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クローン病とは、特定疾患Crohn’s Disease(通称:CD)という消化器の難病である。クローン病の名前はブリル・バーナード・クローンという内科医が発見した事から、クローン病と名づけられた。そのため日本ではクローン氏病ともいう。
概要
消化器の病気であり、主な症状に、腹痛、下痢、発熱、体重減少、痔瘻などがある。症状が現れる範囲は口から肛門までの消化器全体にわたり、その中でも特に小腸や大腸に起きることが多い。腸に起きた場合、患者は潰瘍ができたり、狭窄、つまり腸が細くなったり、瘻孔(ろうこう)と言って腸に穴が開いたりといった症状に悩まされる。また、CRPが高めで、基準値の範囲とされる0.3を軽く超える患者が多い。
また、色々な合併症が起こったりする(例:足が火傷の様な炎症を起こした患者がいたり、TVで失明したクローン病患者が紹介されたりしている)。主な治療は点滴による絶食や薬物治療、そして外科的治療である。
発症の原因が判明していないため、現在のところクローン病は完治しない。手術を行っても、その部位から再燃(再発のこと)する確率が高く[1]、一生付き合わなければならない病気。といっても、症状には寛解期(症状が落ち着いている)と活動期(症状がみられ、また悪化している状態)があり、治療を通じて寛解期を長く維持し、再燃を防ぐことができる。
脂質など[2]に注意する必要はあるものの、寛解期には健常者の食事と比べ見劣りしないものを食べられる。また、最近では通販等でクローン病食を購入することもでき、QOL(日常生活の質)は一昔前に比べるとかなり高い状態で保てる。[3]
ただし、食事がかなり難しい病気であるため、狭窄がひどい時や手術を何度も行っている患者は、やはり点滴か栄養剤を中心に生活をしたほうが良いと思われる。
薬物治療として、プレドニン(ステロイド)やレミケードという免疫抑制剤が使用される(薬ということで、個人差はある)。
若い時期に発病しやすい。
今でもまだマイナーな病気であるが、10年以上前はさらにマイナーな病気で、病院でもクローン病と診断されず、誤診を受けた患者も珍しくない。[4]
医療の発達した現在では、クローン病自体が原因で死亡することはあまりないが、それでも合併症や手術ミス、薬物を多量に使用などの原因で亡くなった方や危険な状態に陥った方たちはいる(「ドクターコト」という漫画でプレドニンの多量使用によって亡くなったという話があるが、これはフィクションである)。
上記にも書いたが、様々な合併症が起こり亡くなった方もいる(下記に記載されている「ポルターガイスト」に出演したヘザー・オルークは亡くなる前にはパンどころか栄養ドリンクさえ口にすることが出来ず、母親が指先が青く、さらに冷たくなっていることに気付き救急車で運ばれたが、心肺停止により搬送先の病院で、12歳の若さで亡くなった)。
下記に書かれている映画「霧の子午線」にはクローン病によって余命間もないクローン患者が登場するが、もちろんフィクションである。
クローン病患者の有名人
アメリカ合衆国34代大統領アイゼンハワー氏もクローン病だった。
また、映画「ポルターガイスト」でキャロル・アン役を演じたへザー・オルークもクローン病患者である(上記に記載されているように、12歳の若さで死去。余談であるが、この映画のキャスト4名(彼女を含む)と、監督1人が亡くなっている)。そのため「ポルターガイスト」の呪いとか言われている。
ミュージシャンでもこの病気を患う人は少なくなく、アメリカでは2002 FIFAワールドカップ公式ソング「Boom」で知られる女性歌手のアナスタシア、Symphony Xのベーシストのマイケル・レポンド、RIOTのマーク・リアリが挙げられる(マークはクローン病の合併症によるくも膜下出血で2012年に死去)。
プロレスラーのジョージ・スティールもクローン病患者であり、1988年に引退した。
タレントの山田まりやもクローン病であると診断されたが、5年前から症状が出なくなったことから確定診断には至らなかった。
niconicoに関連が深い人物としては、ニコニコ動画の動画投稿者でありプロ漫画家でもあるmakotoji氏が、2013年にクローン病を患ったことを公表している(下記「関連漫画」の項も参照)。
薬物問題(もちろん一部の患者のみ)
非麻薬系の強い痛み止め(ソセゴンやレペタンなど)を使用する事が多く、薬物中毒になる患者もいる(もちろん一部の患者だけである)。
霧の子午線(映画)
1996年公開の日本の映画「霧の子午線」にクローン病で余命まもない、沢田八重(吉永小百合)というクローン病患者が登場している。
関連漫画
makotoji氏によるクローン病の闘病記。
関連商品
関連項目
脚注
- *手元の資料によると60ヶ月以内の再手術率は38%。
- *一日の摂取量が30グラムを超えると再燃率が高くなることが明らかになっており、病院によって差はあるものの、概ね25グラム以下に抑えるよう指示があったり、パンフレットに書かれている。
- *ただし、一日の摂取カロリーの半分を成分栄養剤(エレンタールなど)で補ったほうが、再燃率は半減する。
- *下痢などが主な症状のため、過敏性腸症候群などストレス要因の病気と誤診されるなど。
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