グエル・ジェタークとは、テレビアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の登場人物である。
概要
アスティカシア高等専門学園のパイロット科3年。学籍番号KP001。ジェターク寮所属。ピンクの前髪が特徴的な、体格のいい青年。
ベネリットグループ内御三家企業ジェターク・ヘビー・マシーナリー(ジェターク社)CEOヴィム・ジェタークの息子。学園のエースパイロット「ホルダー」であり、ミオリネ・レンブランの婚約者。「会社もミオリネも全部手に入れてみせる」と堂々と宣言する野心家。所謂「家柄と自身の技量で幅を利かせる傲慢な御曹司」といったキャラクター。同学年の腹違いの弟 ラウダ・ニールや下級生のフェルシー・ロロ、ペトラ・イッタをよく連れている。決闘委員会のメンバーでもあり、シャディク・ゼネリやエラン・ケレスと並んでいることも多い。
作中では専用にカスタムされたMS ディランザで決闘を行い、悪口を言った生徒を倒している。「ホルダー」(決闘者の中で最優の者)であることからもエースとしての実力は申し分ないと思われる。しかし、婚約者のミオリネは彼の指示に従わないどころか、脱走まで企てる始末。説得に応じないミオリネに苛立つグエルはついに器物破損という形の暴力での解決を試みる。その行動を非難する自分を「横恋慕さん」呼ばわりした編入生 スレッタ・マーキュリーに尻をひっぱたかれ、やってはいけないこととビビりながら言ったスレッタに対して冗談交じりで「文句があるなら俺に決闘で勝ってみせろ」と言ったことがきっかけで、スレッタと決闘をすることに。エースとしての自信にあふれるグエルは「田舎者に負けるわけない。瞬殺してやる」と敗北フラグを立てる豪語する。
だが、ミオリネがスレッタに無断でガンダム・エアリアルに乗り込み、決闘に参加。グエルにミオリネが敵うはずもなく、グエルは「立場をわからせる」「(ミオリネは)所詮トロフィー」など非道な言葉を吐きながら攻撃を続ける。そこへ駆けつけたスレッタがエアリアルに乗り込むと、戦況が一変。ビーム射撃はガンビットが合体したシールド「エスカッシャン」で防がれ、格闘を仕掛けようとするもガンビットの一斉射撃を受け、グエルのディランザは無残に四肢をもがれ敗北してしまうのだった。
揺れ動くグエルの人生
言ってしまえば主役ガンダム御披露目の噛ませキャラなのだが、御曹司、エース、自信家と一見強そうな要素(つまり噛ませフラグ)の盛り合わせっぷりに、ガンダム00のパトリック・コーラサワーを思い出した視聴者も多かったようである。実際に、第一話の放送日には、当大百科では『水星の魔女』の項目と一緒に、『パトリック・コーラサワー』の記事がトレンドに登っていた。
また他に劇中で見られる要素には、歴代ガンダムシリーズのオマージュがかなり含まれる。赤く(っていうか赤紫かピンク)に塗装された専用カスタム機に搭乗するというポイントに加え、セリフも「勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず」「田舎娘の無知を、修正してやるっ!!」など聞き覚えのあるものがチラホラ混じる。また、件の決闘のルールも、モビルスーツの頭部ブレードアンテナを折られた者の敗北という既視感のある内容だったりする。
父ヴィムからはベネリットグループでうまく立ち回るための手駒として扱われている節があり、例えば
- スレッタとの決闘に敗北した際は「会社の信用を無くす」という理由で叱られる。
- スレッタの勝利は無効、決闘はやり直しにされる。
- リベンジに燃えるグエルを信じるどころか、勝つために手段を択ばず最新MS、意思拡張AIによる補助、スプリンクラーによるビーム兵器弱体化などのお膳立てをされる。
など。このため、グエルは彼自身よりジェターク社を優先するヴィムには不満を抱いている様子。ミオリネの菜園を荒らしたのも彼女に「父親のいいなり」だと煽られた後であり、親に振り回されているという点で二人は似た者同士なのかもしれない。言い争いが絶えないのも同族嫌悪ゆえなのかも。
2度目の決闘ではスレッタの純然たる思いに少し心惹かれたのか、決闘直後にスレッタと面と向かいつつ膝を下して「俺と、結婚してくれ」と思わず言ってしまう。突然の告白に混乱したスレッタはそのまま飛び去ってしまうのだが、その後の学園内でミオリネ謝罪に出向いた際、きつい口調は変わらなかったが視聴者からは気持ちの裏返しと思われてしまうのであった。
3度の決闘での敗北により(3度目は謹慎中の決闘)父から絶縁を言い渡された。(せめてもの情けで卒業までの学費は払うらしいが)ジェターク寮から追い出され、誰かの助けを請うことなく寮のことをラウダに託し、学園内の森林で一人野宿生活に突入。その間、他学生から詰られることもあった。
野宿生活の最中、シャディク・ゼネリからグラスレー寮への誘いを受けたが一蹴。その後地球寮とグラスレー寮の集団戦が行われることとなり、スレッタから助っ人の誘いを受けるものの、「決闘は親父に止められている」と断ってしまう。これでも父親の意思は尊重していたようだが……
そして父ヴィムによって学園からの退学通告を電話で受けることに。一応、子会社にポストを用意してヴィム自身の仕事の仕方を学ばせる機会を用意するということでその後のルートは用意されていた。しかし、実質的に対話無しで従わせようとする一方的な父から連絡を受け、グエルの取った行動は……ミオリネが何度もやって失敗した学園からの脱出であった。
2か月後、グエルはボブという偽名を使い作業員として働いていた。ある日、プラント・クエタへの搬入作業に参加することになったが、移動中に乗っていた宇宙船がテロリスト「フォルドの夜明け」の襲撃を受けてしまう。テロリストの目的はあくまでデリング・レンブランの暗殺だが、宇宙船をテロリストに制圧され、従業員共々囚われの身となったボブ(グエル)は……
そして戦場で……
【注意】第12話のネタバレが含まれます。
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フォルドの夜明けと守備隊らによる戦闘の最中、宇宙船が攻撃を受け収監されていた部屋のロックが解除された。そして、テロリストの会話からスレッタがプラント・クエタに居ると推測。部屋を抜け出したボブ(グエル)はテロリストが所有していたジェターク社の旧型MS・デスルターを奪い、プラント・クエタに向かおうとする。
しかしここで、1機のディランザ・ソルから襲撃を受けてしまう。咄嗟に「敵じゃない!俺はグエル・ジェター……」と名乗るが、テロリスト側の通信妨害のせいでその声は届かず、敵の攻撃は続く。
単騎の戦いでは性能差でデスルターが不利、その上これは決闘ではなく本物の戦闘である。死と隣り合わせの戦場で彼は思わず「死にたくない……!」と涙する。
それでも、元ホルダーの腕前を十分に発揮。接近戦に持ち込んだ末、メインカメラを犠牲にブレードで敵コックピットを貫いた。
敵機の無力化を確認したグエルは接触通信で相手との通信を試みる。しかし……
「お……俺だ!ヴィム・ジェタークの息子、グエル・ジェタークだ!敵じゃな……」
「グエル……か?」
ディランザ・ソルに乗っていたのはヴィムであった。
グエルはヴィムを助けようとするが、ディランザ・ソルとの通信は途切れ、無音で爆散してしまう。
そしてグエルは父親を殺害したことに気づき、ただ1人慟哭するのだった。
帰還、そして再起へ
Season2でも相変わらずフォルドの夜明けの人質となっており、地球の本拠地で囚われていた。そして、捕まったことによるダメージよりも、先の件で飲食を拒む位に精神的なダメージを受けていた。
地球の少女・シーシアからジェターク社が潰れるという話を聞くと一転、弟や仲間、会社のことをオルコットに尋ねようとする。しかし、フォルドの夜明けを制圧しようとベネリットグループの地球駐留部隊が放ったミサイルの衝撃で生き埋めになってしまう。
何とか抜け出せたグエルだったが、そこには致命傷を受けたシーシアの姿が。彼女を助けようと急ぎ動く最中、空から落下したプロドロスのコックピットに搭乗。上昇時の閃光が結果的にオルコットを助けることとなる。しかし、この時点でシーシアは絶命していた。
人質の身から解放されたグエルは、地球から宇宙に通じる軌道エレベーターを経由して学園に帰還。新CEOのラウダと再会するのだった。非合法の手段で地球に連れてこられたと思われるが、そこからどうやって戻ってこれたのか気にしてはいけない。
Season1から学園復帰に至るまで、コーラサワーどころか他のガンダム作品なら主人公レベルのムーブをしているグエル。ここから、更に躍進をすること。
復学したグエルはラウダから代表の座を引き継ぐと、スレッタと再会。亡き父との繋がりである会社を立て直すことを誓う。そして改めてスレッタに告白。振られてしまうが、自身の心中を伝えることが出来た。
それを見ていたミオリネがスレッタとグエルの決闘を提案。両者は承認するも、その裏でミオリネから「提案」を持ちかけられ―――
4度目の決闘はジェターク社の再起を懸けたスレッタとの再戦(3戦目)。
ハサミとバリカンで髪を切ったグエルはプライドだけでは勝てない事を悟り、父の残したAI補助を受け入れつつダリルバルデで挑む。戦いの中でPTSDを乗り越え善戦するも、スレッタに自身のドローン兵器を乗っ取られ後が無い状況に。パーメットスコア7に到達したエアリアルに止めを―――刺して逆転勝利。遂に、1話で言及した「会社もミオリネも手に入れる」を彼女の誕生日に果たすのだった。
とはいえ、グエルのジェターク社再起もミオリネの総裁選も道半ば。2人は現状を打破すべく、地球へ向かうことを決意する。一方で、父が密かに残したガンダム・シュバルゼッテの存在も知る。
地球ではドミニコス隊司令であるケナンジ・アベリー同行の下、「フォルドの夜明け」に居たセド・ワンチュクと合流。セドとケナンジの会話から、プラント・クエタやランブルリングでの事件の黒幕がシャディクであることを突き止める。
ミオリネよりも先に地球に出たグエルとケナンジは、途中シャディク隊の足止めを受けつつも、これを制圧。サリウスも救出し、ミオリネが新総裁となった。
しかし、裏で起きた地球と学園の惨劇によって、宇宙議会連合はグループ解体を決定。更にプロスペラ・マーキュリーがクワイエット・ゼロを始動したことで3陣営による大規模な戦闘が始まる。
ミオリネは自分のせいで多数の犠牲者を出したと自責の念に駆られ、部屋に籠ってしまう。
この状況を解決出来るのは、トマト部屋の一件で踏み入ることの出来ないグエルではなく、スレッタだった。
ミオリネとの面会を求めるスレッタに対し、グエルは改めて決闘することを提案。
作中で初めてMS戦以外での決闘(フェンシング)をすることとなる。アムロとシャアかな?
結果はスレッタの勝利、グエルはホルダーの座を譲ることとなる。
そして、逃げないことを決めたミオリネはクワイエット・ゼロとの決戦に挑むことを決意。
グエルも自身のディランザに搭乗するが、突如シュバルゼッテからの襲撃を受ける。
しかも、乗っていたのは―――
「まだあの女にとらわれているのか、兄さん。」
【注意】第23~24話のネタバレが含まれます。
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だが、思わぬ形でこの対決は誰も犠牲になることなくおさまった。→詳細は二人共バカなんすか!の記事へ
フェルシーのディランザに相乗りしたグエルはデータストーム障害で失神してしまったスレッタを救援。そしてフェルシーからディランザを借りて再びクワイエット・ゼロに向かわんとするスレッタを護衛。あとはスレッタとエリクトの起こしたパーメットスコア8を超える現象とそれによる巨大なデータストームを目撃。クワイエット・ゼロがパーメットの粒子になって消滅するのを見届けた。
3年後、体を癒やす恋人ペトラの側にいることを選んだラウダを見送りつつCEOとして一人奮闘するグエルの姿があった。業務提携相手であるブリオンのCEOエラン・ケレスと直属秘書セセリア・ドートの経営手腕に圧倒されつつも彼の会社再建への道は続く…。
搭乗MS
ジェターク社御曹司というだけあり、ジェターク社製MSを操る。
なお、本編で搭乗したMSの数は4種類(仕様違いも含めれば6種類)。作中のキャラでは最も多くのMSに搭乗しており、戦闘シーンではどの機体でも見せ場がある。
ディランザ(グエル専用機)
ジェターク社の汎用MS ディランザをグエル用にカスタムした機体。色は鮮やかなマゼンタに塗装され、頭部にはカブトムシみたいなアンテナと羽毛の装飾が施された派手な機体。通常のディランザの装備である”ビームライフル”と”ビームトーチ”に加え、両肩の”スパイクシールド”やビーム刃の槍”ビームパルチザン”を装備している。
第1話
当初はミオリネがエアリアルに乗っていたため、優勢だった。
しかし、途中でスレッタに代わった後、ガンビットの餌食になり敗北。容赦なく細切れにされた。
第22話
宇宙船の護衛をしていた所、襲撃してきたシュバルゼッテと交戦する。
ダリルバルデ
鮮やかな朱色に塗られた、ジェターク社の最新MS。意思拡張AIを用いたドローン兵器を多数装備、さらに足先はアンカークローになるなど多種多様な装備を持つ。どうみても第2話で出てくるようなギミックのMSじゃない。
第3話
スレッタとの決闘(2戦目)で使用。拡張AIにより自分のパイロットとしての技術を否定される形になってしまったグエルとの精神的な相性は悪かった模様。決闘の場ですら会社に仕組まれたものであったのを知り、最終的に物理的にAIを切断し、自分の操作技術でスレッタとエアリアルに立ち向かった。
第17話
スレッタとの決闘(3戦目)で使用。以前とは対照的にミオリネが仕組んだ決闘の場にて、父が残した拡張AIを活用。このAIがメンタルが万全でなかったグエルを支えることになる。
窮地に追い込まれほぼコマ切れ状態となるも、残った右腕でエアリアルのブレードアンテナを切断した。
第20話
シャディク隊との戦闘(決闘仕様)で使用。リミッターを解除したミカエリスに対して善戦。レギュレーションの差や敵のコンビネーション、更に父の真相と自身の罪を告げられるも、それを受け入れた上で戦った。最終的にダリルバルデは全壊するも、ドローン兵器による攻撃でミカエリスの四肢を切断する。
ディランザ (ラウダ専用機)
使える機体がなかったため、勝手にラウダの機体を使用した。グエル機とチューニングは違うものの、乗りなれたディランザ故か使いこなしていた。が、対戦相手のエランは未知の新型「ガンダム・ファラクト」を出してきた結果、結局コマ切れにされた(しかもエアリアルと違いじっくりと嬲られる)。
デスルター
ジェターク社の旧型MS。フォルドの夜明けが所有していた機体を盗みプラント・クエタに向かおうとした。グエルが初めてMS同士の実戦に用いた機体である。
プロドロス
HMI(ハヌマット・マニュファクチャリング・インダストリー)製モビルスーツで、フォルドの夜明けが運用。グエルがシーシアを担いでいた際に落ちてきたMSで、彼女を助けるために搭乗。
ディランザ(一般機)
第24話(最終話)
余談
- 総集編にあたる「まだ間に合う!『機動戦士ガンダム 水星の魔女』スペシャル特番」(第1話~第6話)にて、グエル役の阿座上洋平がナレーションを務めたが、途中何度かグエル本人が憑依しているかのような台詞を言い、視聴者を驚かせた。何だこの原稿は!?
- TBSドラマ『王様に捧ぐ薬指』第7話にて、何故かグエルが出演している。さすがに本人ではなく、現実同様作品のキャラクターとしての登場だが、こちらも水星の魔女ファンを大いに驚かせることとなった。
関連動画
関連静画
関連項目
- ガンダムシリーズの登場人物一覧
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
- アスティカシア高等専門学園
- スペーシアン
- ディランザ / ダリルバルデ
- スレッタ・マーキュリー
- ミオリネ・レンブラン
- ヴィム・ジェターク - 父親
- ラウダ・ニール - 異母兄弟の弟
- フェルシー・ロロ - 取り巻きの1人
- ペトラ・イッタ - 取り巻きの1人
- ケナンジ・アベリー - ドミニコス隊の元エースパイロット/現司令
- オルコット
- シーシア
- 決闘委員会
- 何だこの原稿は!?
- パトリック・コーラサワー - ガンダム00第一話かませキャラだが、後に魅力的なキャラとして大成した
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