クロコダインとは、「DRAGON QUEST -ダイの大冒険」の登場人物である。
担当声優は銀河万丈(1991)、前野智昭(2020)。
概要
元魔王軍百獣魔団長で「獣王」の肩書きを持つワニ男(リザードマン)。人間年齢で30歳程度。
ワニやトカゲということで緑色や寒色系を予想した人は、カラーイラストでの赤い肌に驚いたのではなかろうか。
アバンの使徒と最も早い段階で戦った軍団長であり、魔王軍から最も早い段階で寝返った人物でもある。
また、「アバンの使徒」の名付け親になったりと設定面における貢献度が大きい。
一行のメンバーの中では最年長クラスという事もある為か、かなりの人格者でもある。
生粋の武人であり、主の為ならその命も厭わない忠義の心を持ち合わせている。魔王軍時代も、その忠誠心を大きく買われていたことがハドラーや他の軍団長の台詞から伺える。
ハドラーに手傷を負わせた勇者ダイに興味を持ち自ら討伐に赴くが、ダイ一行の見せた予想以上の力に思わぬ反撃を受け、敗北を喫してしまう(左目の負傷はこの時のもの)。
このままでは自分の立場がないと焦ったクロコダインは、気の迷いからザボエラの卑劣な策略を受け入れ、ダイの養父・ブラスを人質として利用しダイを倒そうとする。が、ポップの命を賭けた奮闘を見て、我が身かわいさに誇りを捨ててしまった己を恥じ、失くしかけていた武人の心を取り戻した。
竜の紋章を発動させたダイのアバンストラッシュを受けて再び敗れると、ダイたちに男の誇りを思い出させてくれた礼と激励の言葉をかけ、崖から身を投げ死亡した。
…かに思えたが、鬼岩城にてザボエラの用意した蘇生液に浸かり蘇生。蘇生後に魔王軍を裏切り、ヒュンケルに倒されそうになっていたダイの前に現れて窮地を救うも、蘇生が不完全だった事もありヒュンケルに倒されている。
不死騎団の手当てにより完全復活を果たした後は、ダイに敗れて改心はしたものの、身動き取れず溶岩に呑まれそうになっていたヒュンケルを救出。その後にバルジ島の炎魔塔の前で窮地に立たされていたダイの助っ人として参戦。それ以後はダイ一行のメンバーとして魔王軍と戦っている。
また、その際に自分の必殺技の改名を奨められたのをきっかけにバダックと友人関係になっている。
基本的に豪放な人物で、レオナ救出後のパーティ会場ではパプニカ兵士から勧められたワインを樽で飲むという豪快な飲みっぷりを披露した事がある。また、ギャグパートでは魔王軍にいた人物で唯一ずっこけた事もある。
作中屈指の剛力の持ち主で何十mの岩石を軽々放り、巨大な軍艦を片手で持上げるブロックに匹敵する腕力を持つ。だが、それ以上に肉体のタフさが売りであり、防御に全力を注ぐことでバランの真魔剛竜剣の一撃を腕で受け止めたり、同じくバランのギガブレイクを耐えた。その耐久力を生かして敵の攻撃を耐え続けることで自分が倒れようとも後で戦う仲間が楽になるよう敵の力を消耗させる作戦に出たことがあり、実際に上記のギガブレイクをレオナのサポートを受けながら2回耐え抜いた結果、後のダイとの対決での最後の打ち合いにおいて、バランは最大パワーでギガブレイクを打てるほど力が残っていなかった。また最初のバランとの戦いではダイと協力してバランに初めてダメージを負わせて、バランが脅威を感じるきっかけを与えるなど、バラン編はクロコダインが戦闘面で最も活躍したエピソードと言えるだろう。
なお、自分のことを「頭が悪い」と評しているが、咄嗟の機転には定評がある。パワーと巨体を活かしてダイやポップの危機を幾度も救ったほか、真空の斧を使ってポップのメラゾーマ直撃を避ける、最後の最後に狡猾なザボエラのハッタリを見抜いて逆に騙すなど、自分で言うほど頭は悪くない…というよりも、頭脳明晰と思える節がある。おそらく、かつて武人としての道を踏み外してしまったという戒めの意味も込められた台詞なのであろう。
それだけでなく、怪物が人間と一緒に酒を飲むわけにはいかないと遠慮を見せたり、自分の特訓に付きあわせてしまったチウに埋め合わせとして魔法のアイテム「獣王の笛」を与えるなど、周囲への気遣いもできる男である。
特に改心後は、自分が認めた相手を素直に賞賛する描写も多い。勝ち目のない戦いに臨むベンガーナ戦車隊長のアキームを「ひとかどの武人として死なせたくはない」と評したり、ギガブレイクを2発受けて死ななかった事をバランに驚かれた際に「不死身はヒュンケルの代名詞」と謙遜したり、死してなお弟子を導くアバンに「一目お会いしたかった」と願ったり、そういった武人らしい振る舞いとあわせてダイ一行の中でも人格者として描かれている。
同じ元軍団長としてヒュンケルやバランに与えた影響も大きく、魔王軍を裏切った身でありながらもなお、敵味方から一目置かれる存在といえる。
しかしバトル漫画において「巨漢&パワータイプはかませ犬」が通例でありクロコダインもその例に漏れずとなっている。巨体故にスピードがないことと的がでかいため回避能力が低いことが仇となり敵の攻撃をモロに喰らってしまう場面が多い。強敵相手の攻撃は直撃すると彼の肉体をもってしても平気とはいかないため上記の攻撃の喰らいやすさと併せて、クロコダイン「ぐわあああーーっ!!」→パーティー「ク、クロコダイーン!!」というかませのテンプレートが成立した。
また、少年漫画においても「人外+おっさん」というキャラクターは対象年齢的に話の中心にあてがいにくいためか、他の仲間と比べて戦力の向上が感じられるシーン(所謂パワーアップイベント)が少なめで、「最初は強かったが話が進むにつれて周囲に後れを取っていく」というインフレについていけなくなる現象が起こり始める。バーンとの最終決戦においては「戦うまでもない相手」と見なされヒュンケルやマァムらとともに戦うことなく即瞳化されてしまうのだが、その時ポップは「悪いけどおっさんとチウはレベル外ってことか・・・」と推察していた。このセリフだけ見るとクロコダインが実力的に格下だったチウと同列扱いされてるかのように聞こえるためネタにされることがあるが、実際は「おっさんとチウのレベル差自体が相当なものだが大魔王と差があるという点では変わらないから」と補足されている。
とはいえ、「人外のキャラクターで、序盤のボスで、パワータイプ」という途中で脱落しそうな三重苦を背負ったまま最終決戦まで生き残ったというだけで稀有な存在である。
本作エンディングではデルムリン島に移り住んでおり、島の作業を手伝う姿が描かれている。作中では描かれていないが、彼の性格から察するに島に上陸した際にロモス城での非礼をブラスに詫びていそうである。
ガルーダ
大鳥のモンスターで百獣魔団壊滅後もクロコダインに従い要所要所で登場している。
巨体であるクロコダインを持ち上げて飛行できる程の力を持っており、ブレス攻撃も有している。
親衛騎団編では3人同時に運ぶという離れ業も披露しているが、流石にクロコダインも含めて3人同時に運ぶのは彼(?)でもきつかった様で、サババの造船所到着後にノビていた。
それ以降は登場していない為、彼がどうなったかについては定かではない。
主な武器・技など
生粋のパワーファイターであるクロコダインは主にその力を生かした武器や必殺技を使用している。
ここではその数々を列挙、解説する。
- 真空の斧
クロコダインが初期の頃に使用していた斧で宝玉の力により突風を発生させる事が可能となっている。
左右対称の形状を持つ両刃の斧で、クロコダインが全力で振るえば離れた場所の岩壁に大穴を穿つほどの攻撃力も有している。バランの竜闘気により刃が割れてしまった後に竜魔人化したバランにより粉々に砕かれてしまった。 - 新生・真空の斧
無事だった魔宝玉を用いてパプニカの金属で作り直された真空の斧。
左右非対称の形状を持っており、デザインも円形から鋭角的なものに変わっている。中盤以降のクロコダインの武器となるが、バーンのカラミティウォールで宝玉もろとも粉砕されてしまった。
ちなみに、バダックによると正式名称は「帰ってきた真空の斧MARKII」なのだが、長ったらしい為か誰もその名で呼ぶ事は無かった。 - グレイトアックス
ロン・ベルクが製作した「劫火」「爆音」の合言葉でメラ系、イオ系の呪文効果を発揮する両手斧。
クロコダイン専用に作られている為非常に巨大な斧となっており、獣王遊撃隊員のクマチャ以外では持ち上げる事すら困難な武器である。その重量は斧の柄を落とされただけでザボエラの両腕が折れてしまったほど。(クロコダインが柄を踏みつけたのもあるかもしれないが。)
しかし、超魔ゾンビにはまったく通用せず刃が割れてしまいザボエラを倒した以降は使用されなかった。 - 獣王の鎧
クロコダインが着用している鎧。
特別な効果は有していないが非常に重厚に出来ており、クロコダイン以外では装備できない鎧となっている。
初登場時から最後まで愛用した装備となっている。 - 焼けつく息(ヒートブレス)
クロコダインの奥の手で、高熱の息を吐き相手を麻痺させる技。
麻痺させる以外にノヴァのマヒャドで身動きが取れなくなっていたダイ達を助ける際に使用した事がある。 - 獣王痛恨撃(獣王会心撃)
腕に闘気を集中させ、猛烈な竜巻状の闘気流を腕周りから殴るように放つ必殺技。
闘気集中時に腕が2回りほど太くなり、篭手が砕け散ってしまうというケンシロウのような特徴を有している。
但し、中盤以降は砕けない事があるなど、必ずこうなるという訳ではないようである。
バダックから「名前が物騒だから」と改名を薦められ、「会心撃」に改名された。
本家DQの「かいしんのいちげき! は味方側」「つうこんのいちげき! は敵側」のお約束を踏まえている。 - 獣王激烈掌
バルジの大渦内で特訓により編み出した必殺技。
両腕からそれぞれ回転方向の異なる獣王会心撃を放ち、逆回転同士の渦に巻き込んだ相手を引き裂く強烈な技である。作中ではシグマの左腕を引き裂くという活躍を見せたが、真の力を見せたミストバーンには全く効かなかった。
「獣王激烈掌がっ・・・足止めにもならんのかっ!?」はかませ役となってしまったクロコダインを象徴する名言として有名である。
そんな不名誉な技とされていたのが、なんと、『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー2 プロフェッショナル』で新たに追加された特技として登場。敵全体に300以上のダメージを叩きだし、あの「ギガブレイク」をも上回る強力な技となっている。足止めどころか、とどめにすらなりえる強さになった。シナリオで唯一この技を使用するNPCは、クリア後の裏ダンジョンのラスボス「ヒヒュドラード」である。あまりの威力(と「ダイの大冒険」ファンにとってはあまりの懐かしさ)に驚愕したプレイヤーも多いだろう。
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関連項目
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