キンタローとは、1977年生まれのばんえい競馬の競走馬である。ばんえい競馬史上初の1億円ホースであり、ばんえい競馬史上最強の呼び声高いリアル黒王号である。
主な勝ち鞍
1981年:大雪賞、地方競馬全国協会会長賞
1982年:岩見沢記念、地方競馬全国協会会長賞
1983年:農林水産大臣賞典(旭川)、旭王冠賞
1984年:旭シルバーカップ、オナシス記念
1985年:農林水産大臣賞典(帯広)、岩見沢記念、旭シルバーカップ
1986年:農林水産大臣賞典(北見)、岩見沢記念、旭シルバーカップ
血統
父二世ロッシーニ、母宝玉という血統である。二世ロッシーニは純粋なペルシュロンで、ばんえい競馬の世界で大成功した名種雄馬であり、二世ロッシーニ記念特別という競争が存在したほどである。
母の父もペルシュロン系であり、キンタロー自身はペル系ながらペルシュロンの影響がかなり強い馬である。
熊をまたがらせらてお馬が稽古
体重1000キロちょっととばん馬としてはやや小柄であったが、闘志とパワーにあふれるはつらつとした馬で、病気で体調を崩していたにもかかわらず能力検定の前から関係者の間ではちょっとした評判であったという。
ミスターばんえいと言われた名手金山騎手とコンビを組んだが、前評判ほどの成績は残すことができず、3、4歳時は重賞を制することができなかった。
しかも、ばんえい競馬の世界は古馬を中心に回っており、3,4歳の馬は古馬と対等に渡り合えないため基本的に注目されない。この風潮もキンタローを地味な存在にした。
ばんえい最強馬へ
5歳になって素質を開花させ、大雪賞や地方競馬協会会長賞(現北斗賞)を制覇し、重賞馬の仲間入りを果たすと、6歳になってさらに成長。重賞の中でも格の高い岩見沢記念を制覇し、一躍スターダムにのし上がった。
続く7歳に本格的に開花し、旭王冠賞(現旭川記念)に勝利。さらにばんえい競馬のグランプリである農林水産大臣賞典(現ばんえい記念)を制覇し、名実ともにばんえい最強馬となった。
翌年は農林水産大臣賞典を逃したものの、旭シルバーカップとオナシス記念の2つの重傷を制覇。
続く9歳のシーズンが最盛期で、シルバーカップ、岩見沢記念に加え、2度目の農林水産大臣賞典を制覇。
さらに10歳でもこの3競走を制し、女傑キヨヒメ以来となる農林水産大臣賞典連覇と3勝という快挙を達成。後にスーパーペガサスが4連覇を果たしたが、当時は現在と違って4つの競馬場で持ち回りの開催であり、ばんえい競馬は競馬場ごとの違いが大きかったといわれるため、キンタローの記録はまた違った偉業である。
底を見せず
当時のばんえい競馬は11歳で定年引退と定められていたため、まだまだ圧倒的強さを見せていたキンタローも1987年を持って引退が決まった。
引退競走は1987年12月14日、年度最終開催となる蛍の光賞であった。現在は1年の締めくくりとして行われる同競走であるが、当時は定年引退する馬のラストランの場であった。
同競争は獲得賞金でばんえい重量が決まるため、最軽量が800キロであるのに対し、キンタローが背負わされた重量はなんと870キロ。70キロものハンデ差をひっくり返したのは1974年、怪物とうたわれたハクリュウが成し遂げて以来例がなかった。というより、そんなにハンデ差がつくこと自体稀であった。
70キロものハンデ差はさすがのキンタローでも不安視され、関係者は出走を取りやめることも考えたという。
だが、キンタローはまさにものが違った。万全の状態でレースを迎え、後続を1秒1引き離してトップでゴールした。あまりの強さに、まだ走れるという声が多く上がったという。
その後
9年走り続けて102戦32勝、重賞14勝と獲得賞金1億1673万5千円は今なおばんえい競馬史上最高記録である。
引退後は種牡馬となり、わが子に夢を託した。結果は上々で、毎年10頭近い競走馬を送り出し、活躍馬も輩出した。しかし、1992年にキンタローは若くして死去。我が子の活躍を満足に見ることはできなかったのが悔やまれる。
キンタローはばんえい初の一億円馬であり、一般にも知名度があったスターホースであった。平地競争で言うならハイセイコーやオグリキャップに匹敵する馬である。
ばんえい競馬が存続の危機に瀕している今、一人でもこの記事を見て帯広競馬場に足を運んでいただけたら幸いである。もしかしたら第二のキンタローがいるかもしれない。ばんえいアイドルマスター記念もあるし。
血統表
ペル 二世ロッシーニ 1966 青毛 |
ペル ロッシーニ 1961 芦毛 |
ペル ネグス |
ペル ジヤブロー |
ペル カフユー | |||
ペル ジロンダ |
ペル バンリー | ||
ペル ハイユー | |||
ペル 明雪 1956 芦毛 |
ペル アンピール |
ペル アルベルテイ | |
ペル ヴエルゼオ | |||
ペル 初梅 |
ペル メドール | ||
ペル 初桜 | |||
ペル系 宝玉 1961 青毛 |
ペル 威鏡 |
ペル 威烈 |
ペル 第二十八イレネー |
ペル系 第七ユール | |||
ペル ウネビ |
不詳 | ||
不詳 | |||
半血 春風 |
ペル 博三 |
不詳 | |
不詳 | |||
半血 光性 |
不詳 | ||
不詳 | |||
ばんえい馬の4代血統表 |
関連コミュニティ
関連項目
ばんえい競馬の1億円馬 | |
キンタロー - タカラフジ - ヒカルテンリュウ - アサギリ - マルゼンバージ - フクイチ - スーパーペガサス | |
競馬テンプレート |
---|
- 2
- 0pt