ギリースーツとは身を隠す必要がある職種の狙撃手やハンター、偵察隊員が山間部や草原で着用する迷彩服の一種である。[1]
端的に言えばモサモサ・モフモフした木の茂みのような服。
(もっさり具合のボリュームには多少の差がある)
上手い人がこれを作成・着用して伏せると、至近距離でも本当に見えないほど溶け込んでしまう。
(かくれんぼどころか、気づかずに踏まれてしまうレベル)
概要
スナイパーやハンター、偵察隊員などが隠密活動を行うために着るモノである。体や銃などに植物もしくはそれに似ているものを不規則に巻き付けることで、輪郭をわからなくする効果がある。[2]基本的に気付かれないよう伏せているため、腹の周りはあまり着用していない場合も多い。
近年では偽装効果の高さからバードウォッチングなどでも使用されている。
一般的にはBDU、フライトスーツなどを用いて各個人がハンドメイドで作成をするが、高価ではあるものの専門店が作成している場合もある。(taylor&stonerなど)
アメリカ海兵隊の隊員の場合、現地での植生に合わせるために草や落ち葉などをギリーネットに差し込み、苔や土などを身に貼りつけ、臭いも現地に合わせるなどより確実な偽装効果を求めているようである。
ギリースーツの名称とはスコットランドに伝わる妖精「ギリードゥ」から付けられたとされている。
陸上自衛隊にも狙撃隊員や偵察隊員などに「隠密行動用戦闘装着セット」としてギリースーツ(春・夏用 秋・冬用)やその他作戦行動に必要な物と共に支給される。
実戦においては高い隠密性から存在に気付かれず、射撃後もどこから撃たれたか分からないといった幽霊のような恐怖がある。[3]
豆知識
厳密には場所によって環境・植生は異なるため、現地の草木を取り付けるなどアレンジされる。
もちろん銃や顔・腕にも迷彩を塗ったり(スプレー塗装やドーラン等)や同様のモサモサを取り付けたり、迷彩やメッシュ柄のベールをかけることで隠密性を上げる点にも留意。
作成方法
本職の軍人とまではいかないにしろ、一般個人が園芸店やミリタリーショップや100均一ショップなどから入手できる素材でギリースーツを作成することができる。
ここでは簡単に手順を書き記すので是非チャレンジしてもらいたい。
作成時には本職の写真を参考にしたりすると良い。
用意するもの
このバーラップロールとは麻でできた擬装用のテープである。色に関しては作成者がギリースーツを使用すると考えている場所の草木の色合いに合わせて選んでもらいたい。
基本的なカラーとしてはオリーブドラブ(OD)、ブラウン、ブラックなどを組み合わせると迷彩効果が高い。秋や冬など枯れ木が多くなるとコヨーテカラーなどが効果的である。
人間の体を覆うには大体2kgぐらいのバーラップロールが必要とされている。これはかなりの量が必要になる。
- 偽装網(車両を偽装するためのビラビラがついたもの 園芸用ネットでも代用可能)
- キャンバス生地(ヒジ、ヒザに貼りつけてプロテクターの役割を果たす 必ず必要ではないが見栄えも向上する)
- 迷彩服、またはそれに準ずる服
以上で作成可能である。
バーラップロールが入手できない場合はホームセンターや100均一ショップで販売されている麻布などを切って使う事も可能(その場合は麻布を染めなければならないのでコールダイオールなどの染料などが必要なので注意)
手順
- 麻布を染める必要がある場合は済ませておく事。(麻布を染める場合は10~20cmぐらいに切って入れる事)
染色作業は乾かすのにかなり時間がかかる。焦らずじっくり乾かせて納得のいく色合いまで出すように。
- 偽装網や園芸用ネットを迷彩服に合わせて切り取る。また頭部の擬装用に手持ちの帽子などのサイズに合わせてネットを切り取る。
- ネットの切り抜きが済めば今度は迷彩服にネットを貼りつける。この際に縫うのも良いが手芸店などで購入できる服飾用の接着剤があれば裁縫が苦手な人にも簡単に取り付けが可能。頭部の擬装用ネットも忘れずに縫い付ける。
- ネットの取り付けが完了すれば麻布を取り付けるのみである。
- 麻布を10~20cmくらいに切りネットに取り付ける。(染める必要がある麻布の場合は染める時点で切っておく)
- キャンバス生地をヒジとヒザに貼りつける。形やサイズは言葉で言い表せにくいので実際の写真などを参考にして取り付けてもらいたい。キャンバス生地に関しては可能であれば欲しいが省略も可能。
以上で完成である。
最初は色合いや縫い付けなどで失敗などをするが何度か作成するうちに迷彩効果の高いギリースーツが完成するので挫けずチャレンジしてもらいたい。
個人製作で作ったギリースーツをサバイバルゲームに投入したところ、あまりの迷彩効果の高さから味方に踏まれたなどの伝説もある。
欠点
- 周囲の環境・植生に合わせて適切な色合いで作成しなければ、逆に目立ってしまう。
- 通気性の悪さ(特に夏場はサウナ状態となる)量がかさ張るため持ち運びが不便である。また着用時は重量が負担となる場合もある。
- 素材が非常に燃えやすい。着火すると火だるまになって炎上するリスクもある。
- 銃を除き、あまり大きな荷物を携行できない。
関連動画
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関連項目
脚注
- *日本国内において、猟銃を扱うハンターは迷彩服を着用できない点に注意。
- *人体の曲線や直線状の銃器など、自然界に存在しない形状・違和感は「人間の存在」を認識する大きなヒントである。
- *ただし射撃後は相手も山狩りや一斉捜索(軍用犬も含む)、いると思われる位置に対する制圧(砲撃・爆撃)が行われるため、気付かれないからと長居するのは命取りである。
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