銀河英雄伝説の戦闘 | |
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グランド・カナル事件 | |
基本情報 | |
時期 : 宇宙暦795年/帝国暦486年 | |
地点 : 自由惑星同盟領 辺境星区方面 | |
結果 : 襲撃を受けた同盟軍民間船団の脱出成功 | |
詳細情報 | |
交戦勢力 | |
自由惑星同盟軍 | ゴールデンバウム朝銀河帝国軍 |
総指揮官 | |
<グランド・カナル>艦長 フェ―ガン少佐 |
不明 |
戦力 | |
巡航艦<グランド・カナル> 民間船団(約100隻) |
巡航艦(2隻) |
損害 | |
<グランド・カナル> 民間船1隻破壊・1隻捕獲 |
不明 |
帝国暦時代 | |
前の戦闘・事件 | 次の戦闘 |
クロプシュトック事件 グリューネワルト伯爵夫人暗殺未遂事件 |
レグニツァ上空遭遇戦 |
グランド・カナル事件とは、「銀河英雄伝説」の事件・戦闘の一つである。
概要
宇宙暦795年/帝国暦486年、自由惑星同盟領辺境星区で発生した、同盟軍輸送船団と帝国軍との交戦。
民間船からなる同盟軍輸送船団を襲撃した帝国軍巡航艦2隻に対し、護衛していた同盟軍巡航艦<グランド・カナル>がただ1隻で抵抗し、民間船団のほとんどを戦闘区域から脱出させることに成功した。
背景
同年2月に生じた第三次ティアマト会戦ののち、同盟軍は帝国軍の再侵攻への備えとして辺境星区への緊急の戦力配備を行っていたが、この戦力に生活物資とエネルギーの欠乏が生じたことを受けて補給が計画された。しかし、輸送船の配備にミスがあったため、やむをえず近辺の星区から雇われた100隻前後の民間船で編成された船団によって輸送が実施されることとなった。
この民間船団には護衛として軍から巡航艦・駆逐艦あわせて約10隻が派遣された。この護衛艦艇の派遣にあたっては、同盟軍宇宙艦隊司令長官ラザール・ロボス元帥より、戦力保全の観点から「貴重な軍用艦艇を、みすみす敵軍の餌食にせぬよう、くれぐれも無理な行動をつつしむべし」と自重を指示する訓令がなされていた。
経過
実際に出発した船団では、危険宙域への進入を前に、巡航艦1隻をのぞくすべての護衛艦艇が軍の指示を優先して船団を離脱する道を選んだ。このため、ただ一隻引き返さなかった巡航艦<グランド・カナル>(艦長フェーガン少佐)のみが船団護衛に残るという事態が生じた。
航行3日目、船団は2隻の帝国軍巡航艦と遭遇する。<グランド・カナル>は民間船を逃がすため遅滞防御に務めたが、明らかに不利な戦力差のために交戦は”戦闘ではなく虐殺”というありさまとなり、艦長フェーガン少佐も戦死した。しかしこの抵抗によって、民間船の半数が目的地に、のこる半数も安全宙域にまで脱出することに成功し、民間船の犠牲は逃げ遅れた1隻が破壊され、1隻が捕獲されるのみに留まった。
評価
<グランド・カナル>の戦いによって、船団に乗り組んでいた民間人の生命だけでなく、民間船を雇い、その護衛にあたった同盟軍の名誉までもがかろうじて救われることとなった。事件後、フェーガン少佐以下の全戦死者には自由戦士勲章が授与されている。
護衛艦艇に対して発されたロボス元帥の訓令はあくまで自重を求めるものにすぎなかったが、護衛任務に対する各艦艇の義務感をそぐかたちになったことは確かであり、民間船団の護衛任務にもかかわらず、護衛艦艇のほとんどが危険宙域に進入せずに離脱するという事態が生じることとなった。この事件は、第三次ティアマト会戦における第11艦隊司令官ウィレム・ホーランド中将の戦死と並んで、ロボス元帥への精神的打撃となったとされている。
なお、自由戦士勲章の授与式典直前、ヤン・ウェンリー准将が立体TV局のインタビューに「グランド・カナルには、一〇〇個の勲章より、たった一隻の僚艦が必要だったと思いますよ」と答えているが、この発言が放送、あるいは活字化されることはなかったという。
石黒監督版OVAにおける描写
石黒監督版OVAでは、原作でこの事件が描写される外伝「星を砕く者」が分割・時系列変更によって長篇「わが征くは星の大海」や本伝に吸収されている都合か、第三次ティアマト会戦の直前へと時系列を移動して描写されている。なお、原作では<グランド・カナル>の撃沈は明示されていない(文脈的にはほぼ確実に破壊されている)が、石黒監督版OVAでは明確に撃沈されるカットがある。
このため、事件後の式典直後にホーランドが記者に囲まれてインタビューを受けるシーンが追加されている。ホーランドは事件について「小競り合いで消耗するわけにはいかない」「一隻の犠牲で他の九隻が無傷ですんだ」「犠牲は無駄ではない」と述べたほか、「訓令は的を射たものだった」とロボスを擁護し、記者の側も好意的に反応している様子が描かれた。
関連動画
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原作では外伝「星を砕く者」第七章「敵、味方、敵、敵、敵……」-IIIにて描写。
石黒監督版OVAでは外伝「第三次ティアマト会戦」前篇にて描写。
関連項目
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