概要
制作チーム『水道橋重工』が2年半の期間を費やして作り上げた巨大ロボットである。
クラタスは全高4m、重量4t、油圧駆動の関節が約30ヶ所、人が搭乗可能、自走可能で物も掴める。
左手のガトリングガンからはBB弾を発射できるトイロボットであり、量産機のプロトタイプである。
コクピット内の大型モニターには前方・後方カメラの映像以外にドローン(4軸ヘリコプター)による俯瞰映像も映される。
自走可能となっているが現在の性能はタイヤ走行により整地のみ自走可能となっている。
ゆくゆくは4脚歩行を可能にして不整地での走破性能も上げたいとの事である。
アクチュエーターはほぼ全てが油圧駆動で、電気的に制御している。
材料はパワーショベル等の重機を分解して取り出したパーツ。
小型ロボットのサーボモーターの様に使える油圧アクチュエーターもあるが高価な為、ON/OFF操作しか出来ない様なパワーショベルのパーツを使用している。(センサーを付けると言った制御側の工夫をする事により安物のパーツでも高度な制御を行っている)
ちなみにパーツを取り出すパワーショベル等の重機はヤフオクで入手している。
デザインはvectorworks2009を使って設計したデータをDXFで出力、フリーソフトのJMM-toolでGコードに変換した物を使用したCNCでプラ板を加工している。
クラタスは動きの伴う事から精度を出すために骨格はCNCによるプラ板、外装はパテとプラ板で作成している。
1/1スコープドッグを制作した経験から1/20スコープドッグのプラモデルと比較検討している。(1/1スコープドッグもアトリエにある為、イメージがし易い)
デザインはヤフオクによる調査も行いながら作業しており、フォークリフトのタイヤや油圧シリンダーの選定等も同時に実施している。
ちなみに倉田光吾郎の妄想によるとクラタスはプロトタイプの開発名で、ノーマルタイプはライト級とされている。
今後はミドル級やヘビー級が出てくるんだぜ・・・と、ボトムズっぽく妄想を膨らませている。
両手にブルーティッシュドッグのガトリングに近い装備をしたタイプはクラタスーアサルト・・・と言った妄想も膨らんでいるとか。(倉田光吾郎によるプラ板のモデルは存在する)
水道橋重工のクラタス発注フォームにパイルバンカーがあったりするのはこの影響も強いと考えられる。
クラタスの名前は製作者の倉田光吾郎が『名前はどうすっかなぁ・・・』と考えていたところに友人が色々と送ってきた中から決められている。
その中でも一番ダサい名前がクラタスであり、『オレが田中だったらタナカスかと。とりあえず、これでいいか・・・』として洒落で名付けてしまったところすっかり浸透してしまい現在に至っている。(少し恥ずかしいらしい)
本機はアート作品であると同時にトイロボットのプロトタイプであり、量産機を開発した暁にはサバイバルゲーム等で遊ばれる事を目指している。
価格は1機1,353,500USD(1億数百万円)で水道橋重工公式HPにて発売中!?
クラタスプロジェクトに込められた思いを簡単に言うならば下記の通りとなる。
巨大ロボは日本が作らなきゃ!
そして巨大ロボ時代を到来させるんだ!
現実に買えて乗れる巨大ロボットを個人で作れるのならば、技術力のある日本ならば後に続く技術者が出てくれる。
そうすれば、ASIMOが人型ロボットの先駆けとして大きな影響を与えているように、クラタスは買って乗れるロボットの先駆けとなり、いずれは一般化・・・災害救助ロボットや重機ロボットも作られるようになるかも知れない。
クラタスプロジェクトに込められた思いの詳細は関連リンクの『人が乗って操縦できる巨大ロボット「クラタス」、完成目前の勇姿を公開!』を参照。
水道橋重工
メインメンバー(実機の制作を担当)は2名。
実機を作る上での話として、作るからには量産化したいよね~って事で立ち上げられたのが水道橋重工である。
メインメンバー以外にも法律解釈、イベント実務、PR等を行うために続々と集まってくれた有志により構成されている。
水道橋重工の名前は倉田光吾郎が制作した原寸大スコープドッグの個展会場となった『水道橋』の地名が由来となっている。
倉田光吾郎
日本の鍛冶師・造形作家。
原寸大スコープドッグやカストロール1号を制作した実績の持ち主で、クラタスを作り始めた発案者。
制御系の知識が無かったため吉崎航に声を掛ける。
吉崎航
独立行政法人産業技術総合研究所スタッフにして奈良先端大の博士課程学生。
ヒューマノイドロボットの演技指導ソフト V-Sidoの開発者。
倉田に『オレの巨大ロボ制御しない?』と口説かれてクラタスの制御系を担当する事になる。
経緯
2004年2月後半~3月頃、鍛冶師にして造形作家(金属製のバイオリンやアンティークタイプライターに基板を組み込んだPC等を制作)として活動していた倉田光吾郎が、根性試しとして非稼働ながらも実物大スコープドッグを作り始める。※ブログを公開し始めたのが2004年7月で、正確な開始時期は忘れてしまっている。
2005年4月に実物大ブルーティッシュドッグモドキ(武器腕が逆になっている)が完成する。
2009年、自宅建設をしていた倉田光吾郎は知人からの紹介で2010年ワールドカップ用にサッカーボールを300km/hで蹴れる機械を作れないか?と言うオファーを受ける。
『エンジンを使用してくれ』との条件からバイクのエンジンを利用した模型デザインを提示したが、『エンジンは車が良い』、『最新式っぽいのが良い』、『ロボットっぽいのが良い』との要望が入る。
再度デザインを練り直した倉田光吾郎はエンジン駆動でサッカーボールを蹴り、バッテリー駆動で自走するハイブリッドマシーンのデザインを作る。(カストロールジャパンのイギリス人社長から絶賛を受けたとか何とか。)
2010年、ヤフオクでゲットしたトヨタバッテリーフォークリフトと適当なモーター、ジムニーのパーツを組み合わせて作られたカストロール1号は、紆余曲折を経ながらも完成する。
このカストロール1号はワールドカップPRイベントに登場、時速225㎞のシュートによりギネスに認定される。
本番での紆余曲折、試作品故の細かなトラブルに関しても語られている。
1人で実物大ブルーティッシュモドキを完成させ、自走式キックマシーン『カストロール1号』で手応えを得た倉田光吾郎。
外装が作れるのだから誰かが動力を組み込んで動くようになったりして、これくらいの動くロボがガンガン作られる事になる・・・と考えていたが現実としてはアシモ等の小さなロボしか作られなかった事からある決心をする。
『もう待てないので、オレ作る。』
そして紆余曲折の2年半を経て完成したのがクラタスである。
『デザインコンセプトは量産型、カスタム、夢のマイ巨大ロボ。4mの二足歩行は命が危ないので、四足で。やっぱり、ボトムズの無骨なロボがガツガツ殴り合う感じとか、自分の好きにカスタマイズとか、そんな感じがいい。 』
ワンダーフェスティバル2012にて
ワンダーフェスティバル2012にて展示され、当事者の不安をよそに大観衆に恵まれる。
司会はラジオパーソナリティでタレントのSascha(サッシャ)。
クラタスパイロットはGunn'sのモデルであるアンナ(永江杏奈)。
プロモーションビデオ、乗り方ビデオのナレーション(日本語版と英語版の両方)も行っている。
クラタス公式ソングのタイトルは『STAND BACK』
歌・作詞:Justin DiCenzo / 作曲・編曲 pomodorosa
水道橋重工ツナギとパイロットスーツのデザインは、スタイリストの伊賀大介が担当。
クラタスの追加兵装はCRAFT APPLE WORKSが提供。
実際のデモにおいてはクラタスのハッチが開かない、ラジコンヘリが飛ばなければ映像も送れない等のトラブルが続くことになり、倉田光吾郎と吉崎航を中心としたスタッフはパニックに陥る。
原因として、イベント開始と同時に始まった“観衆によるツイッターやフェイスブックへのアクセス”により電波状況が悪化(近くのブースのwi-fi接続も劣悪になっていた)、ラジコンに対する無線系による操作が出来なくなったとのことである。
また、クラタス本体に関しては無線は使っていないがPCから駆動回路にノイズが乗りまくった可能性が高く、人が少なくなった2回目のデモでは、これらのトラブルは発生せず順調に進んだ。
後日談として、ワンダーフェスティバル2012の当日から250件を超えるオーダーが入り、これに対して受注メールを返信すると焦った外人さんからキャンセルメールが殺到したとの事である。
外人としてはハイセンスなギャグかと思ったら日本人は本気だったでござる!・・・と言ったところであろう。
ワンダーフェスティバル2012出展後の反響
3000件を超える受注メールが来ており、更に受注メールは増え続けている。
同時に焦った外国人によるキャンセルメールも受注メールと同じ勢いで来ているとの事である。
連絡としてはアメリカ、ブラジル、スウェーデン等、意外に思える国からも殺到、下記の様な連絡もある。
アメリカのエアガンメーカーが、自社のフィールド警備の為に買いたいと言った話や通販雑誌に載せたい。
ドバイとか良い感じのところから運搬費用の問い合わせ。
お忍びで観光に来る石油の出る国の王子の見学オファー。(残念ながら解体整備中のタイミングだった。)
取材オファーとしては(対応は出来ていない)
BBC、CNN、ドイツ、ノルウェー等々からアルジャジーラまで。
マジで売れるな・・・と思う反面、あまりにも広範囲からの打診に対応できていないのが実態であり、海外への武器輸出に当たらないか?との確認も含めると現実的に厳しくなっている。
ワンダーフェステイバル2012を経ての今後
そしてなにより、ワンフェスでお披露目をして、)もっともっと、クラタスを作りこみたいという気持ちが大きくなり。
販売という形態を一時中止してでも、もっと作りたい!と。
そして、WFの反響の副産物として、国内製造業の方からのご連絡も非常に多く、、。
クラタスは個人で作りここまで来たけれど、費用も制作環境としてもやはり壁が見えてきて。
日本人の作ったロボスゲーと、海外に言わせたい!という思いも大きかったのだけれども。
こんなやる気満々の製造業の人達の技術を借りて、同じ物を作っただけでも確実に性能はアップする。
個人制作のロボが、日本の技術を借りてブラッシュアップされる。
考えただけで相当ワクワクする。
WFからは、そんなことを考えてクラタスの大改修&ブラッシュ量産機の検討を進めておりました。
個人的にはその機体で、アメリカのカボチャ飛ばし大会に参戦したい。
元々、”面白いから作った”というモノでお金を、、というのは嫌だ!という考えなんだけれども、海外遠征の野望はどーしてもやりたい。
もし、クラタスというか、日本製クラタス海外参戦を応援してくださる、個人、企業がありましたら、今回ばかりはお力を借りたい!
CRAFT APPLE WORKS
クラタスの追加兵装を考えていた倉田光吾郎がロボに付けてみたいとの事で問い合わせメールを送った企業。
“社長に転送したのでお待ち下さい”との返信がきて連絡なし・・・と思いきや30万円越えのガトリングガン(M134 MINIGUN)をポンと送りつけてきた。
後日、正式にアポを取って社長と面会した倉田光吾郎が言うには、電話の感じから“社長としての立場もあり、エアガンの理事とかしつつ、面白い事に貪欲な紳士・・・”と言う想像通りの人物である。
千葉県香取市北に直営店 Gun Shop APPLEを経営しているほか、猟銃や空気銃の販売、サバイバルゲームの運営、通信販売も行っている。
関連動画(カストロール1号)
Castrol1号プロジェクト コンセプトムービー - エンジン駆動フリーキックマシン
カストロール1号 走行テスト - フレームにバッテリーを搭載した車体の走行テスト
testshot - スピードガン計測で200km/hを記録したテストショット
testshot motor - モーターによる試射
testshot engine - エンジンによる試射
時速200km越えキック - 複数アングルによる試射の様子
サッカーボールがぐんにゃり巻きついた! - ハイスピードカメラによる撮影。
testshot - 試作品には危険がつきもの・・・5:00頃の事故で9mm鉄板のカバーが曲がったとの事。
カストロール一号立ち上がりテスト - 走行モードからキックモードにチェンジ
Japan's soccer "kick" machine - 世界で報道される。
カストロール1号プロジェクト最後のご挨拶 Castrol Ichi-GO Project: Final Message
YouTubeで『Castrol1 GO』、もしくは『kogoro1973』で検索。
関連動画(クラタス)
関連商品
- クラタス スターターキット …amazonでも一応売ってる。商品重量4,000kg、発送重量5,000kgという常軌を逸した数値を見られるのはさすがにこのページだけではないだろうか。もちろん購入者の都合で返品しても全額返金は難しい。ちなみに、腕部分はオプション扱いらしい。
- ガレージキットが発売予定? …ワンダーフェスティバル2012で1/24と1/35のレジンキットを販売予定だったが量産に向けた時間の問題で断念されている。
1.24クラタスインスト
yataのブログより クラタス その1
WJ誌のオラザク選手権で常に上位キープの猛者、ぷらもぱぱのブログより クラタスカスタムモデル
原型師、柳生圭太のブログより クラタスWFに現る!! - Web Designing (ウェブデザイニング) 2012年 08月号 …雑誌の表紙を飾る。
- タタキツクルコト 1/1スコープドッグ制作日誌 (ココログブックス) …実物大スコープドッグの話
- Web Designing (ウェブデザイニング) 2012年 09月号 …実物大スコープドッグ時も取材を行ったライターにより、26頁のクラタス特集記事が組まれる。
関連リンク
関連項目
- クラタス
- 倉田光吾郎
- 吉崎航
- 水道橋重工
- スコープドッグ
- カストロール1号
- 伊賀大介
- CRAFT APPLE WORKS
- Sascha
- 永江杏奈
- THE NEXT GENERATION -パトレイバー- ※第1話でクラタスがレイバーとして出演。
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