ギルモアとは、大長編ドラえもん『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』および、そのリメイク作『ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』に登場するキャラクターである。
原作漫画及び旧作映画
ピリカ軍の将軍であり、軍事クーデターを起こし、軍の情報機関のPCIAの使役し、国中のあちこちに監視カメラ付きの自分の肖像画を設置し、徹底的な国民監視体制を敷いて君臨している独裁者。
しかし民衆が必ずしも自分の支配を受けれ入れていないこともあり、逃亡中のパピが自分の独裁体制を揺るがす脅威になると考えており、自分たちの軍事革命の総仕上げとして、パピの処刑と自分の皇帝戴冠を望んでおり、そのために部下のドラコルルに地球へと逃亡したパピの追跡を命じた。
……とこのように悪の独裁者といった設定の持ち主であるのだが、作中ではどうにも存在感が薄い。
というのも、実際にドラえもんたちと対峙して戦っているのはPICIA長官のドラコルルであり、しかもドラコルルがドラえもん映画の中でも「史上最強の悪役」と評されるほど存在感が強いことに加え、作中における登場シーンがほとんどドラコルルとの対話シーンであり、しかもその内容が独裁者として命令を下しているというよりはドラコルルの話術に丸め込まれて彼の提案を採用するといった趣きが強いものが多く、強大な権力者としての要素が薄い。
強いていえば、レジスタンスである自由同盟の秘密基地を攻撃する際に、空軍の主力ではなく、大量の無人戦闘艇をさし向けることを決断したことだが、その理由が「人間は信用できん」というものであり、その命令を受けたドラコルルはというとギルモアの内心を見透かして「反乱を恐れているのか。自分の人気のなさをよ〜くごぞんじだ」などと陰口を叩かれてしまっている始末であり、もはやどうやって民衆人気のあるパピ大統領政権に対するクーデターの首魁をやれてたのか疑わしく思えるほどである。
2021版
基本的な設定は旧作と変わらずだが、全体的に独裁者としての要素が濃くなっており、民衆に選ばれた大統領であるパピと対比されるような描写が多く、悪役としての魅力が増している。具体的には直接通信命令が来た時にドラコルルが冷や汗を流すなど少し畏怖されている。
ドラコルルとPCIAにパピの追跡を命じた理由が「捕らえて処刑する為」から「自分の戴冠式に前大統領を出席させて、民衆に現状を受容させ、更に自身の権力の正統性確保を狙う」といった政治的な目的をもったものに変更されている。
更に追加キャラであるパピの姉ピイナの身柄を確保した段階で、姉を武器に脅してパピの方からこちらに出向くように仕向ければいいという判断の下、まだ地球でパピの追跡を行なっていたドラコルルに帰還命令を出すなど狡猾で計算高い一面がある。
出頭してきたパピに対しても脅し交じりとはいえ、自国の大統領として扱い、自分の戴冠式に出席にして権力移譲を行う趣旨に同意した際には「素晴らしい決断だ」「この星に新たな秩序を、ともに築こうではないか」と言って取り込みをはかるなど硬軟織り交ぜた貫禄ある対応をしており、独裁者として油断ならぬ一面がある。
猜疑心の強い一面も旧作より強調されており、ドラコルルには「将軍が恐れているのは反乱だ。我々とて信じてはいまい」と推測され、ある種の警戒心を抱かれている。
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