クロダイ(黒鯛)とは、スズキ目タイ科に分類されるお魚である。平たく言えば黒い鯛。
概要
学名の属名を訳すると「棘のある鯛」となるそうである。背びれが物凄く鋭くて立派。この点はタイよりスズキに似ており、以前は「クロダイはタイじゃなくてスズキの仲間なんだぜ」というのが釣り師のトリビアだった。・・・鯛じゃねぇか。長年騙されてたよ!
一般的にその辺にいるのは20cm~40cmくらいだが、大きくなると70cmを超えるほどのサイズになる。長年に亘り三重県尾鷲湾で釣られた69.5cmという日本記録が破られなかったため、70cmオーバーのクロダイは釣り人の究極の目標の一つでもあった。この記録は後に福岡県船越港での70.8cmに更新され、現在は再び尾鷲湾での71.8cmが日本記録である。
小さい頃は薄い縞模様があり、イシダイと間違われる事がある。成長と共に縞模様は薄れるが、50cmくらいの個体でも縞模様がわかるくらいに残っている場合もある。
極めて珍しい雄性先行型の性転換をする魚で、生まれた当初はほとんどの個体が雄だが、成長するにしたがって両性、雌へと転換していく。つまり、ショタ→男の娘→ふたなり→BBAである。なお性転換せず、雄のまま成長する個体も2~3割ほど存在する。
同時に、出世によって名前が変わる出世魚でもあり、関東ではチンチン→カイズ→クロダイと大きくなるに従って名前が変わる。・・・いや、言いたい事は分かるが、事実釣り師は皆「そりゃ、ずいぶん小さなチンチンだな!」などと防波堤で叫んでいるのだから仕方が無い。なるほど成長すると雌になるのでそりゃチンチンじゃなくなるわけだ。
ちなみに関西ではババタレ→チヌ→オオスケだそうな。オオスケは「大女」が由来で、釣り人の間では60cmオーバーの個体を「ビッグママ」と呼んだりもする。
北海道北部と沖縄地方を除く日本列島、朝鮮半島、台湾の沿岸部に広く分布する。関西にはキチヌという近縁種も多い。主に岸辺に生息し、防波堤、磯、テトラなどで良く見られる。東京湾にも多いことで分かる通り汚い水にもかなり適応し、汽水域にもいる。
甲殻類、貝類を主食とするが、結構なんでも食べる非常に悪食な魚として知られている。スイカやミカンが釣り餌として使われることもあり「フルーツが好きなのではないか?」と噂されることも。
水質汚染が結構酷いような海域でも良く見られ、港湾にも多く生息する。このため、いわゆる陸釣りでも容易に狙うことが出来るのである。
クロダイは海の陸釣りで狙える魚としては大型の部類に属する。しかもタイ科の魚の常として、掛ってからの引きも強烈。走るよりも頭を振ってグイグイと引き込む感じの引きなので、慣れると掛かった瞬間クロダイだとわかる。
さらに食べてもおいしいので、釣りの対象魚としてはこの上なく上物なのである……のだが、前述の通り悪食な上に汚い海にも居る魚なので味や臭いは個体差が結構激しかったりする。そのせいで売り物として扱いづらく、養殖マダイとの競合もあり流通量は少ない。
色々な釣り方があるが、防波堤の岸壁すれすれに餌を落とし込んで釣る「落とし込み釣り」が簡単な釣り方である。餌はゴカイやオキアミ、カニ。岸壁のカラス貝を割って餌にしても良い。最近ではチニングと称したルアーゲームも流行っており、ミノーにも出るがポッパーが主流。たまにエギを追いかけてくるが、この場合はどうしようもない。
他にはフカセ、ダンゴ(ダゴチン)、ぶっこみなど様々な釣り方で狙うことができ、中にはフライフィッシングで狙う猛者もいる。先述した通りの悪食なので、泳がせ釣りや投げ釣りで嬉しい外道として釣れることもある。なお、福岡県船越港での70.8cmはスズキ狙いの泳がせ釣りに食らいついたものだとか。
もっとも、クロダイは警戒心が強く、そうそう簡単に釣れる魚ではない。かなりのベテランでも釣れずに終わる事がままあることは心しておいた方が良いだろう。チンやカイズではなく「クロダイ」が釣れたなら魚拓をとって飾っておく価値は十分にある。
食べ方は塩焼き、刺身が良い。マダイよりも歯ごたえがしっかりして、若干癖のある味である。マダイに比べ少々磯臭い場合が多いので、食味はわずかに劣るとされることが多いか。気になるならあんかけや中華風にするなどの工夫をすると良い。
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