ケムコ(KEMCO)は、株式会社コトブキソリューション(Kotobuki Solution Co., Ltd.)のゲームブランドであり、1984年に設立された日本の老舗ゲーム会社である。
元々は株式会社寿技研(現:株式会社寿製作所)のシステム開発事業部であった。分社化に伴い現体制となる。
概要
エンジニアリングと製造業を基盤としていた株式会社寿技研のゲーム事業部として発足、当初はその多角的な事業の一部門として位置づけられていた。 ケムコのブランド名も、寿技研の英文社名、Kotobuki Engineering Manufacturing Co., Ltd. の頭文字から取られている。
2004年には、寿技研のシステム開発事業部が分社化し、株式会社コトブキソリューションが設立され、同時にケムコのゲームブランドも同社に引き継がれた。この分社化は、コトブキソリューションがゲーム事業をより戦略的に重視するようになったことを示唆しているといえよう[1]。
2000年代以降は携帯電話向けアプリゲーム、特にRPGに注力し、数多くのタイトルをリリース。近年では、スマートフォン、PlayStation、Nintendo Switch、Xbox、PCなど、様々なプラットフォームに向けてゲームを展開している。特に、Xbox向けに展開している点は国内メーカーの中では珍しい例といえる。
近年は、往年のJRPGを彷彿とさせる、手軽に遊べるRPGやノベルゲームをコンスタントに多数リリースしていることで知られる。RPGにはターン制バトル、レベル上げ、装備収集など、往年のRPGファンには馴染み深いゲームシステムを採用したシンプルな作品が多い。
さらに、複数の開発会社との連携での開発により、多くのハードに対応した、豊富かつ比較的安価なタイトルの高頻度発売を実現している。
歴史
初期:コンソール市場での存在感(FC、SFC、GB)
ケムコは初期において、ファミリーコンピュータ(NES)向けにゲーム開発・販売を積極的に行っていた。
この時期には、『ダウボーイ』(1985年)、『スパイvsスパイ』(1986年)、そして『シャドウゲイト』(1989年)といった初期の代表作がリリースされている。この頃の多くの作品が、海外で人気を博したゲームのローカライズや移植であった。一方、ライセンスを得てオリジナルのゲームシステムで開発された『スーパーマン』(1987年)や『時空の旅人』(1986年)などは散々な評価を得ており、独自開発には難儀していた。
1990年代に入ると、ケムコはスーパーファミコン、NINTENDO64、ゲームボーイなど、さらに多様なプラットフォームへと展開を広げた。この時期には、人気シリーズとなった『トップレーサー』(1992年)などが登場している。様々なコンソールへの展開は、より幅広いユーザー層へのリーチを可能にし、ケムコの成長を支える要因となった。
1991年には北米市場への進出を目的として「Kemco America」が設立されており、海外市場への早期からの意識も窺える。
モバイルアプリへの注力:RPG市場の開拓
2000年代に入ると、ケムコは携帯電話向けアプリゲーム、特にRPGに注力する戦略へと大きく転換した。この時期は、ガラケー(フィーチャーフォン)市場が急速に成長しており、ケムコはその中で「ケムコ帝国」という公式サイトを開設し、携帯電話向けのRPG配信を本格的に開始した。
携帯電話向けには数多くのRPGタイトルがリリースされ 、『アルファディア』シリーズなどが人気を博した。モバイルRPG市場での成功は、ケムコが時代に合わせて柔軟に戦略を変化させてきた結果と言える。
2001年には、モバイルゲーム市場のグローバルな成長を視野に入れてか、米国市場への再進出として、「Kemco USA」が再び設立された。
現代:ノベルゲーム、マルチプラットフォーム戦略の推進
2010年代に入ると、RPGに加えて、スマートフォン向けノベルゲームもコンスタントに制作するようになる。『レイジングループ』『トガビトノセンリツ』『デスマッチラブコメ!』など、多くの作品が高い評価を得ている。
また、スマートフォン、PlayStation、Nintendo Switch、Xbox、PCなど、様々なプラットフォームに向けてゲームを展開する、マルチプラットフォーム戦略を積極的に推進している 。特に2010年代後半からは、ID@Xbox プログラムなどを活用し、コンソールゲーム市場への再参入を果たしている 。これは、モバイルゲームで培ったノウハウを活かしつつ、より多様なゲーム体験をユーザーに提供しようとする試みと解釈できる。
現在では、モバイル、コンソール、PC 向けに年間約10本の新作ゲームをリリースし続けており、その旺盛な開発意欲が窺える。幅広いプラットフォームへの対応は、より多くのユーザーにケムコのゲームを届け、収益機会を最大化するための重要な戦略となっている。
ニコニコでの動向
ニコニコでは、タグでの動画が500件以上ヒットするなど多くのユーザーから投稿がある。
また、公式チャンネルも開設されており、ゆっくり実況や作業用BGMなどの動画が、2013年頃より公式の手によって投稿されている。ある意味、公式が病気といえるかもしれない。
「レイジングループ」ではドワンゴの協力があるなど、何かとつながりはある模様。
なお、動画投稿にあたっては公式がガイドラインを公開している。公開範囲など、ガイドラインの範疇を遵守した動画投稿を行いたい。
主なゲームタイトル
初期コンソール時代 (NES, SNES, Game Boy)
- ダウボーイ (FC)
- スパイvsスパイ (FC)
- シャドウゲイト (FC, GB Color, 3DS, PC, iOS, Android)
- ディジャブ (FC)
- 悪魔の招待状 (FC)
- セレクション 選ばれし者 (GB)
- トップレーサー (SFC)
- トップレーサー2 (SFC)
- キッドクラウンのクレイジーチェイス (SFC, GBA)
- ドラッケン (SFC)
- P-マン (SFC)
携帯アプリ時代
前述の通り、2000年代以降にはケムコ帝国というブランド名で多数のRPGをリリース。
具体的なタイトルは多岐にわたるためここでは割愛するが、この時期の積極的な展開が、現代のケムコのRPG開発の基盤となっていることは間違いない。
近年リリースの作にも、この頃の作品の移植が含まれていたりする。
近年のラインナップ (Mobile, Console, PC)
主要フランチャイズ
- アルファディアシリーズ:伝統的なターン制JRPG。エネルギーや国家間の対立をテーマにした作品が多い。
- アスディバインシリーズ:神々や世界の危機を題材としたファンタジーRPG。宝石によるキャラクターカスタマイズが特徴。
- レヴナントサーガ:ゴシックファンタジーRPG。変身システムやダークな物語が特徴。
- ドラゴンシンカー:8bit風ドット絵のレトロRPG。最大12人のパーティを編成可能。
- マレニア国の冒険酒場:RPGと酒場経営シミュレーションを融合。
- 砂の国の宮廷鍛冶屋:RPGアドベンチャーと鍛冶屋シミュレーションを組み合わせた作品。
- レイジングループ:人狼ゲームをモチーフとしたホラーサスペンスアドベンチャー。高い評価を得ている。
- KEMCO RPGセレクション:複数のRPGタイトルをまとめて収録したシリーズ。
主なタイトル例
- アルファディア ジェネシス (3DS, Mobile)
- アルファディア2 (Mobile)
- アルファディア3 (Mobile)
- アルファディア 運命の巫女 (Mobile)
- アルファディア エピソード1 (Mobile)
- アルファディア エピソード2 (Mobile)
- アルファディア 運命の巫女 (Switch)
- アルファディア ジェネシス2 (Switch)
- アルファディア ネオ (Switch)
- アスディバインハーツ (Wii U, PC, PS4, Switch, Mobile)
- アスディバインハーツII (PC, PS4, Switch, Mobile)
- アスディバインメナス (PC, PS4, Switch, Mobile)
- アスディバインディオス (Switch, PS4, Xbox One, PC, Mobile)
- アスディバインカムラ (Switch, PS4, Xbox One, PC, Mobile)
- レヴナントサーガ (Switch, PS Vita, PS4, PC, Mobile)
- レヴナントドグマ (Switch, PS4, Xbox One, PC, Mobile)
- ドラゴンシンカー 竜殺しのローグ (Switch, PS4, Mobile)
- ドラゴンクエスト風ゲーム (※ユーザーによる表現)
- マレニア国の冒険酒場 ~パティアと腹ペコの神々~ (Switch, PS4, Mobile)
- 砂の国の宮廷鍛冶屋 (Switch, PS4, PC, Mobile)
- レイジングループ (Switch, PS Vita, PS4, PC, Mobile)
- KEMCO RPGセレクション Vol.1~Vol.13 (Switch, PS4, Xbox One)
評価
初期と現代で全く作風が違うため、それぞれ異なる評価が集まっている。
初期のファミコンソフト等のコンソールゲームに対する評価は分かれている。『スパイvsスパイ』などの移植作品は比較的評価が高い一方 、『スーパーマン』や『時の旅人』といったオリジナル作品やライセンス作品は評価が低い傾向にあった。特にアドベンチャーゲーム『シャドウゲイト』は、その難易度の高さから賛否両論を呼んでおり、「クソゲー」との世評で知られた。
一方、近年のモバイル等向けにリリースされているRPGは、古き良き時代のJRPGを彷彿とさせるゲーム性やグラフィックが特徴であり、一定のファン層から支持を得ている。シンプルな操作性や比較的短いプレイ時間でクリアできる作品が多い点も評価されている。
目新しさや革新性に欠ける、ストーリーが平凡、グラフィックや演出がややチープといった批判も見られる。また、一部タイトルでは動作の不安定さや操作性の悪さが指摘されることもあるが、『レイジングループ』などは、その完成度の高いシナリオと斬新なゲームシステムで高い評価を得ている。
関連会社
- 株式会社コトブキソリューション (親会社)
- エグゼクリエイト (開発協力)
- ヒットポイント (開発協力)
- ライドオンジャパン (開発協力)
- ウォーターフェニックス (開発協力)
- シティコネクション (開発協力)
関連動画
関連静画
関連チャンネル
関連リンク
関連項目
- 株式会社コトブキソリューション
- SPYvsSPY
- PHALANX(ゲーム)
- ボンバザル
- 時空の旅人
- シャドウゲイト / シャドウゲート
- スペースハンター
- Pマン(スーパーファミコンのソフト)
- インドラの光
- RPG / JRPG
- レトロゲーム
- インディーズゲーム
脚注
- *寿グループ内には、ゲーム事業以外にも「ケムコ」の名を冠する企業が存在しており、例えばケムコ商事は介護用品や産業用機器を取り扱っている。このことからも、コトブキグループ全体としてのブランド認知度の広さがうかがえる。
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