『キャシアン・アンドー』(Andor)とは、「スター・ウォーズ」サーガのドラマ作品である。
概要
映画『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』より前の銀河を舞台に、映画『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場した反乱同盟軍の情報将校キャシアン・アンドーを主人公とし、『ローグ・ワン』に至るまでの彼の過去と銀河帝国に対する反乱運動の勃興を描くドラマ作品。比較的大人むけの、シニカルでハードなSFスリラーとなっている。
企画・制作には『ローグ・ワン』脚本のトニー・ギルロイが就き、製作総指揮にはザンネ・ウォーレンベルク、ギルロイ、ルーカス・フィルム社長キャスリーン・ケネディ、主演ディエゴ・ルナ、トビー・ヘインズ、『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』製作のミシェル・レイワン。
2022年9月21日より、『新たなる希望』の5年前を描くシーズン1全12話(毎週水曜日)がDisney+より配信された。さらに2025年4月23日からは『新たなる希望』の4年前から直前まで、3話1年ずつ描くシーズン2が全12話(3話ずつ毎週水曜日)でDisney+より配信。
ストーリー(シーズン1)
銀河帝国の成立から14年。若きキャシアン・アンドーは、工業惑星フェリックスの労務者として老いた養母とともに暮らしていた。だがある夜、彼は統治企業プリ=モーの保安要員に絡まれ、運悪く殺してしまう。やむなく逃亡費用を工面するため盗品バイヤーにつなぎをつけるが、彼が出会ったのは自分の事情を知る不審な男ルーセン・レイエルだった。キャシアンは彼とともにフェリックスから脱出を遂げる。
ルーセンの目的は、才覚ある人間を帝国への反乱に引き込むこと。帝国軍から貴重な軍需部品を盗み出した経歴を持つキャシアンは、まさにうってつけの男だ。帝国を莫迦にしつつも反乱には興味のないキャシアンだったが、高い報酬に惹かれて彼に雇われ、ある作戦に加わることとなる。その作戦とは、惑星アルダーニの基地に保管されている帝国軍の莫大な資金を、たった7人で奪う企みだった。
影から帝国への破壊工作の糸を引くルーセン。ひそかに反乱活動を支援する元老院議員モン・モスマ。銀河に跨る反乱ネットワークの存在を察しはじめる帝国保安局。そして次第に帝国への反感を募らせるフェリックスの住民たち。誰もが善悪定かならぬ立場に身を置き、やがて人々の思惑は、追われる身のキャシアンを中心に複雑に絡み合ってゆく。
設定
フェリックス
モーラーナ・セクター(宙域)に位置する、同じ名前のモーラーナ星系にある惑星。荒野が広がり、廃用宇宙船のスクラップ業が主な産業となっている。都市は低層で無秩序、清潔さやきらびやかさとは無縁の雑然とした街並みで、中心街であるリックス通りの始点に聳える、鉄床を鳴らす時鐘楼がランドマーク。
星系は銀河帝国の直接統治下にはなく、帝国傘下の企業体プリオックス=モーラーナ(プリ=モー)が管理統治し、同企業体による独自の行政・治安維持機構が存在している。住民は極端に貧しいわけではなく、さほど帝国の圧迫を肌身に感じてもいないが、プリ=モーに対して好意的とはいいがたい。彼らは住民独自の自治組織を形成しており、騒乱時には相互に警報を送り合うなど、結束と仲間意識が強い。
反乱運動
銀河帝国の圧政に対する抵抗運動。しかしその内実は、分離主義者の残党、新共和主義者、セクター主義者から無政府主義者まで、あらゆる主義主張に基づいた多数の過激な小規模集団の総称でしかない。単に帝国への反抗という表出だけが一致するにすぎず、糾合どころか共闘することさえ難しい。
彼らの活動はせいぜい帝国の船舶や施設の襲撃、武器や装備の強奪といった程度で、組織としても戦力としても、帝国軍にまともに対抗できる域には達していない。帝国元老院の政治家にはモン・モスマやベイル・オーガナなど、ひそかに反乱運動に支持と共感を寄せる者もいるが、議員の多くは体制に迎合的で、銀河の社会一般もいまだ同様である。
登場人物
主人公
- キャシアン・アンドー Cassian Andor - 演:ディエゴ・ルナ、日本語吹替:加瀬康之
- 人間・男性。フェリックスの住民。未開の惑星ケナーリの出身で、当時の名前は“キャサ”。
幼い頃にマーヴァに拾われた身で、彼女を母として敬愛している。潜入や工作に天性の才を持つ。皮肉っぽいリアリストで、帝国を軽蔑しながらも反乱の大義には共感していない。ハンサムな女たらしで友人に借金を繰り返す放蕩者ではあるが、友情には厚く、どこか人好きのするところがある。
フェリックスの人々
- マーヴァ・アンドー Maarva Andor - 演:フィオナ・ショウ、日本語吹替:一柳みる
- 人間・女性。フェリックスの住民。キャシアンの老養母で、夫クレムとは死別。
かつては廃品回収業者であり、墜落船で幼い頃のキャシアンを拾い養子として育てた。地元の婦人会の会長も務め、名士として慕われている。今は穏やかな老後を送るが、本質は意志の強い女傑。 - B2EMO Bee - 声:デイヴ・チャップマン、日本語吹替:長谷川敦央
- サルベージ補助ドロイド。マーヴァの所有物。
マーヴァがキャシアンを拾った頃から仕える四角いドロイドで、バッテリーが消耗し、発話機能などにもガタが来た老朽機。マーヴァとキャシアンに忠実で、どこか人間的な感情すら見せる。 - ビックス・カリーン Bix Careen - 演:アドリア・アルホナ、日本語吹替:米田えん
- 人間・女性。恋人ティムとともにフェリックスで廃品ヤードを営む。
部品バイヤーとしてのルーセンと連絡がとれる人物。友人で元彼のキャシアンの頼みでルーセンに渡りをつけた結果、続くフェリックスでの騒乱でたいへんな苦難に見舞われることとなる。 - ブラッソ Brasso - 演:ジョプリン・シブテイン、日本語吹替:広田みのる
- 人間・男性。フェリックスで働く労務者。
キャシアンの親友で、彼の口裏合わせに協力してくれる。その後もキャシアンの脱出をさりげなく助け、残されたマーヴァや友人たちを見守り手を尽くす、誠実で頼りがいある大男(ビッグ・マン)。
反乱分子
- ルーセン・レイエル Luthen Rael - 演:ステラン・スカルスガルド、日本語吹替:菅生隆之
- 人間・男性。反乱活動の黒幕となる老スパイマスター。表向きはコルサントの骨董商。
多くの反乱分子とつながりを持ち、武器や資金を供給して騒乱を起こす。反乱の拡大のためには帝国の抑圧の強化や無辜の市民の犠牲すらも歓迎する、昏い覚悟を持つ人物。 - クレヤ Kleya Marki - 演:エリザベス・デュロー、日本語吹替:佐古真弓
- 人間・女性。ルーセンの骨董店の店員。
表裏双方でルーセンをサポートし、銀河の各所に配したスパイや工作員との通信を担当する。単にルーセンの部下というに留まらない相方であり、時として彼以上にリアリストな部分も見せる。
- ヴェル・サルサ Vel Sartha - 演:フェイ・マーセイ、日本語吹替:ニケライ・ファラナーゼ
- 人間・女性。アルダーニの反乱チームのリーダー。
強いリーダーシップでグループを統率し、実行直前にルーセンから突然加えられたキャシアンには強く当たる。反乱活動に身を捧げているが、時と場合により自在な姿を見せる多面的な人物。 - シンタ・カース Cinta Kaz - 演:ヴァラダ・セス、日本語吹替:千種春樹
- 人間・女性。アルダーニの反乱チームの一員。
寡黙で大人しそうな外見に反して、潜入工作から暗殺まで、与えられた仕事を冷徹かつ苛烈にこなす手練のレジスタンス。ヴェルの相棒であり、彼女との間には深い信頼関係がある。 - カリス・ネミック Karis Nemik - 演:アレックス・ロウザー、日本語吹替:朝比奈拓見
- 人間・男性。アルダーニの反乱チームの一員で、若く気のいい青年。
グループで一番の理想主義者で、独自の反乱宣言を起草し、いまだ反乱の大義には興味のないキャシアンを感化したがる。彼の言葉は、のちのキャシアンに大きな影響を与えることとなる。
- ソウ・ゲレラ Saw Gerrera -演:フォレスト・ウィテカー、日本語吹替:立木文彦
- 人間・男性。無政府主義者で、著名な反乱分子のリーダー。『ローグ・ワン』にも登場する。
ルーセンから武器の供給を受けて活動するうちのひとり。ファナティックで教条的なところがあり、同じ帝国への反乱分子でも、主義主張の異なるグループとの共闘には難色を示す。
コルサントの人々
- モン・モスマ Mon Mothma - 演:ジュネヴィーヴ・オーライリー、日本語吹替:さとうあい
- 人間・女性。銀河帝国の元老院議員(シャンドリラ代表)。のちの反乱同盟軍リーダー。
元老院で皇帝の専横を掣肘しながらも、秘密裏にルーセンの活動に資金を融通している。無関心な夫ペリンと反抗期の娘リーダに悩まされるなか、銀行への帝国の監査強化という危機を迎える。 - テイ・コルマ Tay Kolma - 演:ベン・マイルズ、日本語吹替:斧アツシ
- 人間・男性。シャンドリラの銀行家。
モン・モスマの幼なじみ。帝国の監査強化への対策に関して相談を受け、口座補填のための資金確保を手助けする。互いの安全のため、原因となった彼女の裏の活動については知らされていない。
銀河帝国とプリオックス=モーラーナ
- シリル・カーン Syril Karn - 演:カイル・ソラー、日本語吹替:小林親弘
- 人間・男性。プリオックス=モーラーナ保安要員の主任。
生真面目で承認欲求の強い人物。帝国の秩序と正義を信じ、事なかれ主義の上司に反発して独断で容疑者キャシアンを追ったことでフェリックスに騒乱を引き起こし、帝国によるプリ=モー接収を招く。
- デドラ・ミーロ Dedra Meero - 演:デニース・ゴフ、日本語吹替:浅野まゆみ
- 人間・女性。帝国保安局の監査官・中尉。
まだキャリアは浅いが、冷徹で野心的な保安将校。各所で起きる帝国からの盗難を捉え、横紙を破る捜査によって事件をつなぐ黒幕“アクシス”の可能性を論証、手がかりとしてキャシアンを追う。 - ブレヴィン Blevin - 演:ベン・ベイリー・スミス、日本語吹替:福田賢二
- 人間・男性。帝国保安局の監査官・中尉。モーラーナ宙域の担当官。
独善的でセクショナリズムと権勢欲の強い保安将校。担当宙域内のフェリックスで起きた事件を軽視し、決められた区割りを無視するミーロの捜査を掣肘しようとする。 - ロニ・ヤング Lonni Jung - 演:ロバート・エムズ、日本語吹替:藤高智大
- 人間・男性。帝国保安局の監査官・中尉。
穏和だが小心なところのある保安将校。時に手堅い進言をすることもあるものの、垣間見える仕事ぶりはあまりパッとしない。妻とのあいだに愛娘が生まれたばかり。 - リオ・パータガス Lio Partagaz - 演:アントン・レッサー、日本語吹替:高岡瓶々
- 人間・男性。帝国保安局の少佐。各監査官の統括者で、ミーロやプレヴィンの上司。
厳格な保安将校であり、部下に役職相応の成果を求めるが、けして頑迷ではない。区割りを無視した捜査も辞さないデドラの能力を認めつつも、適切な証拠を見つけるように忠告する。
- オーソン・クレニック Orson Krennic - 演:ベン・メンデルスゾーン、日本語吹替:三上哲
- 人間・男性。帝国の高級将校で、長官として先進兵器開発部門を率いる。シーズン2より登場。
『ローグ・ワン』で登場した、帝国の超兵器デス・スターの建造責任者。冷酷で慈悲のない軍事技術者であり、自身が長年にわたり主導してきたデス・スターの完成に野心を燃やしている。
スタッフ
- Created by トニー・ギルロイ
- Based on STAR WARS by ジョージ・ルーカス
- Exective Producers:ザンネ・ウォーレンベルク、トニー・ギルロイ、キャスリーン・ケネディ、ディエゴ・ルナ、トビー・ヘインズ(シーズン1)、ミシェル・レイワン(シーズン1)、ルーク・ハル(シーズン2)、ジョン・ギルロイ(シーズン2)
- Music by ニコラス・ブリテル(シーズン1)、ブランドン・ロバーツ(シーズン2)
- Original Andor Themes by ニコラス・ブリテル(シーズン2)
- 制作:ルーカス・フィルム
関連動画
関連リンク
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アナキン・スカイウォーカー
- アナキンの尻
- オビ=ワン・ケノービ
- スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還
- スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐
- スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃
- スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲
- スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望
- スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス
- STAR WARS ジェダイ:サバイバー
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