グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー(Gregor von Mückenberger)とは、「銀河英雄伝説」の登場人物である。
CV.柴田秀勝(石黒監督版)、沢木郁也(Die Neue These)。
概要
ゴールデンバウム朝銀河帝国軍人・元帥。フリードリヒ4世朝末期において宇宙艦隊司令長官を務めた。
艦隊旗艦は<ヴィルヘルミナ>。ウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガー中将は父。
「銀河帝国の高級軍人として、完璧にちかい履歴書」を持ち、帝国暦486年当時に50代なかば。半白の頭髪と頬ひげ、半白の眉を特徴とし、「非の打ち所のない」と評される姿勢と堂々たる体躯から発せられる威風は主君である皇帝フリードリヒ4世をもしのぐほどだったという。
石黒監督版アニメでは、もみあげが目立つ一方で頬ひげは無くなっている。元帥マントの色は黒(裏地は赤)。
旗艦<ヴィルヘルミナ>は、同型の大型旗艦級戦艦のネームシップとなった。→標準型戦艦(銀河帝国)
経歴
帝国暦429年ごろ、代々武門の家柄であったミュッケンベルガー伯爵家の次男として誕生。
7歳だった436年12月、第二次ティアマト会戦において中将であった父ウィルヘルムを失う。450年ごろ、士官学校を首席で卒業し任官。帝国軍人としての閲歴を重ね、イゼルローン要塞司令官などの顕職を歴任した。
帝国暦484年、宇宙艦隊司令長官に就任。時系列の前後は不明だが、翌485年までに元帥に昇進している。以後、485年3月のヴァンフリート星域会戦、同年10~12月の第六次イゼルローン要塞攻防戦、486年初頭の第三次ティアマト会戦、9月の第四次ティアマト会戦などを総司令官として指揮し、いずれの戦闘でも、結果としては大敗することなく無事に職務を遂行した。
帝国暦487年初頭、アスターテ会戦の戦功でラインハルト・フォン・ローエングラム上級大将が元帥に昇進して宇宙艦隊副司令長官に任ぜられ、麾下の宇宙艦隊の半分がローエングラム元帥の指揮下に移されることになる。同年5月、第七次イゼルローン要塞攻防戦によりイゼルローン要塞が陥落すると、直接関与していたわけではない彼も責任を取って辞表を提出したが、後任と目されたローエングラム元帥の進言により一年間の俸給返上で決着となり、宇宙艦隊司令長官に留任した。
しかし、同年中に皇帝フリードリヒ4世が急死し、エルウィン・ヨーゼフ2世が即位する。この時、帝国宰相リヒテンラーデ公と結んだローエングラム元帥が宇宙艦隊司令長官に就任しており、ミュッケンベルガーはこれに先立って宇宙艦隊司令長官の職を辞したものとみられる。以後は不明。
人物・能力
もとよりミュッケンベルガー家は軍人の家系であったが、父ウィルヘルムが同盟軍との戦いのなかで戦死したことは、グレゴールが軍人を志望するにあたって心理的な影響を与えたとされる。
帝国軍の最高幹部としてのグレゴールは、その出身と経歴にふさわしい、重厚な保守主義者だったといえる。軍の体制などの面にも一定の見識を持っており、同時代の一般的な帝国軍人同様にイゼルローン要塞が陥落する心配はないと考えながらも、一方で要塞司令官と駐留艦隊司令官が不仲であることには懸念を抱いていた。作戦会議の場でラインハルトとフレーゲル男爵が対立したときも、門閥貴族であるフレーゲル男爵を支持するのではなく、上官として間に入って両者をなだめ、ラインハルトに惑星レグニツァへの出撃を命じることで事態を収めている。
その軍事能力について、急進的なラインハルトからは「堂々たるだけ」などと低い評価を受けているが、これはミュッケンベルガーが代表する守旧的な帝国軍高級軍人へのラインハルトの偏見視のあらわれという点が大きい。実際のミュッケンベルガーは軍人として無能ではなく、彼の経歴において、その判断が最終的に致命的な失敗に至ったことは一度もなかった。宇宙艦隊司令長官としても、派手な勝利こそないものの明確な敗北もなく、就任ののち少なくともヴァンフリート星域会戦までのあいだ帝国軍の勢力圏は維持されている。このヴァンフリート星域会戦では、同盟軍の行動目標がヴァンフリート4=2にあることを看破するといった戦術眼も見せた。
部下に対しては、権力をふりかざす暴君というほどのことは無かったものの、彼の不興を買った副官はしばしば更迭された。ヴァンフリート星域会戦時の副官ツィンマーマン中佐の前任者の在任期間は40日、のちの次席副官オーベルシュタイン大佐の在任期間は一ヶ月であり、後者の更迭は、もともと別の件で苛立っていたミュッケンベルガーがオーベルシュタインの陰気さを不快に感じたことによる余波であった。
ラインハルトへの認識
少将までのラインハルトは、その階級差ゆえに基本ミュッケンベルガーとは隔絶した存在であり、特に気に留めるほどの存在ではなかった。ラインハルトを認識して以降は最後まで非好意的であったが、それはしばしば門閥貴族に見られるような成り上がり者への軽蔑視というよりは、ごく若く経験の少ないラインハルトが「皇帝の寵姫の弟」として将官の地位を得たことに対する保守的な反感であった。
しかし、ラインハルトの軍事的才能については、偏見こそあっても否定するばかりではなかった。ミュッケンベルガーがラインハルトをはじめて体制における異端者として認識したのは、第六次イゼルローン戦において当時少将だったラインハルトから作戦案の上申を受けたときであるが、彼はその不遜さに怒りつつもその内容が戦理にかなっていることは認め、老獪にもラインハルト当人に作戦の実行を任せている。
その後、第三次ティアマト会戦ではラインハルト(当時中将)を邪魔者あつかいして後方においたものの、ラインハルトが帝国軍を勝利に導いた後には不満・不本意をほのめかしながらも大将昇進に反対せず、つづく第四次ティアマト会戦では本来捨て駒にしようとしていたラインハルトに帝国軍主力が救われたことをしぶしぶながら認め、公式に讃辞をあたえている。ラインハルトの元帥昇進に不満を漏らすオフレッサーにも「用兵の才能があることは否定できぬ」と返しているなど、彼個人としての心理的抵抗とは別に、軍人としては低からず評価していたようである。
アニメ(石黒監督版)での描写
石黒監督版アニメでは、第四次ティアマト会戦を描いた「わが征くは星の大海」から製作が始まったこともあり、ラインハルトと対決する帝国守旧派の中核的人物としてミュッケンベルガーを配置。前線の軍人としての立場からフレーゲルを嫌いつつも、引退後に向けた人脈作りとしてあえて結び、同様に嫌うラインハルトを排除しようとする。しかし会戦後には「もうスカートの中の大将ではない。生意気な金髪の孺子ではあるがな」と、不本意さが明確だった原作での描写以上にその能力を評価する姿も見せた。
このように、ラインハルトの対立軸としてミュッケンベルガーがクローズアップされたことから、OVA第一期ではミュッケンベルガーの扱いが重要となった。石黒監督版のプロデューサーを務めた田原正利は、のちに「その去就をきちんと描くことが”必要”だった」と語っている。これは、第一期15話以降の脚本を務めた河中志摩夫が、14話までを担当した脚本チームから引き継ぎ事項として受けた課題だった。
実際に、エルウィン・ヨーゼフ2世の即位する16話では、退任するミュッケンベルガー元帥のシーンが挿入された。このシーンでのミュッケンベルガーは、ブラウンシュヴァイク公らに忠告として「あの孺子、いや、ローエングラム候は紛れもなき政戦両略の天才」と認める台詞を残している。この台詞の直後、ミュッケンベルガーは階段を登るラインハルトとすれ違い、後任者からの敬礼への見事な答礼とともに階段を下っていったのであった。
関係者
- ウィルヘルム・フォン・ミュッケンベルガー - 父。第二次ティアマト会戦で戦死した。
- ヴィルヘルミナ - 母。グレゴールの旗艦<ヴィルヘルミナ>の名は彼女に由来する。
- ケルトリング - 大叔父。軍務尚書・元帥。第二次ティアマト会戦直前に病死。
- ツィンマーマン - 副官、中佐。ヴァンフリート会戦時に副官を務めた。
- パウル・フォン・オーベルシュタイン - 次席副官、大佐。帝国暦486年5月ごろのみ在任したが、更迭された。
- リヒャルト・フォン・グリンメルスハウゼン - 中将。ヴァンフリートで指揮下にあったが、邪魔者の凡将であった。
- エーレンベルク - 軍務尚書・元帥。同じ帝国軍三長官であり、年齢および建制順では上位者であった。
- フリードリヒ4世 - 主君。司令長官としての職務は、積極的消極的問わずしばしばフリードリヒに左右された。
- グライフス - 宇宙艦隊総参謀長・大将。石黒監督版OVA外伝に登場したアニメオリジナルキャラクター。
関連動画
関連項目
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