概要[1]
イスラエルはミラージュ5と同じ機体にアター9Cというエンジンとイスラエル製の電子装備を装備したネシェル(ワシ)という戦闘機を作ったが、エンジンをJ79に変更することを前提に再設計を施したのがクフィル(ライオンの子)である。空気取り入れ口、エンジンベイ、ドーサルフィン、コクピット、機首形状、燃料システム、主脚に変更が加えられている。クフィルC2では空気取り入れ口上方に着脱式の前翼が追加されている。
クフィルの各型は約250機生産された。アメリカ海軍は空戦訓練用の「仮想MiG」として、初期型のクフィルをF-21Aの名称で3年間イスラエルよりリースしている。
開発、その他
イスラエルはその建国当初から周辺アラブ諸国と幾度かの戦いを繰り広げていた。ところが第三次中東戦争で戦闘機の輸入元であったフランスとの関係が悪化。輸入予定だったダッソー・ミラージュ5、50機の輸入が差し止められてしまう。あわてたイスラエルは、設計図を入手して国内生産の道を選択することになる。ちなみにこの際、モサドがミラージュの設計図をパクった、あるいはダッソー社と裏取引で設計図やエンジニアを融通させたなどちょっとした逸話があるが真偽のほどは定かではない。ただしエンジンだけはいかんともしがたいのでフランスのSNECMA Atarエンジンを第三国経由で手に入れて組み込んだミラージュ5のコピー品が、ネシェルと呼ばれる戦闘機として開発された。ちなみに同時期、なんとかフランスではなくアメリカから武器給与の道を作ることに成功してF-4Eの導入もスタートし、より強力なF-4E搭載のJ79エンジンへの置き換えを行ったものがサルボとして開発される。ネシェル、サルボの開発を踏まえ、若干の改良を施されたのがIAI クフィルである。改良型としてC2、C7、C10が開発された。
イスラエル空軍では基本的に対地攻撃任務がもっぱらで、戦闘機撃墜は1979年にシリア空軍のMig-21を共同撃墜したのみである。
エンジンがアメリカ製J79エンジンを使っているため国外輸出にはアメリカの許可が必要となり海外輸出はきわめて少なく、コロンビア、エクアドル、スリランカなどごくごく限られた機が導入されているだけとなった。
…と、まぁ、これだけならマイナー機種で終わるのだが、日本国内ではこれまた有名な機体となっている。
言うまでもなく「エリア88」のおかげで、舞台となったアスラン王国空軍主力戦闘機として正規軍及びエリア88のパイロットたちの多くがクフィルを使用しており、エリア88の司令官、サキ・ヴァシュタールもクフィルを使用していた。
関連動画
関連項目
脚注
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