クロノクル・アシャーとは、アニメ『機動戦士Vガンダム』の登場人物である。
概要
ガンダムシリーズ恒例の仮面のライバルキャラ。彼の場合は覆面(防塵マスク)だが。そしてジェリド・メサと並んでライバルポジションを周りに食われた人物としても知られる。
ザンスカール帝国女王マリアの実弟であり、ウッソ・エヴィンを始めとするリガ・ミリティアと度々交戦する。後半ではバイク戦艦アドラステアの艦長となり大虐殺を行った。最後の戦いではリグ・コンティオに搭乗し、ウッソと激戦を繰り広げた末に戦死した。「パイロット」としては優秀だが、「軍人」としては優しすぎたり優柔不断な面があり、その辺もカテジナ・ルースに存在感を食われた要因となる。
シャッコー、専用カラーのゾロ、トムリアット、ゾロアット、コンティオ、リグ・コンティオ、戦艦アドラステアの艦長、更に一時的に奪取したVガンダムや一般用のゾロと、かつてのジェリド・メサばりに様々な機体を運用しているのも特徴である。ウッソやカテジナはともかく、マーベットやオデロ、ファラにピピニーデンといったキャラクターの記事が作成されていたにも関わらず、2022年まで記事が無かった不遇の人である。
本編開始前
ザンスカール帝国女王のマリア・ピァ・アーモニアの実の弟。苗字が違うが、おそらくマリアを女王に祀り上げたカガチらによって名を変えさせられたものと推測でき、アシャーが実の苗字なのだと思われる。一方、小説版ではマリアの旧姓は「カリン」とされる。
姉弟はサイド2のアメリア・コロニー(小説版ではサイド1のアルバニアン・コロニー)で暮らしていた。小説版ではこの過去が描かれており、親がいなかったのか貧しい暮らしをしていたようで、若き日のマリアは娼婦に身を落として生活費を稼いでいた。この時期にマリアはシャクティ・カリン(小説版における本名はアリシア)を妊娠・出産する。シャクティは褐色の肌であるが、クロノクルの回想ではマリアの客に有色人種はいなかったとされ、謎に包まれている。とはいえマリア、クロノクル、シャクティの3人はしばしの間、貧しいが幸せな生活を送っていた(アニメ版では父親らしき人物とマリア、クロノクル、シャクティの4人が映った写真をシャクティが持っているが、小説版ではそうした描写は無い)。
ところが(小説版によればシャクティを妊娠した頃から)マリアは突如として治癒能力を覚醒させる。そしてサイド2で占い師として人々を癒し、小さな教団を作るようになった。これにフォンセ・カガチが目をつけると、4歳のシャクティを捕らえて人質として攫って地球に送り、自らはザンスカール帝国を建国。マリアは女王に祀り上げられれるが、権力はカガチが握っており、傀儡でしかなかった。(アニメではマリアがシャクティに害が及ばないよう、自ら地球に送ったとされている)
こうして突然「女王の弟」になってしまったクロノクルは、姉を守るべくザンスカールの士官学校に入学して軍人の道を歩むことになる。「姉の七光り」として扱われるのを嫌い、実力で評価されることを望んでいた。当初は試作機を奪われるなど失態も犯したが、物語が進むにつれて実績を上げてゆき、終盤では作中屈指の強敵と化す。だが「女王の弟」という枷からは逃れられないまま、戦いに身を投じることになる。
物語前半
第1話から登場。生粋のスペースノイドらしく地球の埃を嫌っており、目だけを露出させた防塵マスクを付けている。「アシャー」は「シャア」の逆だという説もあり、シャアが仮面で目を隠していたのとも真逆といえる。なお、宇宙でもマスクを付けていたこともある。
ザンスカール帝国軍「ベスパ」の地上侵攻先発隊「イエロージャケット」の一員であり階級は中尉。試作モビルスーツ(MS)シャッコーのテストパイロットをしていた。そこでリガ・ミリティアのマーベット・フィンガーハットと遭遇し、彼女の乗るVコアファイターを追っていたところに、偶然パラグライダーで飛行していたウッソ・エヴィンと衝突した末に機体を奪われるという失態を演じる。だが、専用カラーのゾロで再出撃してシャッコーの奪還に成功した。
再度ゾロで出撃するとウッソに撃墜されてしまうが、混乱に乗じてリガ・ミリティアのアジトに潜入し、ウッソたち「カミオン隊」のリーダーであるオイ・ニュング伯爵と、カミオンに同乗していた民間人カテジナ・ルースを拉致することに成功する(カテジナに関しては「保護」という扱い)。この時、戦災孤児のスージィ・リレーンが寝ぼけてその場でおしっこをしそうになったのを見て「トイレはそこじゃないぞ」と導いたり、落盤に巻き込まれそうになったスージィを助けたりと「良い人」の一面を見せている。
伯爵は地上指揮官のファラ・グリフォンの独断により、テレビ中継による公開処刑でギロチンにかけられるが、これはリガ・ミリティアを始めとした反ザンスカール勢力の結束を強めるという逆効果に終わった。クロノクルもまさか伯爵がギロチンにかけられるとは思っていなかったようで、上官であるファラに抗議するなど、ここでも「良い人」の一面を見せている。
その後、イエロージャケットの補充要員として士官学校時代の先輩アルベオ・ピピニーデン率いる部隊、通称「ピピニーデン・サーカス」と合流。戦闘の中で一時Vガンダムを奪取するが、すぐに撃墜され放棄している。アーティー・ジブラルタルの攻防戦ではトムリアットに搭乗して、指揮官のファラが乗るモビルアーマー・リカールの護衛をしていたが、リカールが撃墜されそうになるとパイロットのメッチェ・ルーベンスがファラを脱出させてクロノクルに託したため、ファラを乗せたままトムリアットで宇宙へと上がった。カテジナもシャトルに乗って宇宙へ上がる。
舞台が宇宙に移るとタシロ・ヴァゴの命で大尉に昇進するが、ファラは宇宙漂流刑に処される(これはタシロの芝居で、ファラは漂流中のところを極秘に回収されている)。またカテジナを秘書のような形で扱い、やがて恋人関係になっていくと共に、パイロット訓練を受けさせるようになる。宇宙では当初ゾロアットに乗っていたが、やがて試作段階だったコンティオを与えられ乗機とし、後には少数量産されたコンティオ部隊を率いて戦うことになる。カイラスギリー攻防戦では主砲「ビッグキャノン」の照準を変えて、帝国本拠地アメリア・コロニーへの被害を防いだ。またビッグキャノンに時限爆弾を仕掛け、それを解除しようとしたシュラク隊のジュンコ・ジェンコを爆死させている。(この攻防戦でカテジナが初陣)
カイラスギリーを奪われるとタシロ共々帝国本国に戻る。時同じくして、リーンホースに密航していたが、艦の損傷で宇宙に投げ出されて漂流していたシャクティやスージィがザンスカールに回収・保護される。再会したシャクティが自分の姪の成長した姿であることに驚愕することになる。また、シュラク隊のペギー・リーを戦死させている。
物語後半
数々の功績を上げた事から「地球クリーン作戦」を行うバイク戦艦こと「モトラッド艦隊」の司令官に任命され、旗艦アドラステアの艦長となる。これ以降は最終決戦までMSパイロットを務めることは無くなる(代わってカテジナさんがパイロットとして活躍するようになる)。またこの際、立場の逆転したピピニーデンが配下となった。(ピピニーデンもクロノクルも大尉でピピニーデンの方が先任だが、艦隊司令官になったことで昇進しているのかもしれない)
当初の優しさはどこへいったのか、地球に降り立つとバイク戦艦で物も人間も全て踏みつぶす地球クリーン作戦を進めていく。だが、ピピニーデンの部下ゴズ・バールがウッソの母ミューラ・ミゲルを人質に取る作戦をとった際は不快感をあらわにし、それまで尊敬していたピピニーデンのことを「見下げ果てた先輩」と吐き捨てるに至った。そしてゴズ・バールとミューラが悲惨な死を遂げると「胸糞の悪い……もうあの男を先輩などと思わん!」と再び不快感を露わにする。そういうクロノクルも地球クリーン作戦という大虐殺をしているのだが……。この直後、ザンスカール帝国と地球連邦の間で停戦が結ばれた為、宇宙へと上がる。
宇宙に戻ると、帝国の第一艦隊といえるズガン艦隊と共に、エンジェル・ハイロゥの護衛にあたる。また最後の乗機となるMSリグ・コンティオを与えられている。だがこの頃になるとカテジナさんが指揮官に昇進してますます活躍するようになり、ぶっちゃけクロノクルの影は薄い。だがこの頃から次第に野心を見せ始めるようになり、帝国首脳陣たるフォンセ・カガチとタシロ・ヴァゴに水面下で溝が出来始めると、その両派閥と関係を築きつつ、姉を利用するカガチ打倒をも考え始める。が、性根の優しさや優柔不断さが災いしてこれらの工作はあまり上手くいかず、姉のマリアからも「小さな人間」と散々な評価を受けている。そしてこうした中途半端な行動はカテジナの不信感を募らせ、彼女はさらにおかしくなっていく。
エンジェル・ハイロゥを巡る最終決戦では艦隊を部下に任せ、リグ・コンティオで出撃する。が、ここでも新型MSゴトラタンに乗ったカテジナさんがシュラク隊の生き残り4人を全員戦死させるなど大暴れしており、存在感を食われてしまった。ちなみに小説版ではゴトラタンのカラーリングを見て、カテジナの「アソコ」の色を思い起こすといった珍場面(?)も存在している。
最後はカテジナが見守る中(カテジナ曰く「勝った方を愛してあげるよ」)、ウッソとの一騎打ちとなるが敗れ、機体のコントロールを失うとエンジェル・ハイロゥを転げ落ちてゆき、その途中でコックピットのハッチが開いて生身で外へと投げ出された末に、エンジェル・ハイロゥのブロックに頭から落下するという悲惨な死を遂げる。
落下するクロノクルの最期の言葉は「助けてよ、マリア姉さん……」というものであり、助けを求めたのがカテジナではなく姉・マリアだったことは、カテジナの精神に更に悪影響を及ぼすことになる。なおモトラッド艦隊はリーンホースの特攻で全滅した。
最終決戦ではウッソとの戦いの中、ウッソの「あなたの弱さがカテジナさんを迷わせたのが、まだわからないんですか!」という問いかけに対して放った「お前のような少年に何がわかる! 女王の弟にされてしまって、カガチなどとも戦わなければならなくなったこの私の苦しみが!」という余裕のかけらもない台詞が、彼の不幸な運命と能力の限界を物語っていると言えるだろう。またこのやり取りでは前述のウッソの問いかけ自体も、彼は彼で"年頃の男女が惹かれ合う事を理解できず、カテジナが自分の思い通りにならないもどかしさをクロノクルにぶつけている"という一方的な感情が読み取れ、不幸になるべくしてなった三角関係と言えるのかもしれない。
漫画版
ボンボン版ではカテジナさんが登場しない為、ラスボスとなる。マリアの死を聞くと血の涙を流し、ドッゴーラ改で激戦を繰り広げた末に「電子レンジに入れられたダイナマイト」にされて爆死している。
ゲームなど
「スーパーロボット大戦シリーズ」ではVガンの強敵キャラクターとして登場するが、Vガンの参戦頻度が低いのが悲しい所。『新』のみニュータイプに覚醒するが、他作品ではオールドタイプ。条件を満たせばカテジナと一緒に自軍参入してくれる作品もある。
関連動画
関連項目
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アスラン・ザラ
- アムロ・レイ
- イオク・クジャン
- アーノルド・ノイマン
- キシリア・ザビ
- シャア・アズナブル
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