クリーピーパスタ(Creepy Pasta, CreepyPasta)とは、インターネット上の創作ジャンルのひとつ。「本当にあった怖い話」然とした都市伝説群を総称して言う。
概要
この名前はコピーペースト(Copy Paste)をもじったもので、ジャンルの拡散の仕方が掲示板での文章作品のコピーペーストに因ったことに由来している。
大体の場合はオチで作者が創作であることをバラすが、そこまでは「実際にあった事件」ということを念頭に置くような語り口で物語が進む。用いられる媒体は様々で、もちろん文章で綴られることもあるし、映像作品として作られることもある。その場合は実在の番組やウェブサービスを模した動画がだんだんおかしくなっていくパターンが多い。
4chanやRedditなどの英語圏の掲示板を中心に興隆し、いくつかの集積サイト(creepypasta.comなど)が登場している。最近では日本にも盛んに輸入されるようになり、そのうちいくつかのクリーピーパスタは既にブームを起こしている。また、海外でクリーピーパスタに分類されるような創作怪談が元々日本国内にいくつか存在していたことからそれらもクリーピーパスタに含める向きがあり、それらがとっかかりとなって普及を加速させているように筆者は感じている。
怪談の類ではあるが、このジャンルの傾向として「やたらグロい」「ショッキングな内容」「変に現実味がある」「最初は普通の話だが途中から怪しくなっていく」「第四の壁を破りにくる」「読み手に無力感や絶望感を与える」といった話が多い。故に人を選ぶが、ハマる人はとことんハマるため、ジャンルごと「沼」と形容することもある。
事前に情報のない状態でこれを読んでいる諸兄も、以下の作品名を読めば「あ~~! これをクリーピーパスタっていうのか!!」と分かっていただけるかもしれない。
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説明するより実物を見てもらったほうが早いので、以下に代表的なものを挙げる。
国産(タイトルのリンクから大百科記事に飛べます)
sm666
のっけからニコニコの内輪ネタだが、これも立派なクリーピーパスタ。
ニコニコ動画でsm666に該当する動画は現在再生不可になっているのが、エラー画面でF5を押していくと次第にレイアウトが崩れていき、しまいには動画が再生できるようになる、という都市伝説。
NNN臨時放送
sm666よりこっちのほうが有名かもしれない。「明日の犠牲者」とも。
放送終了後にいきなり人名と年齢がズラッと並んだものがスクロールしていき、最後に「明日の犠牲者は以上です」と表示されるというもので、ここに名前が挙がった人は本番組の翌放送回までに死亡するとされ恐れられた。
この話が流布しだした当初「日本テレビ放送網のネット局で流れているのを見た」と証言する者がインターネット上の掲示板に続出したことから「NNN臨時放送」と呼ばれている。
インターネット上にアップロードされている動画はすべて証言に基づく再現動画で、現物を録画したフィルムはいまだに見つかっていない。見つかりようがないから当然だけど
鮫島事件
日本国尊厳維持局
「日本が戦争に負けた際にテレビで流れるはずだったフィルム」を謳っているクリーピーパスタ。
冷戦期に米軍関係者の指導のもとで製作されたとされる。万が一日本が中国やソ連の侵攻を受けて降伏するような事態に陥った時に、公共団体から国民全員に致死量の毒薬が配布され、敵兵に殺害される前に自死ができるように計らわれる、という旨が述べられているが、これは当然真っ赤なウソ。
淫夢動画の一環として製作されたフェイクビデオだが、コメント欄にはこの毒薬をして「欲しい」とコメントする淫夢民が大量発生しており、戦時でもないのに多くの若者が生き辛さを抱えている現代社会の闇が垣間見られる(適当)。
元ネタはアメリカのLocal58という動画シリーズのひとつだが、これについては後述する。
海外
Slender Man
ゲームになったり映画になったり、有名ゲーム「Minecraft」に登場するキャラクター「エンダーマン」の元ネタとなったりしているため、クリーピーパスタの中でもおそらくかなり有名な部類に入る存在。
異様にひょろ長い身体をした謎の存在で、遭遇した人に恐ろしい運命を与える。
Jeff the Killer
クリーピーパスタ筆頭の知名度があるが、日本では今一つ流行っていない。
長大なストーリーがあるのだが、少年の顔写真とされる画像はよくツイッターなどに貼られていたりするので、その画像だけなら見たことのある人が多いのではなかろうか。
SCP Foundation
通称「SCP財団」。世界中に広がるシェアワールド創作作品群の総称で、いくつかの共通の設定をベースに無数のエピソードが執筆されている。しばしばこの世界の土台や前提に切り込んだ話も執筆されている上、そもそもが実在の財団による秘密の研究や活動の報告書という体裁を取っているため、クリーピーパスタに分類される。
ここ数年で日本でも大ブレイクし、ニコニコにも多くの情報や研究結果が投稿されている。ニコニコ大百科に詳しくまとめてあるので、興味のある方はそちらを参照されたい。
Doki Doki Literature Club!
Steamなどで配信されているPC用のビジュアルノベルゲーム。DDLC、ドキドキ文芸部とも。
一見ギャルゲーだが、プレイしていくうちにだんだん雲行きが怪しくなっていき、次第にゲームと現実の境界が曖昧になっていく。このゲームをプレイした人の中から自殺者も出たという噂もあった。(現在は訂正されている)
このゲームを制作したダン・サルバトは、このゲームのベースには過去に自身で執筆したクリーピーパスタがあると語っている。また本作もプレーヤーにゲーム外の操作を強制させるなど第四の壁を破る仕掛けがなされており、シナリオ・システム共にクリーピーパスタの様相を呈している。
ワイオミング事件(Wyoming Incident)
流布されてからしばらくの間、実在するのかフェイクなのか侃侃諤諤と議論が展開されていた動画。
ニュース番組の放送中にノイズが混じり、突然白黒の画面に「333-333-333」などの文字が並びだし、しばらくすると謎のメッセージと不気味な男性のイメージが交互に出るようになる。動画中でネタばらしされず、実際にネタばらしされるまでに長い期間があったので、この映像の真偽を巡って様々な研究・発掘調査が行われた。
アメリカのワイオミング州で実際に起きた電波ジャック事件とされたが、結局創作だったことが判明。あえなくクリーピーパスタの仲間入りをした。
Local 58
上述した「日本国尊厳維持局」の元ネタと言われているクリーピーパスタ。
Local58という架空のローカルテレビ局で起きた放送事故という体で、様々な怪異が起こる様を動画化している。その映像加工技術は目を見張るものがあり、YouTubeの本家動画では数々の外国人を引っかけて阿鼻叫喚に陥れ、結局オチでフェイクだとネタばらしされても実在の懸念を払拭しきれない視聴者が続出し、様々なサイトで実在可能性について議論が交わされた。
YouTubeにチャンネルがあり、不定期で新作が投稿されつづけている。元々は別のチャンネルのおまけコンテンツだったのだが、あまりにも人気が出すぎてチャンネルを分割、再投稿されている。
exeゲーム
何らかのゲームやアニメなどを基にした二次創作作品で、「元になった作品のキャラクターたちを殺戮していく」という非常に残虐かつ後味が悪い内容のホラーゲーム群。実行ファイル名の末尾に「.exe」という拡張子が付いており、その「.exe」を含めたファイル名自体がゲームタイトルとして広められることが多い。
最初の作品はセガのゲーム「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」の二次創作ゲーム「Sonic.exe」だったという。内容はとてもグロテスク。インターネット掲示板に投稿された一枚のコラ画像から発展していく形で、複数のネットユーザーにより共同で開発された。なので二次創作の二次創作のようなもの。
その後、「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」以外にもマリオシリーズ、マイリトルポニー、けものフレンズなどなど様々な作品のexeゲームが作成されている。
This Man
ニューヨークの精神科に、夢の中に謎の男性が現れるという訴えで来院した患者がいた。その患者の記憶をもとに再現した男性のモンタージュ画像を公開したところ、全世界中の人から「私もこの男を夢の中で見た」という報告が次々に寄せられた。どうやらこの男は、世界中の人々の夢の中に現れているらしい……。
……というストーリー付きで出回った、特徴的な男性の顔の画像が「This Man」。
とあるイタリア人が仕掛け人となって流布されたフェイクであることが判明している。
日本でも比較的知名度の高いクリーピーパスタでもあり、フジテレビ系列で放送されたドラマ「世にも奇妙な物語」で彼を題材にした一編が製作されるほど。
関連動画
関連項目
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