ギルバート・デュランダルとは、テレビアニメ『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場するキャラクターである。CVは池田秀一。
概要
人種 | コーディネイター |
生年月日 | C.E.41年11月19日 |
血液型 | AB型 |
年齢 | 32歳 |
身長 | 183cm |
体重 | 69kg |
プラント最高評議会議長を務める男性。かつては遺伝子工学を学んでいた。
前大戦で最高評議会議長パトリック・ザラが戦死し、代わりに穏健派のアイリーン・カナーバが議長の座に就いた。しかし地球連合との間に結ばれたユニウス条約でプラント側に不利な結果をもたらしたため、責任を取って辞任。その後に議長の座に就いたのがギルバート・デュランダルである。
鋭い眼光と穏やかな言動を持っている他、男性とは思えないほどの長髪をなびかせる。カナーバ前議長同様に穏健路線を貫き、相手がナチュラルであろうと人命救助に注力するなどタカ派だったパトリックとは対照的な人物。趣味なのか、よく私室に置いてあるチェス盤の駒を一人で動かしている。
劇中の活躍
かつてはコロニーメンデルで遺伝子を研究する一介の学者であった。この時に後のミネルバ艦長となるタリア・グラディスと恋仲になるが、二人の間には遺伝子上の関係で子供が生まれなかった。人口減少に頭を抱えるプラントは子供が生まれないカップルの結婚は認めないという婚姻統制を敷いており、泣く泣くデュランダルはタリアと別れた。別の男と結婚する事になったタリアを、デュランダルは取り乱す事もなく見送ったが、彼は心の底からタリアを愛しており、味わった失意が彼の理想を歪ませてしまう。遺伝子を学んでいたデュランダルは、人が生まれながらにして持つ遺伝子で人生を決めてしまえば悲しみに暮れる事は無くなると考え、デスティニープランの着想を得る。また、前作のラスボスを務めたラウ・ル・クルーゼとの親交があり、幼少期のレイに老化止めの薬を手渡したのもデュランダルである。
議長に就任した後、オーブ代表のカガリとの会談に参加すべくアーモリー・ワンに移動。ここで地球連合軍特殊部隊ファントムペインによる新型ガンダム強奪事件に巻き込まれ、避難の目的で進水式を目前に控えたミネルバに乗艦。なし崩し的にファントムペイン追撃任務に参加する。ここから一大事が矢継ぎ早に襲い、ユニウスセブンの破片が地球に落着したり、それを難癖のように非難する連合が強引に開戦してきたりと世界は再び戦火にの間込まれる。それに対して冷静かつ迅速な対応に取り組み、ブレイク・ザ・ワールドで被災した地球の市民に対して即座に援助を開始し、強引に開戦させてきた連合に対しては最低限の防衛戦闘に留めた。またプラントに領土的野心が無いという事を示すために大規模な戦力を動かす事も控えていた。このような戦争を好まず、人道的な支援を行うデュランダルの政策は、当時のロード・ジブリール主導の強引なやり口の目立った連合との相対的比較などもあり、多くの一般市民たちから大いに支持されることになる。
しかしその一方で自分の理想通りにことを進める為に様々な画策を行っていたと臭わせる描写も随所に存在している。ラクス・クラインの替え玉であるミーア・キャンベルの徴用、自身のコンピューターにデストロイガンダムのデータが映りこんでいる描写、自らの演説で諸悪の根源と市民に植え付け葬ったロード・ジブリールの死に際に「ありがとう」と意味深な発言をしている等。
そしてジブリールの死後、自分の最終目標とも言えるデスティニープランという物を全世界に向けて発表、その導入に乗り出そうとする。このデスティニープランは主に監督負債を中心とした制作サイドの発言が曖昧なこともあって詳細はあまりわかっていなかったが、人々が生まれながらに持つ遺伝子情報を解析し、その人に合った役職に就けるようにするという「遺伝子データを基にした全世界規模のハローワーク的な物」という見方が現在の視聴者の間で広まっている。これは前述したデュランダル本人が嘗ての恋人であるタリアと、婚約統制から来る遺伝子相性の不一致の所為で別れざるを得なくなったという過去も大きく影響しているとされており、そういった点から最初から遺伝子でその人の運命を固定し、争いや不平等の無い、自分の様に愛する人と別れなくてはいけないような悲劇も無くなるという遺伝子至上主義の世界を目指していたのではないかとされている。
このデスティニープラン自体が任意なのか強制なのかすらも本編中では語られていなかったが、反対勢力に対して強硬手段を取っていることから、強制(それも全世界規模のスケール)と見ていい。そして、遺伝子的に優れていないという理由だけで自分の就きたい職、やりたいことが出来なくなるという遺伝子による強制的で統制された自由の無い管理社会が生まれてしまうという可能性も孕んでいる。
このデスティニープラン発表後からデュランダルは今までの平和的なやり口から妙に強引なやり方に走るようになり、その典型がプラントに大規模な被害を与えた兵器レクイエムを修復し、それをアルザッヘルへと向けるという手段に打って出る。そしてそれに対して抵抗の意を示してきたクライン派の残党やオーブとの決戦においてレクイエムの照準を今度はオーブに向けたり、戦闘中にネオジェネシスを味方を巻き込む形で発射するなどした。しかし最終的に敗北、レクイエムも破壊され崩れ落ちる要塞メサイアの中で嘗て愛したタリアと、デスティニープランの先駆けとも言え、それを否定し自らを撃ったレイ・ザ・バレルと共に爆発の中へと消えていった。
余談
前述したようにミーアの件やレクイエムの件など決して清廉潔白とは言い難いデュランダルではあるが、その対抗組織とも言えるオーブやクライン派の方が寧ろ問題が多い所為で彼の方を一方的な悪役に見立てるとどうにも疑問が生じる形に見えるという視聴者も多い。
(というより主に監督負債による旧作キャラの異様な持ち上げの煽りを喰らっていると言える)
ミーアの徴用に関しては彼自身が彼女を道具としてしか見ていない節も多々存在しており、実際に本物のラクスが表に出て以降はかなりぞんざいな扱いをするようになっている。が、これに関してもそもそも前大戦から姿をくらまして、戦後のゴタゴタに関する取るべき責任を取らずにいた本物のラクスの所為ということもあり、ミーアの扱いはともかくとして「代理のラクスを用意する」という行為自体は一概に完全に黒だとは言い難い。
(そもそも前大戦の影響で精神的に参っていたとかならまだしも、ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスといった最新鋭MSを始めとする自軍戦力を固めるのに奔走していたというのだからますます判断に困ってしまう)
しかし、ラクスの暗殺(未遂)を秘密裏に行ったことで、キラやラクス、アークエンジェルが再び動く動機を与えてしまった。実際、キラも暗殺未遂が無ければ彼を信用していたと言っている。
レクイエムの件にしてもデュランダルの暴走と取られやすいが、実は連合軍はその直前にアルザッヘル基地から艦隊を発進させていたりする。そもそもジブリールが討たれた跡と言っても、あの時点でプラントはまだ連合とは交戦状態にあり、その相手が軍を動かしたとあっては先に撃って出ると言う行為自体は別におかしい事では無い。
(ただ、それでも自国に多大な被害をもたらした悪夢のような兵器をわざわざ修理してまで使って、国民に対する説明はどうだったのだとかという問題点もあることは確かだが)
オーブ及びクライン派に至ってはそもそも開戦当初はオーブは連合側だったこと、アークエンジェルを始めとした一派の再三に渡る妨害行動、自軍の兵器やそのデータの盗用、ジブリール捕縛の妨害やその結果のプラントに対するレクイエムによる大被害と挙げればキリが無く、オーブがレクイエムの照準に指定されるというのは寧ろ当然の話であると言えなくもない。
彼の示したデスティニープランはプラント存続に必要なコーディネイターの出生率低下への対策でもある他、戦争続きの世界に対する1つの解決策である。一方、キラは混迷の世界で戦い続けることを選んではいるが、戦いを止めるための答えを見いだせていない。実際、2年後の『FREEDOM』でも独立運動やブルーコスモスによる侵攻で戦争は続いており、キラは世界平和監視機構・コンパスの一員として各地で戦闘介入を続けている。
作中世界における黒幕であることには間違いないのだが、対する主人公側の組織がそれ以上に胡散臭い所が多く、色々と微妙な立場に置かれている難儀なキャラクターであると言えよう。
外部作品であるスーパーロボット大戦シリーズにおいては脅威対象の広さからデスティニープランに「地球外や並行世界への対抗」という位置付けがされていることが多く、主人公勢力と敵対しても何らかの理解・フォローが入る作品が多い。特にスパロボLにおける大立ち回りは必見。
関連項目
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