キャリアメールとは、通信会社が運営するEメールサービスの事である。
概要
日本国内において携帯通信会社の役割を持っているNTTドコモ、au、ソフトバンクの3社は、「無線電話」における「電話機」および基地局と通信を運営・管理しており、この各社がインターネットプロバイダーとなって提供するEメールサービスが「キャリアメール」である。
開始当時はキャリア間の転送が有料であったりしたものの、従来から提供されていたショートメッセージサービス(SMS)よりも送信可能な文字数が多いため、日本国内での主力メールサービスとなった。このほか、機種によっては写真撮影と添付が可能な「写メール」機能を用いて画像の送信が出来たため、これだけでキャリアを変更する例も多かった。
ほぼ同時に開始された簡易インターネットサービス(iモードやEZwebなど)を含めると、「インターネットになじみのない子供から大人までが一気にインターネットサービスに触れる」という、大きく歴史が変わった瞬間でもあった。
2020年の現在でもサービスは継続されているが、スマートフォンではAndroid(Gmail)やiOS(iCloud)の各OSに依存したメールアカウントや、一般のフリーメールアドレスを用いるのが基本となるため、開始当時ほどに重要視はされていないサービスでもある。
キャリアメールの悲喜交交
- サービス初期はアドレスが「(電話番号)@(各通信会社の固有アドレス)」という具合だったため、相手の通信会社がわかれば送信できたが、この簡易であるが故のセキュリティの脆弱性を悪用して、スパムメールを送る業者が大量に発生した。この他にはチェーンメールも流行し、有名なTV番組「『THE!鉄腕!DASH!!』の企画」であることを騙って大量の転送が発生するなど、番組が案内を出すなどの出来事もあった。これらで起きた被害から、各キャリアはインターネットからのメールを受信しない、ドメイン指定などを初めとした迷惑メール対策とともに、各利用者に対してメールアドレス変更を強くお願いする事になった。
- ドコモ同士においては、SMSのように電話番号のみでメールを送ることも可能であった。
- 今では一般的な「絵文字」もキャリア間で異なるので、内容が読み取れないといったこともあった。
- 国内専用サービスだったことやインターネット規格の甘さといったところで、現在ではインターネット規格違反にあたる文字列のアドレスも設定可能だった。このためOutlook ExpressやShurikenといったPC用メールクライアントから送信された場合は「不正アドレス」となり、大学のレポートや会社のメールが受け取れないなど別の問題も起きた。
- 一般的なEメールサービスと多少異なり、携帯電話が通信できれば機械に送りつける仕様のため、インターネットメールのように問い合わせる事が少ない(圏外から復旧する場合などのみ)。ただし、この性質からiPhone等のスマートフォンが国内に登場した当時、この国内専用仕様が災いしてメールが受け取れない・遅延していいるといった問題も発生した。
また、ここ最近では、「番号が移動できるなら、ドメインも引き継げ、じゃないとキャリア移動が出来ない」という、通信会社泣かせの馬鹿な話が出てきた。「~@docomo.ne.jp」であるが通信キャリアは「au」という、完全に通信会社とプロバイダーを分けろという総務省の話もある。このように、キャリアがプロバイダを兼ねていた一つの時代が終わろうとしている。
関連項目
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