる非貫通型の先頭車で、781系同様の雪対策でスラントノーズとなった。
客室とデッキの間に乗務員室が有り、モノクラス編成での車掌室や客室乗務員控室として活用され、試作車900番代,量産車0番代,旧とかち用へ車掌室に改装された17~20号(のち217~220号),そして一見同じように見える車販準備室改装車だが特急とかち用207~210号とオホーツク用211~215号でそれぞれ微妙にディテールが異なっている。1995年に3号が座席の半数を撤去しカーペットカーとなり、民営化後ほぼ無改装だった16号が2008年8月末までオホーツクの遠軽側先頭車として活躍、1997年にトップナンバーがノースレインボーエクスプレスのキハ183-5201を代走、2001年に900番代が一斉廃車となるも直後902号が苗穂の片隅で789系の試験塗装をし、同年からキハ183形とキハ182形の1,2号による国鉄特急色のリバイバル編成が2010年まで活躍する等、結構ネタの多い形式である。 - キハ184形
長大編成のサービス電源供給の為に発電セットを持った中間車。先頭車が非貫通である事や電源付き食堂車が無く、電源を増結出来ない為この様な形式が生まれた。
長大編成運用の減少により、1985年に他形式へ改造されている。特に試作車901号はトイレ付きで、グリーン車キロ184-901へ改造された。その際降ろされた発電用エンジンがキハ180形の先頭車化改造車キハ181-101へ転用された。11両あった量産車0番代は先頭車キハ183形100番代(通称ボウズ)に4両が改造され、先頭車にならなかったものはN183系登場以降キハ183形500番代とペアを組んで主に特急おおぞら・とかちの札幌側2両(自由席車)のアクセントとなっていたが、2008年8月末の大量廃車後の現在キハ183-104がその名残を留めるのみである。
ちなみに、1990年1月にキハ84形フラノエクスプレスの増結用としてキハ184-11が改装され、同年中に復元されたが1994年2月22日の「特急おおぞら脱線事故」でキハ183-502,キハ182-33と共に廃車となっている。 - キロ182形
その名の通りグリーン車。しかし、食堂車が廃止された対応で、ビュッフェ車の様な厨房とカウンターが有り、座席が少ない(試作車で40席、量産車では32席、さらに3列化改装後では24席)。この特徴は増備車500番代やキハ281系のキロ280形・キハ283系のキロ283形(のちキロ282に改番)でも引き継がれた。
500番代ではハイデッカー構造となり、現在では8両製造された内の5両が特急北斗に専属運用されている。
平屋の0番代は、オホーツク用にグリーン席を1列切り詰め喫煙室とし厨房を撤去し捻出した空間に普通座席16席を設置したキロハ182形への改造が1994年に5両行われた他、おおぞらの全キハ283系スーパーおおぞら化による車両整理で原型車は現在キロ182-9のみが現存しオホーツクでキロハの代車や振り子特急の代走列車等に運用され、キロ9の愛称で人気が有る。 - キサロハ182形 / キサハ182形
気動車としては本系列のみとなるダブルデッカー車。
2階客室に目が行きがちだが、1階部分が旧スーパーとかち用550番代では2人掛け普通個室、クリスタルエクスプレスでは4人掛けグリーン個室、ノースレインボーエクスプレスではラウンジだったりする点も特徴的。
クリスタルエクスプレスのキサロハ182-5101とノースレインボーエクスプレスのキサハ182-5201が現役である。
他にも、御座敷列車に改造された6000番代、キハ400/480形急行利尻にスハネフ14形を連結する為に出力補充用として改装されたキハ182-36~38や、先頭車並みの回送用簡易運転台を設置したキハ182-106~108、特急サロベツ・利尻用リニューアル、キハ281系開発時の振り子試験車(車番不明)…と色々有るのだが、切が無いのでこの辺で止めておこう。←苗穂工場「私を甘く見ない方がいい」
現状
北海道では、後継車両キハ281系・キハ283系・キハ261系への置き換えも進んでいるが、定期便の他に臨時列車や代走等で依然現役であった。DML30系エンジンの轟きと厳ついフォルム、5編成のジョイフルトレイン(御座敷列車と旭山動物園号含む)、そして先述した無数の改造車による豊富なバリエーションが楽しめたが、キハ261系への置き換えが完了し2023年に運用を終了した。一部は海外へ譲渡されている。
なお、2024年8月にはノースレインボーエクスプレスの解体中に火災が発生した。
九州では運用列車が「オランダ村特急(赤白青)→ゆふいんの森II世(緑)→シーボルト(赤白青)→ゆふDX(末期色・真っ赤色)」と長崎・大分の2つの場所を華麗に変身して行き来しているが、2011年3月12日の改正で「ゆふDX」が廃止され、定期列車としては初めて豊肥本線へと活躍の場を移して「あそぼーい!」へとまた変身している。あなたはどれだけ変身するんですか・・・
車両数(2016年現在)
関連動画
関連項目
- 日本国有鉄道
- JR北海道
- JR九州
- おおぞら / おおとり / 北海 / 北斗 / オホーツク(列車)/ 大雪(列車)/ とかち / スーパーとかち / サロベツ / 利尻
- シーボルト / ゆふいんの森 / オランダ村特急 / ゆふ / あそぼーい!
- 鉄道車両一覧
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- 気動車
- キハ80系
- 魔改造
- ジョイフルトレイン
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