クライアス社は創立以来、世界中の人々の幸福を願ってまいりました。
世に蔓延る明日への希望、そこに永遠はありません。
未来は必ずしも明るいわけではないのです。
我々はこれからも皆さまに本当の幸福を提供できるよう精進してまいります。
代表取締役社長
プレジデント・クライ
クライアス社(Criasu Co., Ltd.)とはテレビアニメ『HUGっと!プリキュア』に登場する敵組織の企業である。
概要
プレジデント・クライによって創設された企業。経営理念は「ミライクリスタルの獲得と未来の消滅」。まあこの辺に関しては他の悪の組織とは変わらないであろうし、シリーズ的には『Yes!プリキュア5』の「ナイトメア(株)」を連想した人も多いだろう。もちろんブラック企業である事も共通。
ただし、企業の性質としては「未来から現代日本にやってきた」という、ある種特異な要素を持つ。この点でタイムトラベルやタイムパラドックス、アンドロイドなど、これまでプリキュアシリーズにあまり見受けられなかったSF的要素が盛り込まれる要因ともなっている。
その一方で社員の名前にこれまでの日本経済を象徴する言葉をモチーフとしていたり、ホウレンソウやら稟議書やら始末書やら発注やらと企業関係の言葉も飛び出す。これが色々と話題となるどころか世のお父さんや大きいお友達といった社会人の心をえぐることになる。こうしたもんだから日経MJなど経済紙や週刊誌でも取り上げられるようになってしまった。
ちなみにご丁寧なことに、東映アニメーション側公式サイトのキャラクター紹介ページでは、クライアス社に関しては企業紹介ページとなっている。しかも離脱者が出るにつれ採用情報が載るなんてことも。小ネタ利かせすぎです。
あさばぶ支社
2018年の現代日本に進出したクライアス社の支社であり前線基地。未来から現代に逃げた「とあるプリキュア」と、彼女が持つミライクリスタル・ホワイトを探し出すために現代にやってきた。しかし第1話のダイガンの「本社に戻りたい!」という発言からして見るに、リストラ対象の社員が集まっているとしか思えないのだが……そしてその結果……
チャラリート
まるっきりチャラ男にしか見えない係長。名前の由来も「チャラ男」と「サラリーマン」から。オシマイダーの発注時に踊るダンスはパラパラで、性格的にゆとり世代とみられる。
序盤は彼が出撃していたのだが、プリキュアが増えていく状況に対応しかね、上司には内緒でルールーに分析を押しつけたりする。しかし、それでもプリキュアがさらに増え、連戦連敗を重ね、あげくルールーには告げ口される始末(ちなみにルールーが当初会社に報告しなかったのは、チャラリートが勝てるのであればそれならそれで会社の利益になると判断したから)。おかげで信用を無くした結果、机も無くなりリストラ部屋送りとなってしまう。しばらく未登場が続く中、久しぶりにリストラ部屋から現れた彼は恐怖で精神が崩壊していた。
そして精神が崩壊した彼は、パップルの提案でトゲパワワを直接注入されてオシマイダー化、街で暴れることに。失意から立ち直り再びキュアエールに変身し仲間たちと共に暴れるオシマイダーチャラリートと戦うはなだったが、その想いがあふれプリキュアの剣が姿を現す。その剣を手に斬ろうとしたとき、エールには見えてしまった、オシマイダーの内部で苦悩するチャラリートの姿が。エールはその手を止め、チャラリートを「またやり直せるよ」と優しくハグするとともに、「自分に必要なのは剣ではない」と悟る。その時剣が姿を変えたメロディソードの力によって、チャラリートは浄化され無事退職となった。
退職後はYouTuberになったらしく、「チャラチャラチャンネル」はそれなりに見られている模様。そんな彼が再びプリキュア達の前に現れるようですが?(以下後述)また、同じイケメンキャラであるハリーとは色々と張り合ったりする光景も。
ちなみに演じる落合は2児の父。長女はまさに現役プリキュア世代のため一緒に見ることになるのだが、チャラリートに関して邪険にされたり、プリキュアごっこをするときはチャラリート役をさせられたりしているとか。また、実父であるかの三冠王・落合博満氏(東芝府中で会社員(臨時工)、中日ドラゴンズではGMとして経営参画経験あり)が見ていたらしく、
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ルールー
クライアス社のアルバイト社員。いつも淡々と業務をこなす。よって上司のチャラリートやパップルには仕事を押しつけられるのが常。
だがそんな彼女がプリキュアの力に興味を持ち、はなたちに接触したことから彼女の運命が変わることになる……
と言うことで以降の詳細は「ルールー・アムール」の記事を参照。
パップル
名前の通り、いかにもバブル世代なグラマラスでワンレンボディコンの派手な服装の女性課長。通勤はタクシー使用(これを見てブンビーさんを思い出した人多数)、発注の連絡は携帯電話どころか昔懐かしのショルダーホン、発注ダンスはジュリ扇振りまくりのバブリーダンス、言葉も「しもしも~」「シーカレ」など逆さ言葉を多用する。もしかして:元ネタは平野ノラ
仕事に対する意識は強いものの、彼氏との恋愛を優先することが多い。仲間意識は無く部下も駒として平然と利用するものの、裏切ったルールーへの対応から見るに社内の中ではまだ温情を持ち合わせている方でもある。またその一方で彼氏との愛を精神的な拠り所としている面もあった。しかしプリキュア達を倒すことができず、独断で潜入していたルールーを利用しようとするも、離反する行動を取ったため、記憶を書き換えてプリキュア達を倒させようとする(ルールーを戦闘用プログラムに書き換えたのは上司のリストルの命令で、パップルは記憶の消去だけに留めておくつもりだった)。結果としてルールーは決別したどころか、えみると共にプリキュアへと覚醒する結果となった。
ルールーがプリキュアになった後も何度も敵対するもことごとく返り討ちに遭い、もはやが後が無くなっていき、さらに新たにやってきたジェロスの存在もあって焦るパップル。唯一の心の支えである彼氏の元へ向かったのだが、そこにいたのはベッドに座るジェロスと、自分に一瞥もしない彼氏の姿。英訳混じりの「鶴の恩返し」を引き合いに出したジェロスに自分が彼氏に捨てられた事を悟ったパップルは、愛を失った絶望から自らトゲパワワを注入しオシマイダーへと化す。しかし朝っぱらから子供向け番組で濃厚なNTR見せられるとは……
暴れ狂うオシマイダーパップル、ブラックホワイト両先輩にボコボコにされる心配があったが、キュアアムールとなったルールーはその中にかつての上司の姿を見る。それは愛を失い苦しむ彼女だった。アムールは愛を知るきっかけとなった相棒のマシェリ(えみる)と共にオシマイダー内部のパップルの元に向かうが、全てを失った彼女は酷く落ち込んだ状態だった。しかしアムールとマシェリは「全てを失っても愛する心を失ったわけではない、愛する心を持ち続ければ必ず誰かに届く」と励ましながらパップルを優しく抱きしめた。そしてツインラブギターの力によってパップルは浄化され退職することになる。さてパップルさんの転職先や如何に(こちらも後述)。退職後は性格こそ変わらない物の、経験豊富な大人の女性らしく、はなたちに助言する光景も見られる。
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※「さあや」は大原さんの愛称、「レイラ」は佐藤順一監督作品『カレイドスター』で大原さんが演じたレイラ・ハミルトンのことです。やっぱ薬師寺母娘の名前の元ネタの一つなんですかね。
ダイガン
てっぷり肥満型のおじさん部長。名前の元ネタはもちろん「団塊の世代」。
部下に対しては強気な態度で、結果を出せなければ冷徹に切り捨てる。「私なら5分で結果を出す!」といつも豪語していた。まあ典型的な現場を知らなくなった管理職であったわけで、上層部からも無能扱いされており、離脱者が多数出たことでやむなく出撃することに。オシマイダーをモンキーダンスからのサタデー・ナイト・フィーバーのあのポーズで発注し本当に5分でプリキュアを倒そうとしたその瞬間、突然やってきたドクター・トラウムから攻撃を受けまさかの5秒で終了。慌てて治癒しようとするアンジュの愛もむなしく、浄化というか粛正されてしまう。まさかの秒殺リストラに視聴者は唖然となった。
ドクター「プリキュアに癒やされて退場とはうらやまけしからん」
退職後もなんだかんだやっているのだが、5分ネタを変わらず口癖にしており、時にはリストルにそそのかされたり、時には3秒で瞬殺何てことも。めっきりコメディリリーフになってますね。
真相とその後の退職組
あざばぶ支社のメンバーは、新たに覚醒したプリキュアの変身者を突き止め倒すことを目的としていたが、実はクライアス社上層部が彼らに期待していた本当の役割は、プリキュアにミライクリスタルを生み出させるためのかませ犬だった。そもそも未来から来た上層部はプリキュアの変身者の正体を最初から知っており、プリキュアたちが不利になりすぎないようにあえて情報規制をしていた。未来の「とあるプリキュア」がミライクリスタル・ホワイトと4つのプリハートを持って現代に逃げ込んだのはクライアス社にとって望まぬ事態であったものの、その時点でプレジデント・クライは過去の時代で誕生することになる『4人のプリキュア』にミライクリスタルを生み出させ、ミライクリスタルを奪いトゲパワワに変換してより確実に時間を停止させることを決めていた。つまりあざばぶ支社メンバーがリストラに追い込まれることは、最初から決定していたことである。上層部にとって唯一の想定外は、最後のプリハートが2つに分裂し、未来から来たアンドロイドのルールーがえみると共に5人目のプリキュアになったことだったが、それによって当初よりも多くのミライクリスタルを得ることになるため「想定以上の結果」にしか過ぎなかった。
心を得て改心したどころかプリキュアへと覚醒したルールーはともかくとして、退職した残り3人については、既にYouTuberになっていたチャラリート含めその動向が視聴者の関心事となっていた。
そうした中、第24話でのこと。ナイトプールでエンジョイしていたはなたちの前に現れたチャラリートとパップル。軽く挨拶し「新たなステージに向かってる」と一度は立ち去る。そしてえみるとルールーが「ツインラブ」としてゲリラライブを行い大盛況となったのを見たパップルは動き出すことになる。
実はパップルは退職を契機に新たに芸能事務所「まえむきあしたエージェンシー(略してMAA)」をチャラリート、そして無事に退職していたダイガンとともに立ち上げたのだった(前触れのないダイガンの登場、そしてさあやと会話をかわす様子を見て視聴者の中には安堵とともに感激する人も)。そしてパップル社長は所属タレント第1号としてえみるとルールーをスカウトする。所属を断られているのが現状ではあるものの、「断らないだろう」となんだかんだでツインラブに仕事を持ち込んでくるのだが。
MAAを新たなステージの第一歩とした元クライアス社社員達。ルールーを含むプリキュア達と共にそのあゆみを進めていくことになる。
新生あざばぶ支社
これまでの社員が結果的には全員リストラされたため、新たな社員で再始動をきることになる。
ジェロス
海外から赴任してきたとおぼしき若手女子社員。役職はゼネラルマネージャー。名前の元ネタは「失われた世代(ロスト・ジェネレーション、日本では90年代の就職氷河期)」。英語混じりの口調で話し、高飛車かつ妖艶な人物として振る舞う。そのためパップルからは会った瞬間から嫌味交じりの応対のため嫌われており、ジェロスもまたパップルを追い詰めるために彼女の彼氏を寝取り、パップルにトドメを刺した。
オシマイダーの発注の際にはハートのポーズをとって踊った後、名刺を差し出すが、その両脇には2人の従者が。もしかしなくても:元ネタはブルゾンちえみ
ちなみにこの2人の従者、最初はホログラフか何かと思われていたが、何とジンジン(CV:小島よしお)とタクミ(CV:山田ルイ53世)という、実在するジェロスの後輩である事が判明。しかし「始末書上等!」「残業歓迎!」と社畜丸出しな台詞は勘弁してくれませんか……。
だが、あまりにもふがいない2人をジェロスはあっさり見限ってしまう。そこに出てきたのはトラウム謹製人の時間を止める道具。これを使って実績を上げようとするが、不完全だったため暴走して2人合体して猛オシマイダー化してしまうことに。最終的にはチアフルスタイルになったプリキュア達に寄って浄化され無事退職、その後はバイトにいそしんでいるようである。
一方のジェロスと言えば「若さと美しさが全て」という思想があり、若い自分のまま時が止まれば良いと思い自分の時が進むことを酷く恐れていた。一方でクライアス社が掲げる全ての時が止まった世界とは、自分の美しさを誰も褒めてくれない世界でもあり、プレジデント・クライの思想と異なっているという矛盾にずっと目を瞑っていた。自分でやったこととは言え、誰もが自分の元から離れていき、避けがたい老いという運命にあらがえず、美しさを失うことに怯え、一生懸命働いてきた自分が報われない状況についにはぷっつん、クローズさんのようなパンキッシュなスタイルに変貌してしまう。
そしてその焦りが頂点に達すると前述の機械を持ち出し中にあるトゲパワワを一気に飲み干して猛オシマイダーに変貌、暴れ出す。しかし昔は共に芋ジャージを着て共同生活をしていたジンジンとタクミの説得を受けて、本当の意味で自分に付き添ってくれる存在に気付き、ついには号泣。プリキュア達に浄化され退職し2人と共に再起を目指すことになった。
ビシン
クライアス社内に幽閉されていた少年。役職はカスタマースペシャリスト。リストルによって解放され、表に出ることになる。その姿の意匠が似ていることから、「ハクビシン」が名前の元ネタとみられている。
その正体はプレジデント・クライによってスカウトされ、改造手術を受けた「ハリハリ族」と呼ばれる生物。かつて孤児だった頃からの兄でもあり同僚であるハリーに対して狂気的なまでに執拗に狙っている。というかぶっちゃけて言うとヤンホモで、ハリーの意思に関係なくハリーを取り返して自分たちの仲を戻そうとしており、本来なら一番の標的である筈のプリキュアにすら興味を示していない。ハリー曰く昔から思い込みが激しいらしい。一方で輝木ほまれことキュアエトワールがハリーに好意を抱いていることを直感で見抜いており、お互いに同族嫌悪に似た感情を抱いている。ハリー奪還を邪魔するほまれに対しては敵意を剥き出しにしているが、ほまれが抱くハリーへの想いを誰よりも理解しているのもビシンでもある。またハリーの離反の要因となったキュアトゥモローに対しては、強い憎悪を抱いている。
プレジデント・クライに対してはハリーと違って「自分たちに寝床と食事と強い体を与えてくれた」と認識しており、態度は悪いものの従っている。リストルもまたハリーと同じく昔から共に暮らしてきた同族だが、故郷を見捨て真っ先にクライアス社に与したリストルのことを根に持っており、嫌味を言う。一方で本当に辛くなった時に頼れる唯一の存在でもあり、リストルもまたビシンには素の接しており、他の社員には見せない穏やかな態度になる。
ショタボイスであるが、演じるのが新井里美と聞いて驚く人多し。まあ新井と言えば確かにシリーズ的にはまほプリの魔法の水晶さん、アニメファンがすぐ思い浮かぶのは白井黒子だから仕方あるまい。しかし新井は演技の幅が広い声優であるため、その辺で行けば今後の演技に期待が持てるはず。
上層部
リストル
社長秘書のダンディな壮年男性。名前の元ネタは「リストラ」。普段は敬語で一人称は「私」だが、素の性格はかなり砕けており一人称は「俺」になる。
あざばぶ支社の支社長代理であり、事実上のトップ。格下の社員でも敬語で丁寧に接するが、失敗した社員には冷徹な態度を取るなど、厳格な一面も持ち合わせる。パップルがルールーの修復後出撃させようとした際には戦闘用プログラムを組み込もうと提案する、社員として見込みがあるとアンリをスカウトするなど、結構な策士でもある。実際にあざばぶ支社の初期メンバーが使い捨ての駒に過ぎないことを最初から知っておりながら、最後までそのことを悟らせなかった。その一方で心の奥には激情を秘めており、刺激のある映像が撮れないと上に怒られるからという理由で、アンリに恥をかかせようとしたテレビクルーに対しては「あんたは俺が最も嫌いなタイプの人間だ」と珍しく感情的に吐き捨てている。発注ダンスは棒術ベースの中国舞踏のようである。
プレジデント・クライはホログラム映像で部下へ指示を出しており、リストルも社長の指示に従っているように見えていたが、よくよく聞くと映像超しのプレジデント・クライは同じようなことしか言わず、更にリストルが手元の端末を使うことでシルエットとおぼしきプレジデント・クライが現れることが後々分かったため(しかもリストルの手元のキーボードの動きに合わせて喋っている)、「クライ自身はいない、あるいは傀儡なのでは」と思われていた。実際に本物のプレジデント・クライは長期間不在にしており、社員たちの前に現れていたのは本物の社長承認の下リストルが操作していたホログラムの映像で、プリキュアにミライクリスタルを生み出させるために社員たちを煽っていた。
彼も真の姿があった。ハリーやビシンと同じハリハリ族。彼もまたハリーやビシンと共に暮らしてきた「長兄」で、改造手術を受けた身だった。ビシン曰く真っ先に故郷のハリハリ地区を見捨てたらしく、彼からは根に持たれているものの、ビシンにとっては数少ない心を許せる相手でもあり、リストルもビシンには素の態度で接する。かつて未来の世界でハリハリ地区で同じ境遇の孤児たちと共に暮らしていたが、未知の疫病が流行りビシンを含めた弟たちが病で苦しむ中、クライアス社のドクター・トラウムに生物兵器としての改造手術を受ければ助けると言われ、家族の未来のためにそれを受け入れた。その手術に適応したのがリストル、ビシン、ハリーの3名で、3人は病気への免疫以外にも人の姿を得ることができた。しかし最終的にハリハリ地区は伝染を防ぐためという名目で何者かに焼き討ちにされてしまい、リストルは深く絶望。自暴自棄になったハリーと同様に明日への希望を望まなくなり、「巨大な力には抗えない」としてクライの思想に共鳴してクライアス社に下った。
ちなみにハリハリ地区の焼き討ちにはクライアス社は関与しておらず、実際に手術に適応した3人はクライアス社に助けられたとも言える。リストルはそう思いながらも、他の家族を助けられなかったことをずっと悔やんでおり、プレジデント・クライにも忠誠を誓いながらも本心では言いようのない憎しみを抱いている。また明日への希望を持つようになりクライアス社を裏切ったハリーに対しても、内心複雑な感情を抱いている。
ドクター・トラウム
シルクハットを被った老齢社員で、プレジデント・クライの相談役。名前の元ネタはドイツ語の「Traum(夢、憧れ)」で、さらに「トラウマ」の意味も加わっている。
表向きは温和な人物だが、冷酷かつ狂気じみた本性を併せ持つ。ドクター故におそらくはマッドサイエンティストで、オシマイダーを自ら開発した「ビックリドッキリドンドンメカ」で強化した「猛オシマイダー」にかえることができる。他にもいろいろな兵器や道具を生み出すことも。またハリーたちハリハリ族の3人に生物兵器としての改造手術を施したのも彼であり、おかげで3人は人間の姿になる能力を得た。最もそれは「ハリーたちを流行り病から救う」という約束の下での改造であり、流行り病の伝染を恐れた何者かによってハリハリ地区は他の家族ごと焼き討ちにされてしまったことから、ハリーからは恨まれている。それに対しトラウムは「未来は必ずしも求めた結果だけを運んでくるとは限らない」と言っており、その言葉はハリーの心に未だに深く根付いている。
あらゆる手段を用いてくる老獪さを持つが、産婦人科の前で赤ん坊たちに気を使って静かに戦って欲しいというキュアアンジュからの提案を呑むなど、意外とノリはいい。ただしこれには理由があり、ジェロスにそのことを指摘された時には「これでも親の気持ちがわかる」と言いながら、ルールーを発表しているとおぼしき光景の写真をハイライトが灯った穏やかな眼差しで見つめている。このことからルールーの製作者であると思われていた。
後に時間を巻き戻す技術を確立させ、プリキュアオールスターズの各町に侵略し、他の町のプリキュアたちの時間を止めていった。しかし時間停止から逃れたプリキュアたちに次第に追い詰められ、もはやここまでとトゲパワワを暴走させて肥大化した上に、今までプリキュアたちに倒されていった怪物たちも復活させる。しかしここで全てのプリキュアが時間停止を解いて集い、55名のプリキュアvs怪物軍団という壮絶な合戦が始まる。そしてトラウムはついに追い詰められ、プリキュア全員とプリキュアに協力してきた者たちの力を合わせた浄化技を受けてついに浄化された。
そして彼が浄化される際、走馬灯に映るはルールーが完成したときの光景。彼こそルールーの開発者、いわば父親的立場だった。彼はふと「あの頃に戻りたい」とつぶやくが、ルールーは「時は戻りません、ですが明日は来ます」と語りかける。そしていつかの再会を約束しあった。……と思ったら突如ビューティーハリーに現れて「ルールーちゃーん、お父さんだよー」と言ってルールーに飛びつこうとする、そして案の定殴られる。
当初はルールーを「心を持つアンドロイド」として開発したものの、徐々に学習していくタイプにしていた為にルールーは常識や力加減を知らず、悪戦苦闘していた。その中でルールーを亡き実子と比べてしまっている事に気付き、ルールー自身と向き合えなくなった事で「失敗した」と呟き、ルールーの記憶を消して彼女の前から消えた。そのためプリキュアたちがルールーの心を開かせたことについては、自分ではできなかったことをやり遂げた彼女たちに嫉妬しており、プリキュアになることを選んだルールーのこともあくまでも「敵のプリキュア」として扱っていた。一方のルールーは記憶が消されながらも、自分が失敗作だからトラウムから捨てられたものだとずっと思っており、捨てたことに文句は言わないが今更父親面されることが理解できなかったために受け入れることができなかった。
それでも普段は奇人変人とはいえ、自分の「失敗したのはルールーに向き合えなかった自分自身」と本心を伝えて和解し、肝心なところでは父親らしさを見せるところがある。一方のルールーもその感情を理解し歩み寄っていく物の、それでも積極的には親子にはなりづらかったりする。なんとも複雑な親子関係、どうなりますか。
ジョージ・クライ/プレジデント・クライ
クライアス社代表取締役社長。不在時は上述のようにまがまがしい顔をしたシルエットの映像が用いられていたが、本来は痩身の中年男性である。物静かな男性だが、目の前の現実に対して無関心で、自分の会社の運営にもあまり関心がない放任主義者。トラウムからも「何もしない男」と表現されているが、目的のためなら手段を選ばない冷徹な一面がある。
ある日はなとたまたま出会い、奇麗な装飾の本を手に「皆が希望にあふれていた『楽園』と呼ばれる場所があったが、そのきらめきは永遠に続かなかった」と告げて去る。以後もはなとあっては詩的めいた隠喩表現な言葉を継げることが多く、まだこの時点では「謎のポエムおじさん」という評価だった。はなは何度か会う内に次第に打ち解けていき、お互いの夢を語り合い、「君は素敵な女の子だね」と褒められた時は顔を赤くするなど、好意的に思っていた。
しかし、ダイガンがトラウムに粛正された直後に現れ、プリキュア達の前でその素性や本性を表すことになる。はなの前に度々現れていたのも、ミライクリスタルを生み出すプリキュアの成長経過を見届ける為で、全員が2個ずつ出現させたのを機に収穫に取り掛かった。彼の目的ははなに語ったように「人々が笑顔を暮らし続ける世界を作ること」だが、「そのために新たな苦しみを永遠に生み出さなくするよう、時間を止めて未来を消滅させる」という、つまりユートピア思想を持った者が行き着いた先にたどり着いたのはディストピアであるという典型的な考えであった。だからこそ未来の時間を奪い、今また現代の時間を奪おうとしている。一度は現代の時間を停止させるも、時間停止の中唯一動けていたはぐたんの存在や、その泣き声に反応して自力で時間停止を解いたはなことキュアエールによってミライクリスタルを取り戻されてしまう。ジョージはそのことに歓喜し、計画を上方修正し自分とプリキュア、どちらが世界に受け入れられるのか決着をつける方針にした。一方ではなは好意的に見ていた大人の男性が敵組織のトップだったことにショックを受け、彼の存在が半ばトラウマ化している。
作中では明言されていないが、実はパップルの彼氏の正体でもある(少なくともパップルは自分の恋人が社長であったことは知らなかった模様)。パップルからは純粋に好意を抱かれていたが、ジョージはジェロスとも関係を持っていた事も示唆されており、最終的にジェロスに乗り換える形でパップルを切り捨てている。また関連雑誌では、はなにとってジョージは初恋の相手だったことも明言されている。つまり結構な人でなし。他人にまるで興味がないが、唯一の例外として野乃はなことキュアエールには異常なまでの執着心を抱いており、はながクライアス社に抗う姿に喜んでいたのも、逆境を乗り越えていくほどはなの心が希望と幸福に満ち溢れ、その状態で時間を止めて永遠の幸せを与えてあげられるという彼なりの愛情からきている。彼がそこまではなに執着する理由とは・・・?
ちなみにプレジデント・クライという名前自体はすぐに決まっていた。社名も「暗い明日」だと容易に分かる。では本名をどうしようとシリーズ構成の坪田文が悩んでいたときのこと。
社長の名前〇〇・クライっていうのは決めてたんですが、とても悩んで。その時、サトジュンさんがポツリと呟いた「常時、暗い」って言葉にピンと来てジョージ・クライにしました。けど、意外とアグレッシブな人です。#precure
余談
なんだかんだでクライアス社側にも人気があったりして、例えばチャラリートに関してはそのイケメンから腐り気味のお姉様方の標的にも人気を博している。また、ビシンの登場が予告されると、前作『キラキラ☆プリキュアアラモード』のジュリオを連想した人が色めきだったりもした。
敵側としては珍しくクライアス社グッズも展開され、例えばプリティストアでは稟議書セットや社員用パスケース、胸に社名背面にクライアス社の社章が入ったTシャツ、リストルさんとスーツ姿のチャラリート君のアクリルスタンドや缶バッジなどが発売。一般発売されているグッズでもクライアス社の社章が前面に入ったTシャツやトートバッグに名刺ケース、オシマイダーになれるオシマイダーTシャツも発売されている。
アニメ以外の分野でもクライアス社の社員がおり、漫画版単行本1巻の描き下ろし作品ではルールー以前に開発されたアンドロイドの少年「HATE-900」(ルールーのように特にペットネーム等は無し。名前の由来はそのまま「ヘイト(憎悪)」か)、ミュージカル版ではチャラリートの後を受けて入社したDJ風スタイルの新入社員パリピーノ(CV:田中健大、名前は「パーティー・ピープル」=「パリピ」から)がいる。
関連動画
東映アニメーションやクライアス社の売り上げに関わるような動画をアップするとリストラされてしまいますよ。
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関連項目
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