グエン・バン・ヒュー(Nguyen Van Thieu)とは銀河英雄伝説に登場するキャラクターである。
CV.小室正幸(石黒監督版OVA)、三宅健太(Die Neue These)。
概要
階級は准将→少将。座乗艦はマウリヤ(石黒監督版OVAではマウリア)。ヤン・ウェンリーの指揮下にあって、イゼルローン駐留艦隊機動艦隊分遣隊を率いた。
石黒監督版OVAでは虎柄の模様で艦を飾っていたので、先祖は「トンキン湾の人食い虎」の異名を持つベトナム人エースパイロットではなかったかと思われる。南ベトナムの元大統領という説もある。宇宙暦798年、第八次イゼルローン要塞攻防戦(要塞対要塞戦)で戦死。
人物・能力
贔屓目に評価しても「極めて好戦的。戦術においては近視眼的発想で危機を招きやすく、戦略においては言うまでもない」となるであろう。言い換えれば彼をきちんと指導するものがおり、その者が適切に状況判断を行い、グエンが指導に従えば本領を発揮できると言える。
グエンがヤン指揮下で最初にその能力を発揮したのは、皮肉なことに同盟軍同士が相打つことになった救国軍事会議のクーデターにおいてである。ヤン艦隊はジャガイモ野郎の命令により各地の叛乱軍を制圧していき、ついに叛乱軍の機動部隊である第11艦隊と決戦(ドーリア星域の会戦)にいたる。
ヤンのとった戦術はこうである。まず縦に伸びた敵の戦列の側面を突いて前後を分断。すでに別働隊を派遣したことで二分されていた第11艦隊をさらに二分して各個撃破・殲滅するというもの。グエンの率いる先鋒は、最初に敵陣中央に攻撃を仕掛け前後に分断すると言う、戦術上の重要性と危険性が高い任務を担った。彼はこの任務に臆することなく突撃し、むしろ楽しそうに戦った。敵陣中央に食い込んで囲まれた状態でも彼の狂気士気は変わることがなく、人々の記憶に残る名言を吐いている。
こいつはいい、どちらをむいても敵ばかりだ。狙いをつける必要もないくらいだぞ。
この言葉に恥じぬ戦いぶりをしたことで、ヤン艦隊は第11艦隊の分断に成功。同艦隊のルグランジュ提督以下将兵が投降しなかったため、ヤン艦隊は止むを得ず殲滅した。
次にグエンが活躍したのは、ガイエスブルク移動要塞によるイゼルローン要塞再奪取作戦(第八次イゼルローン要塞攻防戦)の時。ヤンが厨二病みたいな査問委員会に引きずり出されたため、戦闘開始時は司令官不在で戦わざるを得なかった。アレックス・キャゼルヌが司令官代理を務めたものの、本人も良く分かっているほど実戦指揮には向いていない。よって当初は後手に回ったが、メルカッツ客員提督の助言に基づいて、駐留艦隊による一時的な反撃が行われた。
これはグエン、アッテンボロー、フィッシャーら駐留艦隊をメルカッツが率い、トゥール・ハンマーとは反対の面からイゼルローン要塞への強襲を試みるミュラー艦隊を迎撃するというもの。メルカッツの作戦に乗せられたミュラーは、駐留艦隊と要塞対空砲塔群のはさみ撃ちを受けることになり、ミュラー艦隊の強襲は失敗に終わる。この時もメルカッツという優れた指揮官がグエンを指導したことにより、彼はその能力を遺憾なく発揮することができた。
しかしこの後、彼はタガが外れたことを自らの命で償う事になる。
イゼルローン交戦の報を受けた国防委員長によりしゃべり場から解放されたヤンは、ビュコック爺さんからアラルコン、モートン、マリネッティ、ザーニアルの各独立艦隊を与えられ、イゼルローン救援へと向かった。そしてイゼルローン回廊内でイゼルローン駐留艦隊とヤン独立艦隊は合流に成功し、イゼルローン要塞へ向けて転進。同要塞へ突撃を敢行したガイエスブルク要塞に対し、その一部エンジンを破壊することで推力バランスを崩壊させて迷走状態に陥らせる。これにトゥール・ハンマーの一撃を加えたことで、ガイエスブルク要塞は完全大破、帝国軍の行動を完全に阻止した。
だが勢い余って調子ぶっこいたアラルコンとグエンは、撤退するミュラー指揮の帝国残存艦隊を追撃というか深追い。味方の救援へと駆けつけた疾風と金銀妖瞳の両艦隊に全滅させられてしまう。ミッターマイヤーはその稚拙な戦いぶりを見て「ほんとうにヤン・ウェンリーの部下か」と驚いていたが、ヤンにせよメルカッツにせよ、きちんとした指揮官の指導を外れたのが原因なのは明白である。この辺りが、単なる突撃バカではない猪との相違点であろう。
「いずれ・・・な、グエン・・・」
歴史の流れは人にはみえず、
希望はすべての心の中に・・・
さて、このグエン少将の死に様から普遍的な教訓を得るにあたっては、若かりし頃のウルリッヒ・ケスラーの言葉が最も参考になると言えるだろう。最後に彼の言葉を引用して終わりにしたい。
「功を焦るのは良くない」
「認めたくないものだな。自分自身の、若さゆえの過ちというものを」
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関連項目
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