クイックリスタート(MotoGP)単語

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クイックリスタート(quick restart)とは、MotoGPにおいて、決勝レースが中断した後にレースを再開する際のスタート方式を示す言葉である。

2016年からMotoGPの全クラスに導入された。
  

概要

決勝レース中断までの流れ

MotoGPの決勝レースは、次のような流れで行われる。
 

  1. ピットで待機
  2. 5分間ピットレーンが開き、各ライダーが1~2周のサイティングラップを行う
  3. ライダースタート位置に付き、メカニックグリッドガールたちに囲まれる
  4. ピットレーン出口係員旗を提示して、ピットレーンが封鎖される
  5. 開催国歌演奏などの演出
  6. ウェットレース宣言か、またはドライレース宣言が行われる
  7. メカニックグリッドガールたちが退散し、ウォームアップラップが1周行われる
  8. ライダー全員スタート位置に付く
  9. 信号機赤色に点したあと、信号機が消して、それを合図に一斉にスタートする

 
9.のあと、決勝レースが進んでいくのだが、決勝レースの最中に何らかの要因で旗が振られてレースが中断されることがある。

Moto3クラスMoto2クラスでは、ドライレース宣言exitをしてレースを始めた後にが降ると旗中断となる。

最大排気量クラスではドライレース宣言をしてレースを始めた後にが降っても旗が振られてレース続行となるが、脚がひどくなってハイドロプレーニング現象exitの危険性が増すと旗中断となる。

転倒者が出て、路面にエンジンオイルがまき散らされたり、コース上に部品が散乱したり、コース上に負傷者が横たわったりした場合も旗中断になる。

エアフェンス(空気で膨らませるもので、転倒して滑ってくるマシンを受け止めるため設置される)が破損した場合も、ライダーの安全を確保できないという理由で旗中断になる。

旗が振られると、全ライダーは徐行してピットに戻ることになる。
 

クイックリスタートでレースを再開

ピットに戻った各ライダーは、給油マシンセッティング変更やタイヤ変更をしてもよい。そうした作業をしながら、運営示を待つ。

運営は、クイックリスタートを宣言し、「今から◆分後の○時○○分にピットレーンを1分間開く」と各チームへ通告する。◆に当てはまるのは、5以上の数字である。運営の通告の時刻と、ピットレーンが開く時刻の時間差は、5分以上である(資料exit)。

ピットレーンが開いているのは1分間だけで、その間にピットレーン出口を出なければならない。ピットレーン出口から遠いところにピットがあるライダーも、この時間を厳守する必要があるので、めにピットを出ることになる。

ピットを出たライダーは1周だけサイティングラップを行う。その最中に、各ライダーを担当するメカニックが1人だけスタート地点に行き、ライダーを待ち受ける。こんな感じexitの、非常にシュールな様子になる。

1周のサイティングラップを終えたライダーは、自分を担当するメカニックで探しながら、スターティンググリッドに付く。

全員スターティンググリッドに付いたら、ウォームアップラップを1周行い、その後にスタートとなる。


以上の手順をまとめると、以下のようになる。
 

  1. ピットで待機
  2. 1分間ピットレーンが開き、各ライダー1周サイティングラップを行う
  3. ピットレーン出口係員旗を提示して、ピットレーンが封鎖される
  4. メカニックが1人だけスタート位置に立ち、ライダーを待ち受ける
  5. メカニックが退散し、ウォームアップラップが1周行われる
  6. ライダー全員スタート位置に付く
  7. 信号機赤色に点したあと、信号機が消して、それを合図に一斉にスタートする

 

ピットレーンオープンに間に合わなかったライダーは最後尾スタート

旗中断の前に転倒していてマシンの修復に手間取ってしまった、などの事情で、2.のピットレーンオープンに間に合わないライダーはどうなるのだろうか。

そのライダーピットレーンの出口で待ち続けることになる。つまり、サイティングラップに参加できなくなる。

5.になってウォームアップラップが始まると、それと同時にピットレーン出口に立つ係員旗を引っ込めて旗を振り、「通ってよい」と意思表示をするので、ウォームアップラップに参加できる。ところが、ウォームアップラップを終えたあと、係員によって最後尾に誘導され、最後尾スタートとなる。

予選で最速タイム叩き出してポールポジションを獲得したようなライダーであっても、2.の1分間ピットレーンオープンに間に合わないと、最後尾スタートになってしまう。
 

ウォームアップラップに間に合わなかったライダーはピットスタート

旗中断の前に転倒していてマシンの修復に手間取ってしまった、などの事情で、2.のピットレーンオープンに間に合わず、さらに5.のウォームアップラップ開始にも間に合わなかったライダーはどうなるのだろうか。

そのライダーピットレーンの出口で待ち続けることになる。

7.になってレーススタートした後、係員の合図によってピットレーンからスタートする。こういうピットスタートは、最後尾からスタートしたライダーからだいたい7ほどの遅れになる(スタートの記事で解説されている)。最後尾スタートよりもさらに厳しい処遇となる。
 

2016年イタリアGP(Moto2クラス)

2016年イタリアGPのMoto2クラスが、史上初めてクイックリスタートを実行した記念すべきレースとなった。

4周シャヴィ・ヴィエルヘexitが転倒し、マシンエアフェンスに突撃させ、エアフェンスを破損させてしまった。5周になって、運営ライダーの安全性を確保できないと判断し、旗を振り、エアフェンスを交換した。そして、クイックリスタートでレースを再開することになった。

このときは、クイックリスタートのことを全く理解していないチームが多く存在した。合計8人のライダーが、1分間のピットレーンオープンに間に合わなかった。

チームには毎年ルールブックが配布されるのだが、自発的にルールブックの隅々まで読んでいるチームばかりではない、という現実が浮き彫りになった。

運営の方も、なかなかお粗末な対応をしていた。1分間ピットレーンオープンが終わったら係員旗を横に提示してライダーを制止しなければならないのだが、それを怠っており、ピットレーンオープンに間に合わなかった8人のライダーのうち6人が勝手に出ていく始末だった。この6人のうちの1人が中上貴晶だったが、中上は「ピットレーン出口係員は、旗を持って突っ立ていて『行っちゃってくださ~い』という態度だった」と言している(2016年振り返りG+座談会)。

その6人がサイティングラップを終えてスターティンググリッドに付いてウォームアップラップが始まるのを待ったので、運営がその6人に対して「ちょっと待って、君は本来、ピットから出てサイティングラップに参加してはならず、ずっとピットレーンで待ってなければならなかったんだ。ピットレーンに戻ってくれないか」と誘導することになった。メインストレートピットの間にはがあるが、1ヶ所だけがあり、そこからピットに戻ることができるので、6人を懸命に誘導した。

6人を誘導しているときも大混乱だったので、テキパキと進まない。そのため、1分間ピットレーンオープンに間に合ってスターティンググリッドに付いてウォームアップラップの開始を待っているライダーエンジンを掛けたまま待たされることになった。そのうちの1人であるダニー・ケントexitは「エンジンを掛けっぱなしだったので、ラジエーター(エンジン冷却装置)の温が127度まで上がってしまって故障寸前になった」と言っている。

結局、「全てやりなおしましょう」と言うことになって、全ライダーがピットインしてクイックリスタートをやりなおすことになった。

当時のも当てられないゴタゴタを示す動画こちらexitで、記事はこちらexitこちらexitになる。
  

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