グランクラスとは、東北・北海道新幹線と北陸新幹線で提供されている特別車両である。グリーン車よりもさらに上位の座席とサービスを提供する車両という位置づけで、航空機のファーストクラスやかつての国鉄の三等級制時代の一等車のような物に相当する。(あくまでほぼ近い存在であり、JRの分類では二等車相当と定義付けている。)
概要
東北新幹線の高速化の一環として投入されたE5系の新青森側10号車に設定されたもので、当初は「スーパーグリーン車(仮)」として案内されていた。「グランクラス」の名称は2010年5月に正式発表されている。
名称はフランス語において「大きな」を意味する「Gran」と英語の「Class」を掛けあわせた造語である。
通常のグリーン車よりも上位のサービスであるため、利用料金自体もグリーン車より高く設定されている。(通常のグリーン車料金+5000円前後)
一部車両にはシートサービスのみで+3000円前後もある。ちなみにグランクラスはグリーン車と違い、割引がほぼなく、国会議員が持っているJRのグリーン車パスの使用も不可である(特急料金分、全額払う必要がある)
腰掛けがバックシェルタイプで、先頭車両が15mのロングノーズで室内が狭くなったことで、それを逆手にとって新幹線では珍しい1&2シートを採用して定員を18名とした。座席シートは、一つのボタンによって背もたれや座布団、レッグレスト・フットレストが作動する。これをシートピッチ1,300mm間隔で配置。この数値は航空機の国内線ファーストクラスのシートピッチと同等である。座席後部にはシェルがあるため、リクライニングシートの背もたれを最大まで倒しても後ろの座席に全く影響がない構造となっている。
シートの開発には世界的シートメーカーのRECAROが携わっている[1]また、グランクラスには専任のアテンダントが配置されており、様々な車内サービスが展開されている[2]。
グランクラスの運用開始はE5系がデビューする2011年3月5日で、E5系10号車には「はやぶさ」をモチーフにしたマークの他に「G」をモチーフにしたグランクラスマークも付けられている。
また、北陸新幹線E7系/W7系においても設定され、金沢側12号車がグランクラスとなった。E7系/W7系グランクラスのシートは川崎重工業・トヨタ紡織[3]との共同開発。このE7系は2014年3月15日のダイヤ改正より「あさま」に先行投入された。
2016年に開業した北海道新幹線を走行する「はやぶさ」「はやて」でもグランクラスサービスが提供されている。(但し、北海道新幹線区間のみを走行する列車はシート営業のみ)
2017年3月に、2018年度より上越新幹線にもE7系が導入され、グランクラスの営業も行うことが発表された。
2024年3月16日に北陸新幹線の金沢~敦賀間が開業することに伴い、営業設定が無かったつるぎでもグランクラスの営業を同日から開始することが発表された。ただし、アテンダント乗務や飲食物提供のない座席サービスのみでの営業となる。
営業列車
東北新幹線 | 北陸新幹線 | 北海道新幹線 | |||
列車名 | サービス開始日 | 列車名 | サービス開始日 | 列車名 | サービス開始日 |
---|---|---|---|---|---|
はやぶさ | 2011年3月5日 | あさま | 2014年3月15日 | はやぶさ | 2016年3月26日 |
はやて | 2011年11月19日 | かがやき | 2015年3月14日 | はやて | |
やまびこ | はくたか | ||||
なすの | 2012年3月17日 | つるぎ | 2024年3月16日 |
「なすの」と「あさま」と「つるぎ」、一部の「はやて」「やまびこ」では座席サービスのみの営業となる。この場合、割安な料金が設定される(後述)。
料金の比較
営業キロ | 100キロまで | 200キロまで | 300キロまで | 400キロまで | 500キロまで | 600キロまで | 700キロまで | 701キロ以上 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
グリーン料金 | 1030円 | 2060円 | 3090円 | 4110円 | 4110円 | 4110円 | 4110円 | 5140円 | |
グランクラス料金 | JR東 JR西 |
6170円 | 7200円 | 8230円 | 9250円 | 10280円 | |||
JR北 | 6420円 | 7890円 | - | - | - |
- 通常のグリーン料金はJRの2社以上を跨ぐ区間を利用しても乗車距離に応じた料金のみが設定されるのに対し、グランクラスにおいて2社に跨る区間を利用する場合は、上記の料金を2社の乗車区間それぞれで計算し、合計から2060円を引く(各社1030円ずつ割り引く)という扱いになっている。
- 「なすの」「あさま」や一部の「はやぶさ」「やまびこ」ではアテンダントによる車内サービスが提供されず、座席が利用できるのみとなる。車内サービスが提供されない列車ではグランクラス料金が、1社のみの場合は2050円引き、2社直通の場合は4100円引きとなる。
- 東北新幹線の同一方向の異なる列車を乗り継ぐ、もしくは北陸新幹線の同一方向の異なる列車を乗り継ぐ場合で、双方においてグランクラスを利用する場合は、グランクラス料金はグランクラスの乗車区間全体のものに対して上記の表の料金を計算すればよい(1列車ごとに上記の料金を計算するのではない)。ただし、東北新幹線と北陸新幹線との乗り換えについてはこの扱いは適用されず、料金は接続駅(大宮駅)で打ち切られる。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
外部リンク
脚注
- *グランクラスのシートはJR東日本・川崎重工業・日立製作所との共同開発。
- *「なすの」「あさま」及び短区間は座席シートのみで、車内サービスは省略されている。
- *トヨタ紡織が鉄道車両用シートを開発したのはこれが初。
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