曖昧さ回避
本稿ではアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場するモビルスーツ(MS)「gMS-01 ゲルググ」について記述する。『機動戦士ガンダム』などに登場するオリジナルの『MS-14 ゲルググ』については当該記事を参照されたい。
一応簡単に説明すると、オリジナルゲルググはジオン公国軍が一年戦争末期に正式採用した、当時最新鋭の量産型MSである。ザクやグフを開発したジオニック社の素体に、ヅダやドムを開発したツィマッド社のスラスターと、モビルアーマーやズゴックを開発したMIP社製のビーム兵器を搭載。その性能はあのガンダムと互角かそれ以上、量産型ガンダムのGMにも全く引けを取らない、まさしくジオンの総力を結集した強力な機体だった。
以上、この説明は本記事を読み進める上では忘れてもらって構わない。というか忘れた方がいい。
概要
ゲルググ Gelgoog |
|
---|---|
所属 | ジオン公国軍 |
型式番号 | gMS-01 |
オプション武装 | ビーム・ライフル ビーム・サーベル ワイヤーフック |
パイロット | シイコ・スガイ ボカタ ジオン兵 |
デザイナー | 射尾卓弥 |
ジオン独立戦争後期にジオン公国軍が開発した量産モビルスーツ。某所からもたらされた新型機をリバースエンジニアリングして得られた技術とデータを用いている。
元々、ジオン軍はザク(GQ)の後継機として「MS-14」と名付けられたMSを独自開発していたが、軍全体の方針としてリバエン技術に注力することが決定されたため、MS-14は開発凍結。ペットネームとして考えられていた「ゲルググ」の呼称のみが本機に転用された。
ザク同様に高い汎用性を誇り、ジオン系量産機としては(おそらく)初めてビーム兵器も運用可能。シャリア・ブルの評価によるとその機体性能は地球連邦軍の軽キャノンを凌ぐという。
独立戦争から5年後の宇宙世紀0085年時点では、名実ともにザクの後継機として現役で運用されている。もちろんザクと違って民間への払い下げなども行われていない。ただ、サイド6の軍事警備会社「ドミトリー警備」が何処からか入手し、下部組織のクラン・CRSで運用させていることから、軍からの横流しが行われている疑惑が浮上している。
武装
- ビーム・ライフル
手持ち式の小型ビーム砲。後腰に2基を搭載している。小さいが威力は確かで、着弾角度によってはGQuuuuuuXのシールドを貫通し得る。有線制御による遠隔発射や、銃口から銃剣の様にビーム刃を形成する機能も備わっている。
形状は正史におけるGMのビーム・スプレーガンに似ている。 - ビーム・サーベル
ビーム刃を形成する近接武装。後ろ腰に1基を搭載(両肩部の突起ではない)。
プラモデルでは独自のギミックとして柄の両側にビームパーツを接続し、簡易のビーム・ナギナタにできるようになっている。 - ワイヤーフック
シイコ機のマニピュレータ(指部)に追加搭載されている兵装。シイコのスティグマ戦法を再現する為にCRSが用意したもの。
その名はゲルググ……えっ、ホントに? マジで言ってんの?
機動戦士Gundam GQuuuuuuXでの『MS-14 ゲルググ』の扱い
先行上映版『-Beginning-』劇場パンフレットで「MS-14は開発凍結された」という旨の文章が記載され、古参のガノタは涙を呑んだ。元々ゲルググ自体、シャア専用ゲルググの印象深いシーンや各ゲーム作品での活躍(シャゲダンとか)、一年戦争派生作品のバリエーション演出などで結構ファンが多い機体だったのである。直近の劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』で、原案を抑えつつSEED仕様にアレンジされた「ゲルググメナース」が活躍していた点も、MS-14の不憫さを際立たせる結果となった。
機動戦士Gundam GQuuuuuuXでの『RGM-79 GM』の扱い
MS-14同様に不憫な扱いとなってしまったのが『RGM-79 GM』、本来ならガンダムの量産MSとして開発されるはずのMSである。GQ世界ではシャアが白いガンダムを強奪したため、連邦はガンダムの量産型MSではなくガンキャノンをベースとした量産型MS『軽キャノン』を開発した。本来GMに与えられるはずだった型式番号RGM-79は軽キャノンにあてがわれることとなり、GQ世界に『RGM-79 GM』というMSは生まれなかったのである(gMS-01 ゲルググのように今後GMのような、あるいは似て非なる存在が明らかになる可能性もあるが)。
GMのような見た目の謎のMS
しかし『-Beginning-』本編、上映後の特別映像、TV版PVなどでは「連邦軍主力機のGMっぽいMS」がちょくちょく映されていた。『-Beginning-』は遠景でわかりづらく(それ以前に本当に一瞬のカットなので気付かない人も多かった)、PVでは推定搭乗者が連邦のパイロットスーツを着ており、そもそもカラーリングがGMそのものだったので「連邦の新型機ではないか」という推察もあったが、GM特有の凸状ながらもザク・フリッパーっぽい三又ゴーグルや、ザクの動力パイプの名残が見受けられる鼻~アゴなど、いかにも「ジオンが造ったGM」的な意匠も見られた。
先述した「某所からもたらされた新型機」とは実のところ、シャア・アズナブルによって連邦軍から強奪された最新鋭MS・白いガンダム(後の赤いガンダム)である。即ち「ジオン製の量産型ガンダム=ジオン版のGM」が今後の物語で登場することはほぼ確定していた。古参ガノタは推定GMを「これがゲルググを歴史の闇に葬ったジオンの新型だな?」と推察し、一部では「ゲルジム」「ジムググ」「ゲジム」「ゲム」などの仮称で呼ぶ者もでていた。設定上の存在だったキケロガやペガサスという古の名称を引っ張り出してきた制作陣への信頼(?)も相まって、推定GMは何者なのか、古参の期待は膨らんでいた。
……が、推定GMが第4話で初登場した際の台詞は、実に身も蓋も無いものだった。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX 第4話
TV版3話で『-Beginning-』分の内容はほぼ全て放送され、第4話次回予告には例のGMっぽいMSが映し出されファンの期待は高まった。
4話では、主人公マチュたちポメラニアンズとシイコ・スガイらCRSが戦うことになる。CRSはカスタムした軽キャノンでエントリーしていたのにもかかわらず、軽キャノンではなくGMっぽい機体を投入。その機体を見たポメラニアンズのケーンは驚きの声を上げる。
これがジークアクスのゲルググだ!というのは容易いが、テレビに映っているのはどう見てもGM系のMSが問答無用でゲルググ呼ばわりされている摩訶不思議な光景であった。放送直後のX(Twitter)トレンド1位に「ゲルググ」の単語が居座り続けたことからも、その反響の大きさを察することが出来る。『水星の魔女』などから入った新世代ガノタにはピンとこないと思われるが、ライバルMSとして長年愛されてきたゲルググとGMがごっちゃにされている衝撃は、とにかくすごいものだったのである。
ガンダムベースの量産機というその開発経緯を考えれば、文字通りのジオン版GMとも言うべき代物であり、名前だけを借りた本機の形状が正史のゲルググと似ていない事にはちゃんとした理由が存在していることがわかる。結局ゲルググを騙らされてるGMじゃん、つーかゲム・カモフの亜種だろって? まあそれはそれという事で……
ガンダムの鹵獲によるジオンのビーム兵器関連技術促進により、ロールアウトは元々の一年戦争よりも前倒しになったようで、ジオン軍の勝利に貢献したであろうことは想像に難くない。開発遅延によって学徒兵にばかり回され、その性能を十分に活かせず「遅すぎた名機」と揶揄されたオリジナルゲルググの無念を晴らしたと言えよう。名前だけパクられて消されたジークアクス版MS-14と、本当に存在すら許されなかったオリジナルGM、双方の尊厳破壊ととらえるファンもいるが。
ともあれ、劇場版鑑賞勢も含めて全員が完全初見となる最初のエピソードである第4話でデビューした本機は、その外見、パイロットであるシイコの1話こっきりのゲストとするにはあまりに惜しいキャラクター性、赤いガンダムを苦しめた大立ち回りによって、視聴者にこれ以上ない特大のインパクトを残す事となった。
デザインについて
機体正面の大まかなラフはGQuuuuuuXメインデザイナーの山下いくとが担当。それを基にした正書(モデリング)と、背面デザインも含めた決定稿の作成は射尾卓弥が担当している(リンク1)(リンク2
)。
全体としてはまさしく連邦系。軽キャノンと並べてみると一目瞭然である。一方で先述した通り、ゴーグルや鼻など、細部の意匠はジオンの血統を感じることが出来る。腕部や脚部の装甲も、ザク(GQ)の四肢装甲がベースになっていると解釈できないこともない。
また、順当に赤いガンダムを改修し、後のGQuuuuuuXへ発展するような意匠も見られる。二股に伸びるバックパックや、首元から生えたブーム、後腰の武装ラック、そして脚部フレーム内に組み込まれる形の燃料タンク(状のユニット)など、注目点は多い。
『-Beginning-』で登場した、ザクと同じ緑系統の塗装が正式配備カラーと思われる。
各種バリエーション
シイコ・スガイ機
ドミトリー警備が入手し、クランバトル用にカスタマイズした機体。胴体が赤と黄色、手足が白、ゴーグルが緑と、言い訳のしようもないGMそのもののカラーリングである(より正確に言えばジムⅡ連邦仕様に近い配色)。
左肩にはシイコの二つ名である「魔女」を象ったエンブレムと「And Death Shall Have No Dominion(そして死は覇者に非ず)」の文句が描かれている。指関節部にはシイコの得意戦法であるスティグマ攻撃を行うための小型ワイヤーフックを内蔵。
機体関節にはモスク・ハンによってマグネット・コーティングが施されており、シイコの技量も相まって常軌を逸した機動力を発揮する。だが、最終的に過負荷に耐えきれず腕部が破損した事から、シイコの操縦に対して完全には追いつけてはいなかったようだ。
ボカタ機
ドミトリー警備が入手し、クランバトル用にカスタマイズした機体。シイコのMAVを務める、元連邦軍の女パイロット・ボカタの乗機。ライトグレーとグリーンが主体のカラーリングでオリジナルゲルググと似た配色だがやや色が薄く、どちらかというと「エゥーゴ仕様のGMⅡ」の方が近い。
プラモにはシイコ機同様ワイヤーフックが付属しているが、カラバリという事で商品化の際に削らなかっただけという可能性もあり、実際にボカタ機にも搭載されているかは不明。
余談
- その存在、というか名称自体がネタバレに直結する為、HGのガンプラは初登場となる第4話放送後の2025年4月30日まで詳細が秘匿されており、長らくシイコ機は「新商品A(仮)」、ボカタ機は「新商品B(仮)」という仮名で紹介されていた。
関連動画
関連項目
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- アカツキ(MS)
- アクア・ジム
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