ケンプファー (Kämpfer) とは、ドイツ語で「戦士」の意味。英語のファイター (Fighter) に相当する。
なお、「pf」は「プ」と「フ」を同時に発音するので日本人には難しく、「プ」をあきらめて「ケンファー」と言った方がドイツ人には通じやすい。そのため特にプロレス界隈などでは「ケンファー」が使われていることが多い。
本項では2を説明する
ケンプファー(MS-18E KÄMPFER)とは、OVA『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』に登場する、グフと並ぶ漢のMS(モビルスーツ、作中でのロボットの呼称)である。
概要
『0080』劇中でジオン公国の特殊部隊サイクロプス隊が運用したMS。サイド6の"リボー"コロニー内にある連邦軍基地に対して、新型ガンダム奪取作戦『ルビコン計画』を実行する為、同部隊によってコロニー内に送り込まれた機体である。
宇宙世紀0079年12月15日、"リボー"宙域への偽装襲撃に乗じて、民間船に偽装した形で港に潜入。パーツ単位に分解された状態で複数のトレーラーによって輸送され、現地工作員によって根回しされた無人の工場内で隊員達自らの手で組み立てられ、劇中の第3話にて遂に組立てが完了する。
そして宇宙世紀0079年12月19日、『ルビコン計画』が実行され、ガンダムNT-1・アレックスの工廠強襲のため、ミーシャことミハイル・カミンスキーが酒を飲んだ状態で搭乗(いわゆる飲酒運転)した。アレックスの工廠には先行して他の隊員が侵入し奪取あるいは破壊する予定である為、ミーシャのケンプファーはまず現地軍や連邦軍の注意を引きつける為町の繁華街を大胆に横断し、敵機を陽動して撃破しながら、工廠に突入して隊員と(奪取が上手くいけばアレックスも)共に、コロニーの隔壁に穴をあけて宙域に脱出するという作戦であった。このようにあくまでも陽動が主任務のケンプファーだったが、全身に武器という武器を装備しまくっていた事やミーシャの技量もあり、サイド6のプチモビや装甲車を軽く撃破。次にグレイファントム級から出撃してきた連邦軍のMS部隊「スカーレット隊(笑)」を単身で全滅させる等、圧倒的な実力を見せつけていた。
しかし工廠に潜入した隊員達はアレックスの奪取に失敗し、ケンプファーの目前でアレックスは起動してしまう。だがミーシャはこれに臆せず、あらかじめ町中にMS用の武器を偽装配置するため駐車したトレーラーがある場所までアレックスを誘導。そしてトレーラー内から必殺武器『チェーン・マイン』を取り出し、
「さぁ来い!戦い方を教えてやる!!」
と果敢に叫び、アレックスの体にチェーン・マインを投擲。吸着・爆発させ、大破させたように思わせたが…!?
機体解説![渋。 MS-18E胸像]()
本機は一年戦争末期の『統合整備計画』によって誕生したMSだが、同時期に開発された他のMSの中で唯一、元となるベース機が存在しない、完全新規の機体としてロールアウトした。ブレードアンテナを標準搭載している。機体カラーは青。ケンプファーはゲルググのように総合的な性能の高さを目指したものとは違い、コロニー内での強襲などに特化したMSである。全身に装備した強力なスラスターと、単機のMSとしては過剰にすぎるほどの携行火力による一撃離脱戦法を得意とする。一方で機動力を重視する為装甲は犠牲となっており、腰部スカートアーマーすら省略されたその外殻は「紙装甲」と比喩されることもしばしば。一応、高速で目標に接近するために取る(劇中で見せた極端なほどの)前傾姿勢時に、正面から見える範囲にだけ装甲を集中させているが、それでも装甲が薄いのは否めない。
汎用性を捨て、強襲のみに極限にまで特化した所以として、高速機動戦闘時の機体制御用に全身にバーニアを装備。武器はビームサーベルを除く銃火器全てが推進に支障を来さない実弾兵装(詳細は下記)で、隠密性にも優れる。更に弾切れの際には固定武装である頭部機関砲を除く全ての武装をジョイントパーツごとパージでき、デッドウェイトにならないように設計されているなど、これでもかと言わんばかりの突撃機である。またその攻撃性・機動性を実現しただけでなく、驚くべき程に良好なメンテナンス性と解体および組立の容易さも忘れてはいけない(『統合整備計画』の賜物である)。その為機体自体は極端な性能ながら幅広い戦場での運用が可能であり、一年戦争終結後もジオン残党軍の一部部隊で使用されたようである。
余談だが0080製作当時はケンプファーの紙装甲設定は無く、NT-1のバルカンで撃破されたのは演出上の都合に過ぎなかった。しかし視聴者からすればどう見ても紙装甲にしか見えないので、いつしかそのような設定が生まれたとか。
主な武装
- ショルダースパイク - ザクのそれと同じように、左肩に3本のスパイクがついている。タックル用の武装というより単なる装飾か?
- 60mm機関砲 - 機体の頭部に内装されている。飛び道具の中では唯一の固定武装である。「0080」劇中未使用。
- ショットガン ‐ 強襲用MSのために開発された武器。ルナ・チタニウムを使用した実体弾を発射する。グリップ部分は2タイプある。出撃時には1つは手に持ち、もう1つは腰部後面に取り付けていた。リロードは信頼性を重視しポンプアクションとなっている(電気信号でリロードすることも可能らしい)。
- ジャイアント・バズ - リック・ドムⅡが装備するものと同じもの。出撃時には背中に2つ担いでいた。これが無いとどうも物足りない。どこか納得いかない。
- シュツルム・ファウスト - 長い柄のついた使い捨て式のロケットランチャー。劇中ではザクⅡ改やリック・ドムⅡも使用していた。出撃時には両脚の膝関節辺りの外側に取り付けていた。和訳すると「疾風拳骨」である。
- ビームサーベル - ケンプファー唯一のビーム兵器。両脚の大腿部に内装され、使用時グリップが飛び出し引き抜いて使う。このようなビームサーベルの携行仕様は一年戦争時には珍しく、むしろ後のグリプス戦役以降ポピュラーになる為、何気に時代を先取りしていると言ってもいいかもしれない。
- チェーン・マイン - おそらくケンプファーの象徴ともいえる武器。円盤型の吸着式機雷が沢山連なった形をしていて、これを目標物に吸着させ(吸着した機雷は連結部分から外れる)、爆発させることで攻撃する。1つずつ外して投擲することも可能。「0080」では携行せず町中に設置したトラックから引っ張り出していた。後発作品である「UC」において、折り畳みケージに収納することでMSが背負えるほどにまでコンパクトにできることが判明した。
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なお「0080」劇中にて実際には使用しなかったが、トラックの中に隠匿される武装はチェーンマイン以外にも、ヒートホーク、ハンドグレネード等いくつかの武装が配置されていた。必要とあらばここから武器を補充する予定であったことが伺える。
バリエーション
- YMS-18 プロトタイプケンプファー - 『1/144 MS-18E ケンプファー』組立説明書及び、『機動戦士ガンダム エコール・デュ・シエル』に登場。文字通りケンプファーの試作型で、細部のやや角ばったラインが特徴。カラーリングは緑。『エコール・デュ・シエル』では宇宙海賊マリー一味に所属するニュータイプの少年アキラの乗機で、本機を物語の第3部である0087年(グリプス戦役)まで使用し続けていた。
- MS-18F ケンプファーF型 - 『1/144 MS-18E ケンプファー』組立説明書に解説のみ存在する。ケンプファーのビーム兵器仕様。
その他
- 上記の通りの特徴、出演作品、その凄絶な戦果と最期、そして何よりもパイロットがイケメンの対極の存在として、グフと並びジオン軍が誇る「漢の機体」として非常に人気が高いMSである。ちなみにコレの後からジオンがやたらドイツドイツしてきたってことも事実。主にナチオタ出渕のせい。
- ガンダム世界に於いては「ジオン軍のMSの機体名では数少ない、有意味語の名称が用いられた機体でもあり、戦争末期の混乱振りが伺えるともいえる。」となっているが、ヒルドルブは(MSではないにしろ)後発作品かつ戦争末期ではない時期の設定のくせして有意義語を名付けられた。
- 人気のある機体のためか「好きなMSは?」と聞かれたときにこの機体をを答えると、一部のガノタからはニワカ扱いを受ける不遇の機体でもある。何故だ。そんな不届きヤツには両手を握りしめてシュツルムファウストをお見舞いしてやるといい。
関連動画
下記のストップモーションアニメではチェーン・マインが有効活用されている。
関連静画
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関連項目
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